大好きすぎて勝手に殿堂入りさせた私のベスト音楽プロデューサーについて① Dan Nigro
今年も勝手にこの年末企画を発表する予定なのが
私的年間ベスト音楽プロデューサー
毎年、その年に「めっちゃええ仕事したな~」と個人的に思った音楽PDを勝手に選んで勝手にベストを決めているのですが(笑)。
もう何をどうしようが好きなPDが私には二人できてしまったので、昨年の2023年から、これまた勝手に
殿堂入りしてもらった
「もうどうしようもなく彼らの作った曲が好きだな」となりましたので、いちいちベストに選んでらんない!もう殿堂入りしていただいてドーンとしていただきましょう!!
そんな「ずっといい曲作ってください!」という二人について、一度ちゃんと書いて残しておこうと思います。
まずは!
Dan Nigro
彼については今年も話題のPDだったので、もうご存知の方も多いと思いますが、彼をベストPDに選んだのは
2021年でした。作品はもちろん
このolivia rodrigoの「SOUR」で。すぐに大好きになってこんなレビューブログを書きました。
このアルバムを聴いた時、特に
最初の2曲「brutal」「traitor」を聴いた時の私の驚きと喜びは、今に聴いても全く色褪せる事なく思い出す事ができます。
この2曲の振り幅、曲の良さ、オリヴィア自身の歌の良さに加えてダンのアレンジも私のツボを押されまくって、このアルバムの最高ぶりが決定されました。
「driver license」「deja vu」「good 4 you」と、シングルを出す毎に、「思ってたよりロックな子だな」と感じていましたが、アルバムを聴いてその思いが決定的になりました。
そこに加わるダンのアレンジは、現在のインディロックやインディポップに寄った、なるべく生の楽器音を使いながら、最近の若い子、ティーンになるかならないかまでの子達から私達みたいな大人までに聴きやすく、けど決して無難にならないアレンジで、オリヴィアのコーラスの重ね方一つにとっても素晴らしいセンスで、「ディズニー出身だ」やら「まだ10代だ」やらを忘れさせるような音作りでした。
歌詞は思いっきり10代女子の頭の中の曲なので、そのアンバランスさも「今しか作れない」というオーラに満ちていて、凄く良かったです。
ダンの名前を知ったのは、私はconan grayのアルバムから。
ここでも彼のソフトな歌を幻想的かつ現実的な絶妙なバランスで掬い取ったアレンジが見事だと思っていました。
そこから知ったのは、
日本にも来日して人気なCAROLINE POLACHEKのこのアルバムでメインPDの一人になっていたこと、そして
私自身の「名盤」と愛してやまない、sky ferreiraのアルバム「night time,my time」でサブプロデューサーだった事を知りました。
このスカイのアルバムはまた後に語ります。
こんな感じでインディ系のアーティストに携わってきたダンの名前をオリヴィアのアルバムで知った時は本当に驚いた、かつこのセンスの絶妙さ、そしてダンがついに自分の力が最大限に発揮できるアーティストに巡り合った事を本当に嬉しく思いました。
オリヴィアの2枚目のアルバム「guts」は、1枚目よりさらにロックな曲が増え、90sのグランジ周辺の曲すら思い起こさせる曲とアレンジの曲達に、私は文字通り聴きながらガッツポーズして、夜中なのに飛び跳ねながら聴きました(笑)。
1曲目の「all American bitch」からアレンジの幅がさらに上がっている事が分かります。アコースティックで夢みがちな曲の入りから、少しわざとらしさすら感じるくらいのロックへの転換。
今年、念願にて彼女のライブを観る事ができましたが、この曲がライブでのベストパフォーマンスでした。
音源そのまま、というか音源以上に1曲でくるくる変わる振り幅と表現力、そしてダンの絶妙なアレンジがよく伝わる1曲でした。何より「この曲作ってる時、楽しくてたまらなかっただろう」という感覚が伝わる曲で、曲間の絶叫は会場中で一体になって体感しました。
そして今年はなんといっても
このChappell Roanの大人気がダンのPDとしての存在感を決定づけます。
