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公務員家を買う⑭(図面の承認と振り返り)

住宅ローンの方向性も決まり、旧家屋の解体をして、造成も終えたため、後は工事に取り掛かるのみとなりました。工事は、地縄張りからスタートして、基礎工事、上棟、屋根と進んでいくことになります。

工事を始めるにあたって、その基となるものを確定させなければいけません。今まで詰めてきた数々の図面と、工事にかかる費用などを取りまとめた仕様書を固めます。

1 設計図書の確定

工事を行うために必要な図面と仕様書を合わせて設計図書と言い、設計の担当者が作成をします。一言で図面と言っても多くの種類があります。
・建物を水平に輪切りにし、間取りがわかるように上から見た「平面図」
・床上1mほどで水平に切って柱や壁の厚さが記された「平面詳細図」
・敷地内の建物の位置を示す「配置図」
・建物を垂直に切って内部の立面がわかるように示した「断面図」
・建物の屋根などの詳細な情報が記された「矩計図(かなばかりず)」
・部屋ごとの壁面や天井の高さなど詳細がわかる「展開図」
主なものでも10近くある図を一つ一つチェックをします。

チェックといっても、今までに話し合いながら決めてきたことが、反映されているかどうかなので、大掛かりな直し等はなく、ちょっとした勘違いや、改めて考えると不要であった点などを削るなど、すり合わせは数時間程度で終わりました。

その後、設計図書を確定させるのですが、確定の作業は大変アナログでした。数十枚ある図面と仕様書に、一枚一枚判を押していくのです。

すでに、ハウスメーカーの設計担当者と営業担当者、そしてメーカーの現場責任者の印鑑は押してあり、私たちも一枚一枚に判を押していくことになりました。

他のところで家を建てた経験もなかったので、「そういうものか」と思ったのですが、メーカーへの提出用と自分たちの保管用の計2セットに1枚1枚判を押す作業は、なかなかシュールでした。

妻と協力して何とか1時間ほどですべての印を押すことができましたが、他にも、こどもみらい住宅支援事業の申請書や、省エネ住宅の保証書(後々、火災保険が安くなったりするそうです)など、最近久しく押していなかった分を取り戻すかのように、一心不乱に捺印を行いました。

正直、製本したものに割り印ではダメなのか、もっと言えば、電子署名ではダメなのかとも思いました。他のところも同様なのかは、ぜひ知りたいところです。

そんなこんなで、すべての図面を確定させ、ハウスメーカーがとりまとめて、設計図書が完成しました。今後はこれを具現化していくことになります。設計図書の受領と同時に、工事監督者との打合せ(地縄張り)の日程調整を行いました。

設計図書をもって、工事監督者が決まってくると、本当にいよいよ家が建つのだと、身が引き締まるような思いになりました。

2 家を買うと決めて一年経ったけど…どうよ

ちょうど去年の今頃に、妻と二人で話して、家をそろそろ購入しようか、という話をしました。

先日、「幸せをお金で買う5つの授業」という本を読みました。この本では、家を買うこと=幸せになれることではないと述べています。確かに、本の中でも紹介されている通り、様々な研究で、新しい家を買っても人生の幸福度は上がらないという結果も示されています。

西洋のことわざでもあります。
一日だけ幸せでいたいならば、床屋に行け。
一週間だけ幸せでいたいなら、車を買え。
一ヶ月だけ幸せでいたいなら、結婚しろ。
一年だけ幸せでいたいなら、家を買え。
一生幸せでいたいなら、正直でいることだ

昔の人の知恵を借りるのであれば、家を買った来年一年は幸せに過ごせそうです。物質的なもので満たされるよりも経験に、投資した方が良いともよく言われます。(お勧め本であるDIE WITH ZEROでもそのようなことが書いてあったと思います。)

ただ、幸せは主観的なものなので、固有の答えがないものです。経験という観点でいえば、4000万円の家を買うよりも、家賃8万円の家に20年住んで、残った約2000万円で、20万円の家族旅行に100回行った方が、経験は多く積めるかもしれません。

