変わろうとする思い、一歩踏み出す勇気「佐々木、イン、マイマイン」感想(ネタバレほぼ無し)
青春って時に美しく時に残酷
学生時代に一緒に遊んでたあいつと久々に会ったら、あいつ今では一流企業で働く妻子持ちのサラリーマンになっていた。
学生時代は地味キャラだったあいつが、久々に会ったら当時クラスのマドンナ的存在だった女子といつの間にか付き合ってていつの間にか結婚して家庭持ってた。
そんなあいつらと燻っている今の自分を姿を見比べて情けなくなってしまう。友達のまま学生時代と変わらないはずなのに、まるで別人のように変わっていく。自分は学生時代に取り残されたまま...
この映画の主人公・悠二は正にそういう人間。何かを変えたいけどずっと燻っている人間。でも、この悠二の姿を見て「まるで自分みたいだな...」って思うような人って結構いると思うし、それぐらい感情移入がしやすいキャラクターなんですよ。だから悠二の姿を見ながら、いつの間にか悠二を自分と重ね合わせて自分がこの物語の主人公なんじゃないかと思い込んでしまう。
じゃあ、「佐々木」って誰なのかって。
佐々木、放課後毎日一緒に遊んでたやつ。頭おかしくてぶっ飛んでて、「佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!オイ!オイ!オイ!オイ!」のコールに合わせて服を一枚ずつ脱いでいって、最終的に全裸で踊り狂って教師に怒鳴られる奴。でも純粋で真っ直ぐな心と言葉を持ってる奴。そして人には見せない涙を流す奴。
「佐々木」とは、あの頃の青春に居たやつ
変わっていくものと変わらないものの狭間に居るやつ
そして、あの頃の変わらない青春に取り残されたままの「悠二」
この物語は、思い出から「解き放たれる」ことの美しさが見事に描かれているなあと感じました。「忘れる」「失くす」とはまた違った「解き放つ」という行為。
過去にしがみつくのではなく、過去を糧として未来への一歩を踏み出す。その美しさと情熱を描いているのが「佐々木、イン、マイマイン」という作品。
あの頃の青春の思い出と燻っていた自分を解き放ち、放課後チャリで飛ばしてた道を逆に走り、新しい未来の自分へと変わっていく悠二の大きな一歩。その姿に思わず拳を握り、「頑張れ!」って叫びたくなるような、そして観終わった後、自分も悠二みたいに何か一歩踏み出してみようと心が高ぶるような、内山拓也監督の青春映画「佐々木、イン、マイマイン」を是非見てください。
最後に
この作品に出演されている役者さん本当に凄くて、全員が「等身大」の演技をされるんですよね。
変に誇張した演技じゃなくて、全員会ったことないのに「こういうやついたよな」って、「俺も一緒に佐々木!佐々木!って言ってたよな」って、そんな感覚になるような等身大の演技。でも一人一人に存在感のある演技。これって他の邦画作品では中々観れないと思うんですよ。それぐらい印象に残る演技をされる役者さんが沢山いて、まだまだ凄い役者さん沢山いるなぁって感動しました。
特に悠二を演じた藤原季節さんと、佐々木を演じた村上岳さんの涙の演技は本当に感情揺さぶられました。静かに涙を流す演技が素晴らしすぎる。
あと、苗村を演じた河合優実さんの演技も、出演時間は短いけれど一度観ると忘れないような雰囲気に心を鷲掴みにされました。
まだまだ邦画も凄いぞ。底知れぬパワーを持った邦画の大傑作でした。
あ、あとこんな人も出てました
パチ屋の開店待ちしてる列を守らないチンピラ。
見た目汚いけどすっごい美声もってそう。
カラオケ行って「白日」とか歌いそう。
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