公務員に英語は必要か?(私の英語勉強法)
「公務員に、英語or プログラミングo会計知識は必要か?」よくある質問です。そのうちの1つとして、公務員として働くうえで、英語が必要かどうか考えてみました。
私は、公務員に英語能力(リスニング、スピーキング、ライティング、リーディング)は必須ではないが、費やす時間に対しての効果が大きいため、勉強しておいたほうが良いと考えます。
1 公務員に英語は必須?
必須であるとは思えません。社会人として働く以上、自分の能力を最大限に発揮して、与えられた役割を果たすべきです。そのため、英語を学ぶよりは、担当している業務について、深く学び、専門性を身につけて組織に貢献すべきと考えます。
地方公務員の働く、多くの地方自治体には「国際課」「国際交流課」「企業誘致課」など、海外と日常的にやり取りをしている部署がすでに存在しています。
自治体によっては、外国籍住民への周知啓発や窓口対応などに対応できる人材確保にも努めており、帰国子女やTOEIC900以上など、英語能力が高い人材に絞った採用も行われています。餅は餅屋として、スタートラインから英語能力が高い人材がいるのであれば、適切な業務に適切な人材を配置するほうが効率的です。
個人にとっても、英語を今から学んで、同じ土俵で戦うよりは、自分の業務に関する知識を深める方が、他の職員との差別化ができるでしょう。公務員を目指そうとしている方々にとっても、英語ができることよりも、「なぜ、他者と比べて、自分は貢献できるのか。」をしっかり説明できる準備を行い、その説明に対する裏付けの知識・技能を磨くほうが効果的です。
2 英語は全く使わない?
10年以上、地方公務員として従事していますが、英語を使う業務の担当となることは稀です。しかし、英語を求められるケースが全くないわけではありません。
私事となりますが、ある新聞社が主催する国際会議に、所属する自治体が参画することになりました。その場で、当方の幹部が英語でプレゼンをすることになったのですが、なぜか私がプレゼン資料作成を担当することになりました。
寝耳に水の話であり、未だに、なぜ私が選ばれたのかは分かりません。会議には、外資系企業の役員や海外の大学の教授などもゲストとして多数招かれており、良いところ平均レベルの英語能力しか持たない自分が、プレゼン資料を作成するなど、夢のまた夢でした。
準備期間が数カ月あったため、必死で英語の学び直しを行い、何とか成功裏に終えることができましたが、10年以上勤めてきて、地方公務員として業務で英語を要求されることは、この1回だけでした。
しかし、1回だけの経験でしたが、英語を学ぶことの面白さに目覚め、効率的な勉強方法も、その過程で学ぶことができたため、以下に記載したいと思います。
3 英語の面白さって?
文部科学省の中央教育審議会の資料(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/attach/1379956.htm)によると、世界で英語を母語とする人口は約4億人とされています。日本語の1.2億人と比べて3倍以上であり、加えて、母語ではないが英語を話す人を含めると、その数は15億人に上ります。
つまり、世界の多くの情報は英語でやり取りされており、英語の能力を高めることができれば、今の数倍の情報を早く手に入れることができます。
例えば、新型コロナウイルスのワクチンの有効性について知りたいとします。日本語のみで情報を集める場合は、厚生労働省のサイトや、新聞やインターネットなどのニュースを通す場合が多いと思います。
新聞やインターネットの情報は、それぞれの思いによってバイアスがかかっており、鵜呑みにするにはリスクが大きいと思います。また、国からの情報は、更新に時間がかかることも多く、他の情報をかぎ分けながら適切な情報を探すことも大変です。
一方で、英語を読むことができるのであれば、米国のCDC(Centers for Disease Control and Prevention)などのサイトからも、最新の適切な情報を早く取得することができます。
プライベートにおいても、海外スポーツを字幕なしで見て、臨場感が高まる。海外株投資において、当該企業のサイトから決算書を読むことができれば投資の範囲が広がるなど、英語ができることによるメリットは非常に大きなものがあります。
4 公務員が英語を学ぶ職務上でのメリット
英語を使用する機会はあまりないという前提ですが、「英語を学んでいる」だけで、得られるメリットがあります。若い人は特に「何かを勉強している」と、上司等に伝わるようにするだけで、評価が上がります。
人事評価をする立場の人は、向上心があるか、何かに挑戦したいという人を好意的に思うことが多いです。英語は、費やす時間に対して、効果が出るまでが早く、加えて、TOEICやTOEFLのように数値で、結果を表してくれるため、評価する側にとっても結果が分かりやすいという利点があります。自己研鑽として、いち早く成果を出したい場合は、非常に効率が良いといえます。
また、英語は学んでいて邪魔になることがありません。専門的な資格を取得した場合、人事異動等で、その資格に関連した部署に配置されることが多く、本人の望みである場合は良いのですが、経験する範囲が狭められるリスクがあります。
一方で、英語はあらゆる分野につながっており、医療、福祉、環境、観光など、あらゆる場面で能力を活かすことができる汎用性の高いものと言うことができます。
5 私の英語勉強法
では、どのように英語を勉強すべきでしょうか、最後におまけとして記載したと思います。前述のとおり、私は短期間で英語の能力を高める必要があったため、どのようにして学べば効率が良いか、英語話者の友人にヒアリングをしました。結論として、目的別に勉強法を変えることが必要でした。
TOEICのスコアを上げる
公務員として目に見える結果が欲しい場合は、TOEICの受験がお勧めです。TOEICは問題のタイプがある程度決まっているため、学べば学ぶだけ結果がついてきます。
個人的な意見ですが、1つのテキストを繰り返して学ぶほうが知識の定着はしやすいと考えます。究極のゼミシリーズと呼ばれるテキストを購入し、平日は1日3時間、休日は1時間半ほど、3カ月繰り返して勉強したところ、TOEICのスコアは600点から800点へと、200点アップしました。
読める・聞けるようにする
自分の趣味や興味関心のあることと結び付けることで、英語のモチベーションを保つことも有効です。kindleとaudibleを使用して、興味あるジャンルのテキストと音声を購入して、読み・聞きを鍛えることで、退屈せずに学習することができます。
私の場合は、海外サッカーや投資に興味があったので、アスリートや投資家の自伝を電子書籍と音声で購入し、通勤の間に聞きながら、読むようにしていました。
慣れると、1カ月ほどで400ページほどの洋書を読むことができ、「英語の本を1冊読み終えた」という自信も手にすることができます。
話す・意見を伝えられるようにする
英語で討論することをお勧めします。社会人ディベートクラブ(ESUJ)では、時事問題(新型コロナウイルス感染症による強力な行動制限は有効か、など)や、好みが分かれる価値観の問題(賃貸と持ち家は人生においてどちらが有利か)について、賛成派と反対派に分かれて討論を行っています。
自分の意見を英語で伝えることは思った以上に難しいのですが、実際に口に出して伝える難しさを肌で感じることは大変に有効です。
6 まとめ
国内、地域内の仕事が多い公務員ですが、英語ができると人生の幅が広がります。思ってもみなかったことに興味が出たり、ある事柄について、海外の人はどう考えているのか、調べるためのツールにもなります。
また、他の専門資格と比べても、英語は費やす時間に比べて、結果がついてくるのも早いため、公務員にとっても学ぶことはお勧めしたいと思います。