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アメリカ テキサス州の小学校で起きた銃乱射事件で考えたこと

今回はこのブログには珍しく、重い話題になります。

先日の朝、酷いニュースにとても辛い気持ちになりました。

アメリカのテキサス州で起きた、小学校での銃乱射事件です。

この事件で殺害された被害者は児童21人、教師2人。負傷者も出ています。
あまりにも酷い事件で、ニュースを目にした時は時間が止まったような感覚でした。
しばらく涙が止まらなかったです。

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それと同時に「なぜこうも同じ悲劇が繰り返されるのか」と思いました。アメリカは銃に関する事件が本当に多く、学校の襲撃も過去何回も発生しています。


今まではこういった事件が起きるたび、子供が辛い目に合う事件が非常に心理負担が大きく、正面から受け取めすぎないようにしてしまっていた所もありますが、今回は「一度しっかりと自分で向き合って考えていきたいな」と思い、理解が足りないところもあるかもしれませんが、少しでもブログを書いてみようと思いました。

「辛い」と思う方は無理して読まないで下さいね。

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このニュースを見て、私はすぐにあのドキュメンタリーを思い出しました。

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「ボーリング・フォー・コロンバイン」。日本では2003年に公開された、アメリカの銃に関するドキュメンタリーです。

配信ならU-NEXTで観れるようです。

1999年にアメリカ・コロラド州で起きた、高校生二人による高校での銃撃事件を起点に、アメリカでなぜこれだけ銃撃事件が多発してしまうのかを

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この映画の監督、マイケル・ムーアが自身の視点で追及していくドキュメンタリーです。

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この内容は当時20歳ちょっとの私にも非常に分かりやすく、かつ衝撃的でした。ムーアの独特でキャラの立った語り口のため、彼の視点もふんだんに入っているものの、アメリカの問題について非常に分かりやすく、アメリカに住んでいる人ならだれもが抱える疑問や悲しみ、その社会構造の矛盾をついている作品だと思います。

コロンバインでの悲劇が起きたのは90年代の終わり。映画の公開からもう20年。

なのに、アメリカの銃激事件の現状は良くなるばかりか、ここのところ加速して悪くなっているような気がします。

銃乱射事件の映画はもう1作品記憶にあります。

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この「エレファント」。ガス・ヴァン・ザント監督がカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した映画です。この映画もコロンバインの事件をベースにしています。

こちらもU-NEXTに配信がありました。

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この映画は様々な受け取られ方ができるような作品になっていると思います。何かを決めつけるような作りではなく、ただできるだけリアルに当時の事件があった一日を再現するような構成です。
犯人の背景もそこまで書き込みがない分、悲劇の重さと軽さの両面が映し出されていると公開当時に鑑賞した私は感じたのを覚えています。

こんな悲惨な事件が起き、映画やドキュメンタリーが制作されるほど、社会的に大きな衝撃をもたらしたにも関わらず、アメリカは銃自体が使用を禁じられるどころかますます購入・使用が日常的に簡単にできるようになって、そして年々銃による事件が多発しているような気がするのです。

これほどまでに銃の危険に日々さらされ、人々の命が失われているのに、なぜアメリカは銃の規制ができないのか。


アメリカの銃社会を作ってしまっている大きな原因、それはNRAの存在。


そしてアメリカ全体に起きている差別や犯罪に対する警察の対応についても、今疑問点や問題点が浮上しています。
一面を解決すれば発生しないという単純な問題ではなく、この根深さは本当に深刻だと思います。


今回事件が起きてしまったテキサスは、州知事が18歳になれば簡単に銃が買えるようになる法を認めてしまった矢先の事件でした。


2018年にフロリダ州パークランドで起きた高校の銃撃事件の時は、同校の高校生たちをはじめ、学校の生徒達が大きなデモを起こしました。

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2018年。5年も前の話です。この時の事もよく覚えています。「子供達自らが声を上げなければいけない事態にまで追い詰められている」と感じました。
こんな悲痛な声が届かず、大人が子供を守れないなんて。この時に何かが変わっていたら、今回の事件は起こらなかったかもしれません。

