伽藍堂。
音がなっている
ずっと、耳の奥で、音が
音を手掛かりにしてそれが音楽へたどり着いたとき、
胸の奥を引っ掻くような
ささやかで的確な痛みが この目を閉じさせてしまう
「あの頃に、戻りたいの?」
いつも自分に問いかける
あなたは、あの頃が恋しいの?戻りたいの?と
断続的な情景
写真のように止まった時間の内側で
また風が流れている
止まったままの被写体
モノクロの雲 それだけが薄く線を描く
絶望は、食べ尽くしてしまったよ
心象写真の中には、悲しみはもう残っていない
そう、いつも思っている。
景色だけが私に色を残していった
忘れたい、
そう願ったその時から忘却の魔法は始まっていた
ここにはもう、絶望はない
触れたら壊れてしまいそうに、
綺麗だった季節の中心と熱
音楽とリンクして覆われてしまうあの頃の思考
光
海の陰翳
風の温度
途方も無いくらい、青が過ぎる天
網膜の裏に焼きついた
零れ落ちそうな空っぽの美しさだけ
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