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モノローグロム

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日々の記録。
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#エッセイ

恋愛音楽

恋愛音楽

季節感の乏しい夏。

朝、マスクをして駅までの短い時間空を見上げる。
ワイヤレスイヤフォンを耳に押し込んで、8月の私は今日も音楽と一緒だ。
外側だけが非常に夏っぽい。ように見える。
子供の頃の原風景のような、真っ白い入道雲と高発色の青い空。



相も変わらず、大人になった今でも音楽に恋をしている。音の為に生まれてくる、言葉の感触も同様に。心の内側を見つめ続けるような、それを季節や幻想に投影する

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closer.

closer.

遠い記憶の中から今でも見つけられる、ずっと光を内包してるそのscene。

募っていく。
日々、ただひたすらに募っていく。

積み上げられた時間の上で、
今日もバランスをとって遊んでいる。

人生はゲームだ、そう言い切ったあの人は、
今どこにいるんだろう。

瞬間を切り取っている。
針を飲むような痛みも、汚泥を啜るような心地も、続いている間は地獄だが、
過ぎ去ってしまえば全く違う側面が見えてくる。

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朝がはじまる。

朝がはじまる。

夢から覚める瞬間に、誰かに〝忘れないで〟と言われた気がした。

境目が曖昧な朝。
ぼんやりする頭で最初に目に入るのは、
自分で測って買ったカーテンの隙間から漏れる朝の光。

ベランダ側のカーテンは遮光なのに、測り間違えてしまって1cmくらい足りてない。
でも日当たりの悪い部屋で唯一朝だとわかる瞬間が、横になったまま目が合う隙間からもれた光だ。
床についてない方が掃除もしやすいし、次また引っ越してカ

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27。

27。

「こんな晴れた日には、死にたくなるよね」

顔の隠れた彼がそう呟いたので、
私は嘘みたいに晴れた空をもう一度見上げて 〝そうかも〟と返した。

深く考えないことが無い彼と私の間で交換する言葉は、多分いつだって嘘がなかった。
嘘がないからこそ相手を追い詰めて、いつも息苦しかった気がする。

晴れた日には死にたくなる。
その言葉は長い長い時間が経った今ですら、
たまに思い出してしまうほど印象的だった。

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輪郭をなぞるように。

輪郭をなぞるように。

『私、今どんな表情をしている?』

誰かといるとき、背後にいるもう一人の自分が問いかけてくる。
俯瞰している彼女と心は共有していても、表情はそうとは言えない。

卑屈な態度の人と相対していると、
私の中の同じ部分が頭をもたげてくる。

すぐ謝るくせに、いつもどこか上からの物言いな相手と向かい合っていると、
(ああ 自信がなくて不安で仕方ないのかもなぁ。
自分もそういう側面もっているもんなぁ)

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Ghost of Beautiful View

Ghost of Beautiful View

私の大好きな曲のひとつ
ART-SCHOOLの"Ghost of Beautiful View"

この曲の中で生きていた時間
今はここにないけれど、この音楽の中で確かに生きているあの頃の傷ついたghostみたいな私を

この音楽はどこまでも精神を透明にしてくれた
日常や現実が半分ずれた場所にいる、
誰とも混ざれなかったジオラマみたいな街の中で

いつもこの音楽が鳴っていた

傍らには病んでしまっ

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時のゆくさき

時のゆくさき

人がまばらな夜のターミナル駅で、
なんだか溜息が出る。

何かに悲観しているわけではないけど、
疲れているわけでもないけれど。

もっと根源的なものについて、深く思案したいような気持ちが消えないの。
表層的なものばかり 惑わされたくないからさ。
見えているものでしか判断できない価値観は欲しくない。
でも想像は、
想像することは果たしてあっているでしょうか。

分かりあおうとする距離にあるものを、

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Muse.

Muse.

素敵な人や物が溢れかえっているような世の中で
欲しい物がなんだったか、
目が醒めたらもう覚えてすらいない。
それならいっそもう何も要らないか、と手を放す。

世の中と自分の間にずっと薄い膜がある。
同じ渋谷の大通りを歩いていても、
すれ違う人と自分の間には全く別の時間が降り積もり、裏と表のパラレルワールドを生きているような心地が拭えない。

境界線の外にいるのが相手なのか自分なのかは分からない。

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個性。

個性。

文藝評論家の方の、LGBTについての寄稿関連ツイートをみた。
私の人生の上でもLGBTに悩む人とは沢山出会ったし、
わりかし若い世代の私達からしたらもうそれでとやかく言うのはナンセンスなくらい普通のことだと感じている。
色々な考え方があって然りだけれど、これは…。

あまり気がすすまないけど、ちゃんと寄稿は読んでみようと思う。

中学2年の頃、私を好きだと言ってくれた男の子は
ずっと話し言葉が女の

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未明

未明

回帰。
前に進めばその分、後ろの影は濃くなる。

光が差すほど私の後ろには影ができる。
それは至極真っ当で、自然なことだと思うけれど。

泣きたくなるような遣る瀬無い明け方に、
どんな音楽を、言葉を選ぼうか。
毎秒変化する自分の心に置いていかれてしまう。
春が懐かしい。
夏は覚えてない。
会いたい人がいたけど、会いに行きたいと思わなかった。
正しくあろうとして、おかしくなってしまう。
全部仕様もな

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木曜日のマネキン。

木曜日のマネキン。

人間嫌いがなかなか治らない。
常に考えているわけじゃ無いけど、ふとした時に感じる既視感。
昔どこかの誰かに言われた、人間アレルギー。

ああまたこの感覚か。
治ってないな、結局未だこのままだ。なんて。

海や風や植物が好き。
あるがままに耳を傾けて音を聞くことが好き。
心が楽だから。
私がどんな人間でも、海は囁くし風は凪ぐ。
植物は太陽に向かって育まれる。

人が苦手なのは、
瞬間刹那の自分の心を

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