![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145885414/rectangle_large_type_2_f6eb8b2e3872fd944dc1cb1979bad5b6.png?width=1200)
Photo by
nb_o
夏の始まり。
透明な体が、冷たい水を飲み干す季節を待っていた。
眠ったままの仄明るい部屋で
気がつくと原風景の中を歩いている毎日
たしかに望んだ世界の方へ時間が動き出していた
どんな時も自分は変わらない
何処にいても
誰といても
それは些細なことで
いつも一緒にいる自分の世界の端っこが
この手を掴んだまま離さない
真昼の月に近づいた、遊歩道の上
あの歌の歌詞は全然忘れられそうにない
指先の陰影
虚ろな視線の先にあった白昼夢
湿った花
一切が夏の心象になって
また思い出すサンクチュアリーの質感
境目が曖昧になる夏季は
毎年呼吸することを思い出す
深く深く潜って
また夏を泳いでいく
沢山の言葉と一緒に、
星を掬うように歩いて行く
この時間を、どこまでも
透明な体が夏のしずくを飲み干す、その時まで。