今回のテキサスの事件を受け、エンタメ界でも様々な反応がありました。

様々なアーティストや俳優、作家達などがSNSやライブでコメントを寄せています。
語られることはやはり銃規制の必要性について。


強烈なのは歌手リチャード・マークス。禁止用語連発で怒りを表明していますが、彼のコメントはそのとおりです。彼のTwitterのアカウントではずっと銃推進派への反対を謳っています。


事件のあった日のアメリカの深夜の人気番組の司会者、ジミー・キメルは事件当日のモノローグでこの事件の悲痛さを語っています。
彼は普段冷静な印象だったので、こんなに感情的になるのはとても珍しいと思います。

若い世代からもリアクションが起きています。

先日素晴らしいアルバムを発表したハリー・スタイルズは銃規制の運動をしている団体に売り上げから寄付をすることを発表しています。


ビリー・アイリッシュの兄、フィニアスはツイートでこんな文を投稿しています。この文章はとても的を得ているし、諦めがちになってしまうようなムードを抱えてはいけないな、と思わせてくれました。


私のブログでも何回も登場しているオリヴィア・ロドリゴは自身の初めての大切なツアー中。そのアメリカ公演ラストを飾るロサンゼルスでのライブでこの事件についてコメントしました。
彼女はまだ18歳。コロンバインの事件より後に生まれ、生まれながらに学校に通うのに銃撃の心配をしなければならない世代です。

こういった若い世代のアクションに、子供たちの前に大人が諦めてはいけないことだと痛感させられます。

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先日リリースされた、アメリカで1、2を争う人気ラッパーのケンドリック・ラマ―の新作アルバム「Mr. Morale & the Big Steppers」のカバー。子供を抱えたその背中には銃が差し込んであります。
恐らくは黒人差別における今の現状を示唆したカバーなんだとは思いますが、実は最初観た時、「ちょっと怖いな」と思ってしまっていました。
でも、こんな事件が起きた今、これは紛れもないアメリカの現実なんだと、改めて痛感させられ、とても考えさせられました。

ロック界からもたくさんの声があがっています。ジャック・ホワイトもその一人。コメントをSNSにアップしています。

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もちろん現在のウクライナとロシアの状況や、他にもミャンマーやアフガニスタンなど混乱が深まっている国はたくさんありますし、日本も決して問題がない国とは言えません。
むしろ最近は良い所より悪いところの方が頭に浮かびやすいような状態ですが、 それでも子供を学校に通わせたり、スーパーに通うのに命の危険におびえながら行くということは今のところありません。
私たちと同じようにただ平和に暮らしたいだけのアメリカの人たちの事を思うと、やり切れません。

「アメリカの問題だから」と距離を置くこともできます。でも、私たちの暮らす国が同じようにならないとは限りません。
日本でも憲法改正の問題など、自分の意志と関係のないところで平和が脅かされることもあり得ます。

「アメリカに暮らしている人達は銃の事件に慣れてしまっている」という見方もあります。私もそういう感じていた時もありました。
でも、実際に暮らしている人はこういった事件が起きるたび、胸を痛め、悲しみに沈むことは変わらないと思います。

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最後に、このアニメ作品を紹介させてください。もしNetflixが観れる方はぜひ観ていただけたら。短編なのでそれほど時間はかかりません。

私も昨年鑑賞しましたが、一人の子を持つ親として、本当にやりきれない作品でした。
でもこうやって悲しみを表現し共有することも、今後同じ悲劇を起こさないための大切なプロセスだと信じています。作品の制作に感謝しています。

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アメリカに住む子供達、親達が銃撃の心配をすること無く、安心して学校に行ける日々が訪れますように。本当に心から願っています。
そして、犠牲になってしまった子供達や教師達、その家族や大切な人たちに心を寄せ、遠い国からでも「何かできることがないか」と考えています。
まずは小さな一歩からでも。






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