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ディグゴジラ ~栃木のラッパーさんを深堀りしよう~ vol.6 ふーわ

vol.6 ふーわ

 今回のディグゴジラはKyphos!sさんからバトンを受け継ぐ形でふーわさんをゲストに迎えてお送りしました。地元での活動や影響を受けた音楽などについてのお話をお伺いしました。
 今回も貴重なお話を伺うことができましたので、ぜひ最後までご覧いただき拡散よろしくお願いします。

HIPHOPとの出会い

 今回のゲストであるふーわさんは1994年生まれの宇都宮出身で、HIPHOPとの出会いは小学6年生まで遡ります。幼馴染の方にAK-69を紹介されたことでふーわさんはHIPHOPと出会うことになります。当時のふーわさんはHIPHOPについては友達が聴いてるから聴いていた程度で、どちらかと言えばBLUE ENCOUNTTHE ORAL CIGARETTESといったロックバンドにハマっており、LIVEに観に行くほどだったそうです。
 友人とカラオケに行った時に友人がUBER WORLD等を歌っている中でAK-69の音源を聴き、徐々にHIPHOPにハマっていくようになっていきました。

フリースタイルを始めたきっかけ

 徐々にHIPHOPを聴くようになったふーわさんがフリースタイルを始めたきっかけはYouTubeのとある2つの動画にあります。1つ目はUMBのR-指定対DOTAMAで、MCバトルの歴史にも刻まれるようなこの試合を観てR-指定とDOTAMAのフリースタイルの上手さやカッコよさに気づきます。2つ目は2014年の第6回高校生RAP選手権のMC☆ニガリ(現:MCニガリ a.k.a. 赤い稲妻)の動画で、当時長野から全国の舞台に出てきてかましている姿を見て自分でもできるかもしれないと感じるようになりました。
 この2つのMCバトルの動画を観てフリースタイルを始めることにしたふーわさんは、共通の友達を通じて既に高校1年生の頃から活動を始めていた知人と出会い、フリースタイルのやり方やサイファーのことなどを教わるようになりました。本格的にラップを始めたのは高校卒業後と比較的ラップを始めたのは遅かったと言います。

 初めて行ったサイファーはBLASTAさんやオルガン(Brain's Organz)さんが中心にいた時の宮サイファーだったようで、他にも下野サイファーなどにも足を運び、その中で同い年のMC巴さんと知り合うようになりました。

転機

 高校卒業後は就職し、ラップと仕事に励んでいたふーわさんに転機が訪れます。ある日ふーわさんは交通事故に遭い、左半身の至る箇所を骨折し内臓も一つ取り出すことになって生死を彷徨います。
なんとか一命を取り留めたふーわさんは病室のベットの上で"生きていれば何とかなる"と考えるようになりました。就いていた仕事を辞めることになったふーわさんは環境を変えることを決意します。行先を探す中で人混みが元々苦手だったということもあり、候補を京都府、奈良県、三重県に絞り、最終的に三重県に移住することになりました。

三重での活動

 三重県に移住したふーわさんは、平日は介護職、週末はキャバクラのボーイをしながらも活動を続けます。しかし当時の三重県はあまりサイファーが開かれておらず、サイファーに参加することが最初はあまり出来ませんでした。
 そんな中で、同じ志を持つ仲間とラップする環境を作りたいと考えるようになったふーわさんは鈴鹿名張四日市松坂(不定期)でサイファーを開くようになりました。とある日Twitterを見ていたふーわさんは"サイファーって何かな"とツイートしている高校生を見つけ、その高校生に返信して知り合ったことでサイファーを開くことになり、そこで出会った方の地元でもサイファーを開くといった形で三重県の様々な場所でサイファーを開き、ラップスキルを磨きました。

ふーわさんとUMB

ここからは三重予選6連覇のふーわさんのUMBにおける歴史を紐解いていく。
 ふーわさんが初出場したのは’16年の栃木予選で、サイファー始めて1か月くらい経った状態で出た初めてのMCバトルでボコボコにされてしまいトラウマになってしまいました。そんな中でその年は以前から人づてで認知していたSAMさんが優勝し、この栃木予選を機に自身の経験不足を痛感してラップスキルを磨くようになります。
 三重県へ移住したことで、'17年からは三重予選に出場するようになります。この年はベスト8で惜しくも奈良県のMCに負けてしまいました。
 翌年の'18年に初めて三重予選を優勝し、そこから6年連続で三重代表として本戦に出場することになります。初優勝を果たしたこの年は、優勝した瞬間感動したもののそれ以上に周りの方々が感動している様子をみて涙が引っ込んでしまったそうです。初めて出場して本戦では群馬の小池潔宗さんのバイブスと声量に飲まれて一回戦負けを喫してしまいました。気合が入りすぎて記憶がなく、負けた後は三重の方々に謝ったそうです。
 翌'19年は前年の反省を活かしてリラックスして本戦に挑んだものの、逆にリラックスしすぎてしまい徳島のT-STONEさんに一回戦負けを喫してしまいました。2年連続で一回戦負けを喫し、死に物狂いでやらないといけないと感じ、また毎回一回戦負けするというイメージを払拭したいと感じるようになりました。
 そして'20年に選抜された形で三重代表として出場し、福島のAtomoshiphereさんに勝利したことでUMB本戦初勝利を経験します。
 今までのUMBの中でふーわさんが一番思い出として残っているのは'21年で、この年は三重予選に岐阜の梵頭さんが出場したことで、県外勢に三重代表の座を取らせないという強い気持ちで大会に臨み、決勝ではその梵頭さんを激戦の末退けて三重代表の座を守り抜きました。