彼女はオリヴィアの「guts」ツアーにゲストアーティストとして帯同。そこでオリヴィアのファンから多くの人気を得て、
今年のCoachella festivalに出演し、そのライブが大成功。Coachellaはライブ配信が人気でもちろんこのライブも配信されていたので、一気に世界的に人気に。
オリヴィア経由で存在やアルバムは知っていて聴いてみたりしていたんですけど、私はアルバムを聴いただけでは最初はハマるまではいかなくて。オリヴィアほどは磁力を感じなかったというか。オリヴィアの事が好きすぎたんですね(笑)。
私が「この子本人も曲も凄かった!」と気づいたのはこのニューヨークの女神のコスプレで現れたフェス。
この時の方がステージも大きく客の数も多い中で、Coachellaの時より何倍も輝いていて。この女神コスプレで「あ、デカければデカい舞台でこそ輝く子なんだ」と。
アルバムを聴き直して思ったのは「このアルバムは夏に合うな」と。そして私には先程出たスカイのアルバムと「表裏一体のようだ」と。
自分の性や性格からくる悲しみや苦しみを曲に乗せて昇華させるようなアルバムで、ドラッグクイーン的に表現したチャペルと
あの時代に合うインディーポップとインディーロックの境目で表現したスカイ。
(スカイはその後、所属したレコード会社と激モメにモメて(笑)、10年くらい新作がリリースできなかったのですが、今年やっとシングルリリースできて、動きがありそうです。)
そんなスカイのこのアルバムにサブPDとして、曲制作に携わっていたダン。私だけかもしれませんが、凄い繋がるんですよね。
人懐っこいようで突き放すような、けど決して孤独ではなく誰かと繋がりたい、そんな女の子の複雑さをロックポップで昇華する曲の作り方は「この頃から下地があったんだ」と。
そこからチャペルの曲の話に戻ると、「やっぱりダンのアレンジがしっかり支えているな」と。そうやって理解できるようになってからは、このアルバムが大好きになりました。
彼女の代表曲になりそうな「pink pony club」も大好きですが、
私は彼女は「夏フェスの申し子」みたいな印象があって、メインステージの大きな大きな舞台で観客が多ければ多いほど輝く。そんな中で人と人を繋げる「hot to Go」や
私は「どうかしてるな」っていうタイトルの曲が好きなんで(笑)、「super graphic ultra modern girl」が好きでした。歌い始めもどうかしてる、この曲は(笑)。
このアルバム、ダン自身も、また「やりたい事に一歩踏み出したアルバムだ」と気づいたのは、チャペルの表現したいドラッグクイーン的な面と、カントリー的な要素、そしてドラマチックなバラードガール面を、オリヴィアの時のようなインディロック感をむしろ抑えて、少し懐かしさがあるような80sみたいな少しだけ音の空間や余白があるような音のアレンジが面白くて。現在の2020年代だけじゃない、「何年、何十年も愛されるような曲作り」を目指した事が分かります。
発売からおよそ半年以上経ってからのアルバムも大ヒット。彼女自身の素晴らしさにスポットが当たった事は言うまでもないですが、ダンとのしっかり作った曲の数々がなかったら、この道はなかったかもしれません。
チャペルもオリヴィアと同様に、次作もダンと二人で作ることを既に公表しています。
今年の11月に発表されたグラミー賞の年間最優秀プロデューサー賞にダンはノミネートされました。昨年に続いて2回目です。
最初に名前を知った時には、こんなに大きな存在になるとは思っていませんでした。
けど、彼が直感で良いと思ったオリヴィアやチャペルをデビューから支え、自分の手種だけでなくアーティストと一緒に作品を作り上げて自らもそのPD力を上げてきたダンの曲達は、いつも私のツボをぐいっとおしまくられて、聴くたびに「あーこれこそ私の求めていたものだ」と思わされます。
私の殿堂入りPDとして、これからも素晴らしいアーティスト達と最高の曲をリリースしてくれると思って、思いっきり楽しみたいと思います♪
※写真はdan nigroの公式Instagramからお借りしました。