どちらが幸せかは分かりません。人生は同時並行に進ませることはできず、パラレルワールドを覗き見することはできないので、比較ができません。妄想するのみです。

私と妻の判断で、きっと今買った方が幸せになれるのではないかと思って、去年の今頃に、家を買うことに決めました。今のところ後悔はありませんが、このnoteを書き始めたとき、3つの理由から、家を買うことに決めました。1年前というきりが良いため、ここで振り返りをしたいと思います。

①家の狭さ

当然のことながら改善されていません。むしろ子供の成長とともに、悪化が著しいです。「幼稚園の作品がもう収納できない」「下の子が走ってぶつかってしょっちゅう泣く」「料理をするときに物が置けない」小中の不満がさらにぽつぽつと出現してきました。

子どもが目の届く範囲に常にいるというメリットもあるのですが、「小学生になったら、さすがにもう無理。」ということは明らかであり、一刻も早く広い空間にで生活したいという気持ちが更に大きくなってきました。

風呂やキッチンも今よりもアップグレードされます。1日1日のちょっとしたことが、ストレスでなく気持ちよく過ごせるようになるのではないか、という期待があります。

②教育環境

子ども部屋がないのは、やはり気がかりです。小さなうちはリビング学習でも、と思わなくもないのですが、集中できる空間があるに越したことはないと思います。

大人の自分も、このnoteを書くときは、皆が寝静まった時を狙って一気に書いているので、子どもだって、勉強は集中できる空間(勉強部屋)がある方が良いでしょう。

また、上の子がピアノを始めたこともあって、ピアノの音も気になるようになりました。集合住宅なので、窓を開けて練習するわけにもいかず、ヘッドホンをしたりと、工夫をしながらやらざるを得ません。

加えて、下の子のフットワークが軽快になったこともあり、兄弟二人でじゃれあっているとなかなかの騒音となることがあります。下に響いていないか、鳴き声は迷惑ではないか、など、仕方ないのですがどこかビクビクして過ごしています。

子どもたちの成長のパワーに家がついていけていません。騒音の問題は戸建てになっても、考慮しなければいけないものの、少なくとも2階でバタバタと走り回って、迷惑をこうむるのは自分たちだけです。

子どもの成長に伴って起きる副作用というか、不安から解放されることも、大きいなと最近感じるようになりました。

③家賃・更新費用

これは、実際に建築費用にお金を払ってみて、家賃くらい大したことないなと、思うようになりました。住み替えの容易さや収入・ライフスタイルに合わせて、住居を変化できるのは、賃貸の大きな魅力です。

前の二つとは立ち位置が異なりますが、こういった魅力を、買えば何千万もする住居の数百分の1の更新料や家賃で担保できるのは、意外と悪くないと思うようになりました。

ただ、これは現時点の話です。あと10年経ったときに、今の収入のままでいられるでしょうか。収入はキープできたとしても、教育費が予想外にかかるなど、収支を現状以上に保つことができるでしょうか。

もっと言えば、年をとればとるほど、新しい環境への抵抗感が強くなります。効率化の面から言えば明らかに引っ越した方が得にもかかわらず重い腰が上がらない50代の自分…容易に想像がつきます。

自分が思うほど、年を取った自分は強くないと思います。きっと気力も今ほどありません。今やれることはやれるうちに片づけておく方が、幸せには近づくような気がします。

広い家への憧れも、教育環境の改善も、家賃に関する懸念も、去年の今と同じくらい、自分の中にあり、プラスアルファも育ってきています。そのため、今は、家を買ったということに後悔はありません。

もちろん、今後どうなるかは分かりませんし,何かアクシデントがあるかもしれません。すでに、ある程度の着手金を支払っているため、賽は投げられたという認知バイアスも働いていて、「これでよかったのだ」と思いたいのかもしれません。

まあ、ただその時は、ここに書くネタができたと思えばいいと、今は思います。まずは、家を買ったことで得られた幸せな一年をさらに延長することができるように頑張りたいなと思います。

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