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夏の半券。
「夏の半券」という秀逸すぎるタイトルのついたみきとさんの音楽がある。
みきとさんの創る音楽や詞は本当に素晴らしくて、
それは目を向け続けている、
探し続けている、
感じ続けている人にしか見つけられないような、
些細でいて確かな何かを内包しているような。
アンニュイの色合い、そのものみたいでとても好きな音楽家の1人。
夏に出会う心象風景は
幼い頃から積もっていて、
今では決して失くせない私の創作の軸になることが多い。
一人きりの海岸通りの景色や、
波が打ち寄せる夕景。
耳の底がとても静かで、遠くまで澄んだ夏の午前や、
それを内側で感じるレースカーテンの影。揺らす風。
言葉にならないような感情の揺らぎ。
心へ血液へ落とし込んでいく、
さまざまな青の色彩変化。
それをどうにか表現したくて、
多分今日も文章を書いている。
誰かが作った音楽が鮮明な心象へ夏を昇華していく。
チクリと痛む心を抱いて、
覚えているのが私だけでも立ち止まってはいけないんだなって考えたり。
抱えるたびに、重たくなって、動けなくなってしまいそうになるけど。
全部抱えて歩いていくのも良いかもしれないって、今は思う。
1つずつ昇華して、消えない形をあげられるなら。
意味があるって思えるなら。
夏の心象をかたどった音楽。
好きな音がたくさんあるよ。
思い出しても、もう大丈夫。
循環する血液になって、
誰かと繋がっていくファインダーになる。