窓辺に寄せて。
〝夏の匂いを吸い込んで吐き出す〟
この音が聞こえてくると
自分がいま夏の中で生きていることが
現実味を帯びてくる。
心に寄り添う音楽が
人生に寄り添う音楽があること
それがどれほど素敵なことなのか
歳を重ねるごとに深みは増していく。
真夏の高い空を見ていると
頭が悪くなりそうだと思った。
どこまでも何もかもを照らしていく光
死にそうだ、と思った。
そんな時間を持てあまして、
いつの間にか通り過ぎてしまった一切が
遠い昔のことみたいに感じる。
音楽に恋をしていた。
秋が一番好きだったのに、
気づけばいつも私の心は
夏の青に守られている。
前よりも分かったことは多いのに
自分自身と話すことをやめてしまった今は
言葉がうまく出てこなくなった。
自分と繋がっているってことは
心が地続きであるということ。
閉じてしまったその先の
光の行方は分からない。
呼吸をするように、本来の自分でいること。
鏡面からは逃れられないということ。
沢山の感覚と感傷と、憧憬を飲み干したのは
また再び自分と出会う日のためだったのかもしれない。
手放した
取り戻した
もしかしたらそうじゃないのかも。
私は初めからずっと、ここにいる。