プラネタリウム
唯々、見失っている。
ずっと、かくも長き不在。
普通な自分の中に、特別な景色が宿っていることを教えてくれた。
原風景の中にはいつだって、声があって、音楽があった。
揺蕩う布。夜。人形。
誰もいない洋館、荒廃した庭。
息ができる、そんな風に思えた出会い。
きっとずっと最期に傍で鳴り続けるのはこの音楽だと、疑いもせず確信していた。
好きなものに背を向けるのは、大人になったからか?
平凡だから悩んでいたのに、
いつからかそれは違っていたみたい。
平凡な日常の輪を乱さないように、
正しいリズムで呼吸をしようともがくほど
私はわたしから乖離した。
好きなものを理解されたいとは思わない。
共有したいとも思ってない。
ただ、否定されるのは嫌だった。
自分の原風景を、汚されたくなかった。
ここの水は苦い。
肌に合わなければ息もできない。
普通になろうともがくのはやめた。
そんなものはどこにもないよ。
好きな色に、
質感に、
心象と感傷に、深く 深く沈む。
それだけが良い。