”カサブランカ”

うら若き乙女が尋ねる
「この花の名はなんて言うの?」
カサブランカじゃないが
僕は答える
「花の名前に興味はないね」
「それよりキミの名は?」
道端の花壇に咲く一輪を手折りながら
彼女が囁く
「・・・」
「ならば、それがこいつの名前さ。
キミの愛情を勝ち取ったんだからね」
乳白色の細い手にある其れを奪い
黒髪に挿して
僕は別れを告げた

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