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RM「indigo」 韓国からアメリカの音楽界までを横断するアーティスト感性が炸裂したインディ感な傑作ソロアルバム!

先日リリースされたこのアルバムが気に入って愛聴しています♪

RM 「indigo」

k-popのスーパーグループとして、世界的な人気を獲得したBTSのリーダーで、ラッパーのRM。彼の初ソロアルバムです。

BTSは日本でも大きな話題になりましたけど、最年長のメンバー、ジンが兵役に入ることが発表され、順次他メンバーも兵役へ。グループ全員の再活動は数年後を予定しているそうです。
その間は各自ソロ活動に入るという事で、個々にもうアルバムやシングルのリリースが始まっています。

私もBTSからk-popの面白さや凄さを教えてもらって、いまや日常の音楽チョイスにも欠かせないジャンルなので、彼らにはめちゃくちゃ感謝してるんですが、BTSのソロの中でもRMのソロは凄く楽しみにしていました。
で、今作を聴いてまさに期待どおりっていうか

え⁈凄い!期待を遥かに超えてきた!

っていう傑作でしたので、ちゃんとレビューしたいと思います!

※私はそんなに韓国音楽界に明るく無いので、予想で書いちゃったりしてるところもありますが、ご容赦ください。

今回このビジュアル作りも良かった


k-popってだいたい作品がリリースされる前に、しっかりトラックリストを出すのがありがたい習慣なんですけど、

やっぱりこのリストを見て、「わ!」と目がいくのは

エリカ・バドゥとか

アンダーソン・パークとかだと思うんですけど、


アンダーソン・パークは今年BTSがリリースしたシングル「yet to come」のライブパフォ動画で共演してたりを見かけてたので、そんなに意外感はなかったのですが。

この動画、アンダーソン・パークのドラムがほんと主張凄くて面白かったのを覚えてました(笑)。

でもエリカ・バドゥはちょっとびっくりでしたけど。彼女って90sのネオソウル・クィーンって印象で、「また予測不可なチョイスだな」って。でも実際にリリースされた曲を聴いてみると

凄くいい塩梅のミディアムなソウル曲で、ちゃんと曲の始めからRMのラップで引っ張る曲で、エリカのサビも凄く馴染んだナチュラルな雰囲気の曲で。次の曲もなんですけど、

このアンダーソン・パークと共演したファンキー感のある聴いてて気持ちいいポップファンクな曲もですけど、曲のアレンジっていうか編曲の感じがめちゃくちゃゴージャス感があって、「凄く雰囲気がいいな!」と。シンセの使い方とかが気持ちいいし、こういうところでもう既に「いいな」と思いました。
「still life」ってテーマも、ちょっとBTSの「BE」とも繋がるような感じもある気がしました。

あとこの冒頭の2曲の客演に、RMのラップが全然負けてないっていうか、やっぱり曲がRMありきの曲にちゃんとなっていて。「よく考えられてるな〜」と思って。アメリカのラッパーですら、ちょっと個性が弱かったら共演したら潰されちゃいかねないような二人なのに(笑)。もう冒頭の2曲でRMがラッパーとしてどれだけ個性がいいかが分かりますし、曲の構成も見事だと思いました。

あと海外勢との共演曲だと、この「closer」があって、これはRMの以前のソロ作やBTSの曲でもPDに名があったHONNEがPDを担当しています。RM、大好きなんでしょうね(笑)。実際、この曲は凄く今っぽいR&B系のイントロからちょっと懐かしい感じもある00sの軽いR&Bポップ系な感じがする曲で、やっぱりアレンジが凄くいいです。客演のMahaliaって今感強めなボーカルに、驚いたのはもう一人のPaul Blancoって方のボーカルで、浮遊感のある感じが凄く曲に合ってました。彼も韓国系のカナダ人だそうです。HONNEの安定感とRMとの相性の良さを感じる1曲でした。

でも、個人的には

この3曲より、この後に続く曲の数々の方が「凄いな」と思いました。

私のこのアルバム内でのベストソングはこの「All Day」。

この曲では韓国のヒップポップグループ、epik highの一人、tabloというメンバー

彼と共演しています。

で、この曲が私は大好きなんですけれども、この曲はPDがpdogg。

BTSの曲のPDとしておなじみですね。私がBTSにハマった要素の一人です。

ハマった当時にこんなnoteも書きました(笑)。懐かしいです。ここでもがっつりpdoggについて書いてますけど、彼の曲がそもそも好きで、単純にいい曲がとても多いし、「BTS」ってくくりを解いたとはいえ、上手いラッパー二人を使った曲のアレンジや軽快さ、活かし方がやっぱり抜群にいいですね。
先に書いた海外勢との共演曲のようなクラス感は薄いですけど、この曲を聴いたときに

