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専業主婦世帯を選択して

最近のニュースを見ていると、何かと専業主婦世帯への費用負担を上げるものが多くなっているように思います。

第3号被保険者、就業調整は賃金も年金も損 権丈善一氏 慶応義塾大学教授 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
国家公務員の配偶者手当 廃止検討 - Yahoo!ニュース
【配偶者控除の見直し】控除廃止でほぼ増税?「103万の壁」撤廃でパート主婦に訪れる新たな変化とは(LIMO) - Yahoo!ニュース

我が家は2年前から専業主婦世帯となりました。そのため、こうしたニュースは個人的には歓迎するものではないのですが、それほど、今の働き手不足の状況を看過できないのだと思います。

1 専業主婦世帯は減ってきた?

共働き世帯が増えているというのは、一般的な感覚だと思います。周りを見ても育休をとる男性も増えてきましたし、朝、通勤をしていても保育園に子どもを送りに行っているお父さんの姿をよく目にします。

数字を見てみると、男女共同参画白書には次のように記載されています。

昭和60 (1985)年には全世帯の4割を占めていた「夫婦と子供」の世帯は、令和2(2020)年時点 では全体の25%となり、単独世帯とひとり親世帯が全体の約半数を占めるようになった。令和 4(2022)年時点の共働き世帯は、専業主婦世帯の3倍近くとなっている。

男女共同参画白書 令和5年版

2022年では、妻64歳以下の共働き世帯が1191万世帯であるのに対して、男性雇用者と無業の妻から成る世帯である専業主婦世帯は430万世帯となっています。

令和5年度の男女共同参画白書のグラフを見ると、共働き世帯は大きく増えて、専業主婦世帯は右肩下がりです。

しかし、この数値だけだと「共働き」といえども、フルタイムなのかアルバイトなのかは分かりません。(令和4年度の白書は「妻がパート(週35時間未満就業)」の区分けがあったのですが、令和5年度には見当たりませんでした。)男女共同参画白書 令和4年版

そこで別の統計を見てみます。2023年 国民生活基礎調査の児童のいる世帯における母の仕事の状況の年次推移では、20年前の2004年で母が「正規の職員・従業員」である家庭は約211万世帯であり、2023年には約300万世帯に増えています。母数の子どものいる世帯数自体は1,254万世帯(2004年)から927万世帯に減っているにもかからず、大きな伸びです。

一方で、同じ統計において児童がいる世帯で母の仕事がない家庭は543万世帯(2004年)から206万世帯(2023年)と大きく数を減らしています。

非正規の職に就いている世帯は微増程度なので、夫がフルタイムで働き妻は無業である専業主婦世帯だけが少なくなっている状況にあるとは言えそうです。

そんな、世間的には数を大きく減らしている専業主婦世帯ですが、悪いことばかりでもないと思います。

2 専業主婦世帯のいいところ

専業主婦世帯の一番のメリットは、お互いが得意な分野に集中できることです。

私は外で働いてお金を稼いでくること、妻は家で家事と育児を行うこと、それぞれ得意分野が異なります。

私は毎日通勤して、与えられた責任をこなして、時には他人と議論したり妥協したりしながら仕事をして給料を得るということがそれほど苦ではありませんが、妻にとっては、大変な作業に見えるようです。

妻自身も仕事をしていたため、人と接して時には理不尽な目にも遭いながら与えられたタスクをこなすことの大変さを知っています。そのため、ことあるごとに「長年仕事を続けられて本当にすごい」と讃えてくれます。

逆に妻はマルチタスクが得意で、家の隅々まで目が良く行き届きます。様々な種類の家事をやり、上から下まで3人の子の面倒を見ながら、家のことを回すのは感嘆しかありません。しかも平日毎日です。

私も、妻が外出する際に休日子どもを3人見ることがありますが、数時間もすれば、大分余裕がなくなります。これを経験して妻に「平日1対3毎日やって凄いね。」と声をかけると「慣れだよ」の一言が返ってきます。

得意分野が違うのだなと思います。妻はできれば外で働きたくないと思っており、得意なことを役割分担することで、お互いにストレスなく責務に集中できます。

平日の分担を家事&育児:仕事=50:50とするよりも、お互いに得意な分野に集中する方が効率的でもあり、我が家はこの体制が続いています。

もちろん、外に出て働くほうがいいという女性も多いと思いますし、無理に専業主婦を行う必要はありません。各々の家庭の価値観によって異なることであると感じます。

3 子どもにとってはどちらがいいの?

たまに目にする論争です。
「子どもが小さいうちは、お母さんが近くにいて子育てすべきではないか。」小さいうちっていつまでだろうと疑問に思います。

WHOも2歳までは母乳育児をすべきという声明を出していますし、乳児の時は母親が近くにいるべきと言うのは、その通りだなと思うわけですが、3回食になって、卒乳したら親の手を離れるのかと言うとそういうわけでもないわけです。

急な病気になることも多いから、小学校に入るまでは両親どちらかが家にいる方が安心であるとか、小学校に入っても一人で鍵を開けて家の中で過ごしてもらうのは不安だからなど、親が家にいた方がいい理由はいくつも出てきます。

一方で、最近は公的・民間の託児サービスの発達は目覚ましいものがあります。低額な料金で子どもを預かってくれる自治体のサービスもあったり、一時期問題となった待機児童も、自分の自治体も含めて大分解消されてきているように思います。

小学校に上がるまで親元から離れずに育った子と、両親共働きで、保育所等に預けられて育った子で、成長に有意な差があるかは、いくつかの子育ての本を見てもはっきりとしません。個人的には影響がないようにも思います。

またはどちらが幸せなのかはさらに複雑な問題です。子どもに聞いてみないと分かりませんし、ましてや、別の世界線を体験することはできないのですから、比べることも困難です。

そのため、専業主婦世帯である方が子どもには良いとは言い切れません。ただ、個人的には、データ上はプロが面倒を見た方が事故等は少ないということを踏まえたうえでも、妻が見てくれた方が安心感はあります。

結局は、家庭によるので、専業主婦世帯がいいかどうかは分からないと言うあたりさわりのない結論になるのですが、自分の選択は間違っていなかったのではなかったと思います。

色々な理由があり、妻に仕事を辞めてもらい、一人で家計を支えることになりました。子どももすくすくと育っているし、家計も現時点でも健全で将来も机上では問題はないだろうと出ています。

「こうした条件が整えば専業主婦が良い。」と言うことはできないのですが、世間で言われるほど、悪い選択肢ではないのではないかとは思います。

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