今年の三重予選の意気込み

 本当は去年で一度UMBをお休みすることも考えたふーわさんですが、周りの応援lonelowさんの存在もあり、三重予選で倒されるとするなら今だとも考え、今年も出場することを決めたそうです。
 また、仮に今年も三重代表になれたとしても来年以降はお休みするつもりだそうです。

lonelowさんの存在

 今年の三重予選を考える上で欠かせないのは、第19回高校生ラップ選手権(以下:高ラ)優勝者lonelowさん。三重予選の出場も公言し、6連覇中のふーわさんとの対決を楽しみにしているかたは多いと思います。
 ふーわさん自身はそこまで深い付き合いはないものの、lonelowさんのことは当然認めており三重のこれからのシーンを背負う人間として期待しています。奈良県でのイベントで初めて会ってから、高ラ前にも助言を送ったそうです。lonelowさんが高ラで優勝したことで、三重でラップを始めた高校生が増加し、高齢化していた三重のラップ人口の若年化にも繋がったと考えています。

帰郷

 三重県に移住してからサイファーを何か所でも始め、UMBで連覇していたふーわさんにまた転機が訪れます。栃木県に住んでいた祖母が近隣から嫌がらせを受け、あと一歩で国指定の中々退院させてもらえないような厳しい病院に強制入院させられそうになってしまったのです。家族関係などを総合的に判断した結果ふーわさん家族で面倒をみることになったため、ふーわさんも地元の栃木県に戻ることになりました。
 地元に戻ってからも三重県での活動は続け、UMBでは三重のシーンを盛り上げ、三重のシーンで自分を超える存在を求めること、そして県外勢や納得できないような人間に三重代表を奪わせないことをモチベーションに三重予選に出続けています。
 また栃木ではバックアップの立場に周り、若手への助言やイベントの手伝いなどを精力的に行うようになりました。

栃木と三重のシーンの違い

 栃木のシーンも三重のシーンもみてきたふーわさんが感じているそれぞれのシーンの違いについて、栃木は若い世代のスキルが平均的に高く、韻を大切にする傾向があり、それに対して三重は各々が自由にやっていてこれから加速的に実力が伸びてくるとみています。

 その中で、期待の若手についてのお話も伺いました。
 まず栃木でいえば、これから伸びるという期待をこめて腸詰(ソーセージ)さん、vol.5ゲストのKyphos!sさん、そしてラップが上手いと感じているTy Leeさん、vol.4ゲストのLightAさんの名前が挙がりました。
 そして三重でいうとNova Dさんの名前が挙がりました。自由に各々がラップしている中で三重の若手では珍しく韻にこだわっている方がNobodyさんだそうです。

お世話になっている先輩

 まず栃木では、DJ MOTOHIROさん、DJ OILさん、大塚ともじさん、黒十三さんの名前が挙がりました。全員ふーわさんが栃木に戻ってから知り合った先輩方で、皆さんがものすごく優しくしてくれているそうです。
 とくに黒十三さんは、yuji cafeやJam's barで毎週土曜日に行われている「Session」のセッションジャンボリーのオーガナイザーを務めており、このイベントではその場で即興で曲を作るようにフリースタイルを行っています。イベントに参加する中で、いつもと違う環境がすごく刺激になったそうです。

 続いて三重でお世話になった先輩として、ティーイコールツーさんの名が挙がりました。ティーイコールツーさんは三重のシーンを盛り上げ続けている方で、UMB2018三重予選で初めて出会った時にほとんど坊主に後頭部からポニーテール並みの三つ編みの姿に衝撃を受けて話しかけたことで知り合い、現場に呼んでいただくようになったそうです。ふーわさんが初めてLIVEでステージに立ったのもUMB2018三重予選の数か月後のティーイコールツーさんのイベントでした。

音源制作のこだわり

 音源制作において、まずトラックはlofiのトラックを好んでおり、リリックについては、韻は踏もうとはしているものの優先順位は低く、言いたいことを言うことを重要視しています。

今後の展望

 ふーわさんの今後の展望は、あと2曲納得いくものがあったら盤と配信で作品を出すことを目標にしています。音源制作の中で自分のラップのジャンルを知れたことで自身のラップの形が見えてきたので、現時点は見えてきた理想形に向けてラップを極めてる段階だそうです。
また、今年のUMB三重予選は元々の主催が大会を開けなくなった関係でふーわさんが主催を務めるそうです。

要チェックトピックス

 最後に要チェック音源として、EPを絶賛制作中だそうです。この作品を制作する中で、展望でも話にあったように自分のスタイルが見えてきたそうです。まだ未発表ですが、リリースされた時に是非皆さんチェックしてほしいと思います。

締めくくり

 今回のディグゴジラはふーわさんをゲストに迎えてお送りしました。ヘッズの中では三重県のイメージの強いふーわさんがどのように栃木と三重のシーンに触れていったのか、そして6年連続で本戦に出場し続けているUMBでの様々な経験についてのお話を伺うことができました。あと2曲で完成する作品に期待してvol.6を締めくくりたいと思います。

Who's next…?

 次回のディグゴジラは10月9日(水)怪士さんをゲストに迎えてお送りします!!
 HIPHOPとの出会いやクルーのことなどの話をお伺いしたいと思います。
 告知、トークを行うため、公式SNSをチェックしていただけますと幸いです。もし記事を読んでいいなと思っていただけましたら拡散までよろしくお願いいたします。
 それではまたお会いしましょう。

Special thanks / ふーわ

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