私がBTSにハマったきっかけになった「MOTS7」の1曲目「Persona」で、RMのラップに本当に驚いた時のことを思い出しました。

今ってアメリカは特にトラップの影響が大きいので、こういうそれ以前の時代の軽快なラップの曲ってチャートとかだと耳にする機会が少なくて。でも、ラップやヒップホップに疎い私にとって、とても入りやすい感じがこういうアレンジのポップ感もあるヒップホップ曲だったな、と思い出したり。
この曲はもちろん要所はRMが聴かせながらも、tabloのラップもとても活きている感じが伝わってくる曲で、韓国ヒップホップやR&Bには本当に無知に近い状態の私でも名前は知っていたepik highの実力が伝わるような1曲でした。

で、その次の曲も共演作で、これはもうフォークまでいってるようなアコースティックな曲で。Kim Sawolという、声のかわいらしい女性SSWと共演しています。

ここまでナチュラルでシンプルな曲は意外でした。RMはここではラップじゃなくて歌ってますね。シンプルなメロディですが、この曲もとても感じのいい曲で、実はアルバムの音的なテーマを一番表している曲かもしれないです。今回、全体的に音のクラス感はあっても「シンプルこそ良き」的な感覚がどこかにあって、それが一番わかりやすく、かつアルバムの中で一番RMの新しいところが感じられる曲でした。チャレンジしている感じがいいですね。

この「Change pt.2」が一番実験的というかダーク感のある面白い1曲でした。この曲はeAeonという韓国のインディ系アーティストとの共著なんですかね。この曲も限りなく歌に寄ったラップって感じで、聴いてて面白かったです。この曲はアルバム内でも人工的な感じのアレンジで、ほかの曲との差もあっていいアクセントかと思いきや、後半の不協和音的なピアノが鳴って生音が入ってくる感じがまたよかったです。

で、この後も韓国のラッパーとの曲が入って、

「Hectic」という曲で

このcoldeというラッパーと共演しています。PDはまたpdogg。個人的には先に書いた「All Day」の方が曲としては好きなのですが、この曲でもまたラッパー同士のいい曲ができたなって感じました。RMはこちらの曲の方がよりシンプルな表現な感じがします。

この曲はリードシングルになった曲。正直、先にこの曲だけ聴くより「アルバムの流れで聴く方が全然いい感じだな」、って思いました。アルバムの流れで聴くとすごく感情の流れとかが高まるような、「いい配曲だな」と思います。いいアルバムはやっぱり曲順や配曲が大事ですよね。この曲も共演曲で、Youjeenという女性シンガーと共演しています。

彼女の力強いボーカルが、RMもこの曲では強めのラップで感情をぶつけてるような感じなので、いい混ぜり合わせな感じでよかったです。

ラストは「No.2」という曲で、前の曲から一転しまたナチュラルな感じを感じる生音感が気持ちいいミディアムナンバーですね。この曲も女性アーティストとの共演でPark Ji Yoonという女性と歌っています。


ラストをまとめつつ、心地よいメロディで後味を〆ています。さらっとしているけどいい曲ですね。

というわけで、ざーっとアルバムの曲について書いてきましたけど、今回

韓国のアーティストとの共演曲がほとんど

PDも韓国のPDですね。しかもクレジット人数が1人から2人くらいと少ない。ここが私的にすごく良かったというか、RMの「自分の好きなアーティストと一緒に曲作りがしたい」というモードもあったんだと思うんですけど、それによって

韓国の音楽が持つ幅の広さやしっかりした音楽性

これが背後にしっかりと感じられるように聴こえて、これは意図も多少入っているんじゃないかと思うんですけど、この感じが自然と分かるようになっているアルバムの作りにすごく感心してしまいました。

自分と同じラッパーはもちろん、今回女性アーティストとの共演が多くて、確かにBTSではなかなかできないことだと思いますし、1パターンでなくてそれぞれスタイルの違うボーカリストを混ぜて共演してくれているので、聴いてて飽きがないです。
なによりそれぞれのボーカルがまたどの方も味わい良くて、気になったラッパーやアーティストがいれば「ちょっと聴いてみようかな」とか、今なら使ってる配信プラットフォームにあればSpotifyでもYouTubeでもすぐに聴ける時代なので、「アクセスしてみたい」と思わせる音楽性が伝わるようなアルバムの作りに感じました。

