ゆらぎ
冬が終わる頃になって、冬が恋しくなるのだ。
急に冬の歌が聴きたくなって、
過ぎ去ってゆく季節の中に なにかしらの形を探している。
夏の終わりがなんだかやるせないような
脱力感と虚無感でいっぱいになるあの感覚に似ているのかもしれない。
季節の真ん中で、表面上の色が自分に混ざってゆく最中は 本質の色には気がつかない。
やっと私に浸透して 今冬の本当の色を知るのは
もう目の前を通り過ぎようとしているときだ。
四季に合わせて 意識も作り変わるのか。
移ろってゆく度になんだか寂しくて、
桜を
星座を
名月を
ガラスの空をみあげる。
もう二度と出会えない季節に愛を込めてさよならを。
巡り会う季節に 透明な祝福を。