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Re.Re.
「行けばいいじゃない。
足を運べばそこで待ってくれている景色なら、会いに行けばいいじゃない。
どうして躊躇うの。
なにを怖がるの」
心がいっぱいになるのが怖いんだよ。
戻ってこられなくなってしまうのが、
連れ去られてしまうのが恐ろしいんだよ。
単純な気持ちでは、もう生きられないんだ。
混線するサインから、
君の声を選ぶのは、もう上手にできないんだ。
目の前の人がどんな言葉を欲しがっているか、手に取るように分かる。
相手の感情が自分の心に流れ込む。
プラグを刺されているみたいに、逃げ出せなくなる。
引き抜こうとする指先は、もう全然力が入らない。
だから
だから見ないふりするんだよ。
聞こえないふりするんだよ。
この魔法は使わなければきっと、
衰えてなくなってくれるから。
相手にも自分にも不誠実になって、
鈍感に生きていくんだよ。
「面倒で、退屈な人だ」
その通り。