もうSpotifyとか、もっと顕著なのはyoutubeなんですけど、チャートでもいわゆる言語の壁は本当に関係なくなりつつあって、いろんな音楽が共有されて聴かれる面白い時代の中で、BTSも世界的な人気を獲得していったと思うんですけど。

BTS自体はグローバルに人気な存在で、そのリーダーのRMがアルバムでこういう事するって凄いな、と。

それをエリカ・バドゥやアンダーソン・パークとの曲と混ぜても全然違和感ないどころか、むしろ韓国アーティストとの共演作との方がやっぱりRMの素の才能が出るのか、よりナチュラルに耳になじむ感じがして、普段圧倒的に洋楽を聴くことが多い私でも、このアルバムについては韓国アーティストとの曲の方が「いいな」と感じる感覚が多かったです。

あともう一つ、このアルバムが「凄いな」と思ったのが、今作はやっぱりBTSの時と比べてよりインディ感が強いというか、マスに受けやすいポップ感を少し落としてより自分のセンスを反映させてるのか、楽曲にもインディーズの曲を聴いているようなメロディ感やアレンジにおいても本当にセンスの良さを感じます。

ラッパーとの共演曲を聴いてもその感覚があって。これは先にも書いたんですけど、やっぱり「韓国のインディミュージック界のセンスがいいんだろうな」と思わせるような感じで、その感覚をRMが地で持っているってことなんだろうと思います。こういう風に作品ではっきり分かることができて嬉しいです。

かといって、そっちにいきすぎないようになっているので、ポップラップアルバムとしても凄く聴きやすいんですよね。ここがめちゃくちゃ大事で。普段インディ系音楽に馴染めない人も入り口になりやすいかと。やっぱりそこも横断感があるんですよね。インディから出てきた人達とは真逆のベクトルですね。まーそれでこの完成度はね〜、こんなのなかなか作れないですよね〜(笑)。笑っちゃうくらい凄いですね(笑)

で、それを最もよく表しているのが


このNPR tiny desk concertへの単独での出演。これは私個人的にとても嬉しくて、ちょうど今年

自分の tiny deskのベスト回について書いたばかりで、BTSが出演した時の回もベストに選んでいます。

今回、本来の超狭いデスクではないので(笑)、「おそらく韓国で収録したのかな」と思うのですが、このパフォーマンス、バックのバンドのアーティストは全員韓国の方で、二人今作のプロデューサーが参加してるみたいです。


こういうところもアルバムの特徴の延長で、自国のアーティストを紹介したいというような感覚を感じました。演奏、凄くいいですよ!私のお気に入り回にまた加わりそうです。

同じBTSで先にソロアルバムをリリースしたJ-HOPEがロラパルーザでトリ(すげーな)を務めた時とはま違いますね。このJ-HOPEのソロアルバムも新しい面が感じられる面白いアルバムでした。
ただRMのアルバムの方が自分の好みに近いです。

こんないいアルバムを聴いてしまうと、「BTSが他のK-POPグループとどこが違うのか」というよく見かける問いに、誤解を恐れずに言えば「『RMの存在』と答えざるを得ないな」と感じさせられました。もちろんいろんな要素があるのは前提ですが。
私が知らないだけかもしれないですが、K-POPのグループのメンバーでこれほどの音楽的なビヨンド感を持ったアーティストがいるとは。

BTSをトップに押し上げたのは戦略やARMYの存在だけはなくて、シンプルに音楽や表現の良さは絶対だと思うので、それが「また一つの形になって聴けたな~」と思いました。

日本も出身アーティストのjojiやrina sawayamaなどがいいアルバムを出していたり、日本国内にもセンスのいいアーティストやバンドはたくさんいると思います。でも個人的には、このRMにはかなわなかったですね(笑)。「k-popのトップ界から」という前提があるから、なおさらかもしれません。本当に凄いとしか言いようがないです。

共演アーティストも含めて本当にいいアルバムですし、間違いなく今年のベストな1作です!


まだ聴いたことない方はぜひ聴いてみてください♪


おまけ

というわけで、下半期ベスト、もうすぐ出します!(笑)


おまけ2

「歌詞面は?」ってお思いの方もいると思うのですが、私が音よりの音楽バカなもので、、、。すみません!!

おまけ3

ARMYの方に教えてもらったこれらのパフォーマンスも凄く良かったです!NYに行ったってことはtiny deskもアメリカで撮れただろうに、そうしなかったっていうのも面白いですね。



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