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モノローグロム

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日々の記録。
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#心

師走の徒然。

師走の徒然。

思い出すのは遠い日の青。

***

忙しない12月。
心を亡くすとかいて「忙」なんだと国語の先生が言っていた。毎年思い出す。
相も変わらず12月の私の心は行方不明。
感動も安らぎも、私の心には無縁のように通り過ぎていく。

人と違うと気づいたのは大人になってからかもしれない。
特別な才があるとか、ずば抜けた美的感覚があるとかそういうことじゃなくて、私はいつもどこかが変で普通の外側を生きているみた

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知らない感情を教えて。

知らない感情を教えて。

〝思い込みの怖さ〟は手を変え品を変え、世の中の教訓的な物の中に幾らでも溢れている。

ちょっと角度は違うけど〝人前で咳をするときは手で押さえましょう〟とか〝電車内で大声で通話するのは周りの人に迷惑です〟とか、考えるまでもないようなことが守られないことはいくらだってあって。

雨の日の朝、降車駅の階段を昇っている時、傘を後ろに振って昇っていく人が必ずいる。日常の中で〝危ない思いをした〟と色々な人が言

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closer.

closer.

遠い記憶の中から今でも見つけられる、ずっと光を内包してるそのscene。

募っていく。
日々、ただひたすらに募っていく。

積み上げられた時間の上で、
今日もバランスをとって遊んでいる。

人生はゲームだ、そう言い切ったあの人は、
今どこにいるんだろう。

瞬間を切り取っている。
針を飲むような痛みも、汚泥を啜るような心地も、続いている間は地獄だが、
過ぎ去ってしまえば全く違う側面が見えてくる。

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27。

27。

「こんな晴れた日には、死にたくなるよね」

顔の隠れた彼がそう呟いたので、
私は嘘みたいに晴れた空をもう一度見上げて 〝そうかも〟と返した。

深く考えないことが無い彼と私の間で交換する言葉は、多分いつだって嘘がなかった。
嘘がないからこそ相手を追い詰めて、いつも息苦しかった気がする。

晴れた日には死にたくなる。
その言葉は長い長い時間が経った今ですら、
たまに思い出してしまうほど印象的だった。

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time to say goodbye.

time to say goodbye.

今まで生きてきた大半の時間、ひとつだけずっと苦手なことがある。
もしかしたら永遠のテーマになってしまうのかもしれないし、ある日突然パッと解消される日が来るのかもしれない。

自分ひとりで起承転結が結べるのであればどれだけいいだろう。
色々な問題に直面するとよく思う。
素晴らしい出来事もそうじゃない事柄も、私以外がいることでもたらされるのであって
相手の心があるからこそ自分のやり方だけでは解決するこ

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not yet.

not yet.

美しいものが足りない。

映画を観たり
音楽を聴いたり
雑誌をめくったり本を読んだりして
眠ったりして

1日の大半、自分の意思で考えることをしていない。
触れたものに心を動かされることはあっても、
やるべき事をやらず
やらなくていい事も手付かずで
ただ時間という概念の中に心拍を打つだけの、
生きる人形のような毎日だ。

話すことが億劫になる。
誰とも話さないまま、自分の声を忘れてしまいそう。

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輪郭をなぞるように。

輪郭をなぞるように。

『私、今どんな表情をしている?』

誰かといるとき、背後にいるもう一人の自分が問いかけてくる。
俯瞰している彼女と心は共有していても、表情はそうとは言えない。

卑屈な態度の人と相対していると、
私の中の同じ部分が頭をもたげてくる。

すぐ謝るくせに、いつもどこか上からの物言いな相手と向かい合っていると、
(ああ 自信がなくて不安で仕方ないのかもなぁ。
自分もそういう側面もっているもんなぁ)

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一回お休み。

一回お休み。

ここ最近、泣きたくなる。
なんだかとてつもなく無防備に泣きたくなってしまう。

心と体が両方疲れているみたいで、
こんな時は自暴自棄にならず 丁寧に丁寧に日々をやり過ごすのが最善で、
間違っても心の淵に立ったり その深淵を覗き込んだりしてはいけない。

いけないんだけど、

どうして、とか なんで、とか

気がつくと繰り返し考えている。

ある程度の問題に、心の鏡面は波立たなくなった。
今ならメン

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frasco

frasco

あっちもこっちも工事中。
地上が明るいから、私の街には夜が来ない。

今夜も快晴、青く、そして白く。

枕に耳を当てると地下鉄の走り去る音がする。
通りを歩く誰かの歌う声が聞こえる。
音がすると眠れないなんて、
はじめからそんな繊細にできてはいないし

9階の白昼にみた景色はまるで奥行きがない

水色の、ノートパソコンの上に突っ伏している
イヤフォンから可愛いあの子の泣いてるような歌声

才能に気

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伽藍堂。

伽藍堂。

音がなっている

ずっと、耳の奥で、音が

音を手掛かりにしてそれが音楽へたどり着いたとき、

胸の奥を引っ掻くような
ささやかで的確な痛みが この目を閉じさせてしまう

「あの頃に、戻りたいの?」

いつも自分に問いかける

あなたは、あの頃が恋しいの?戻りたいの?と

断続的な情景

写真のように止まった時間の内側で
また風が流れている

止まったままの被写体
モノクロの雲 それだけが薄く線を

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響き

響き

言葉をなぞる癖
語感が持つ素直な響きと、
その向こうにある奥行きが持つ響き。

あなたと私は同じ言語を話しても、同じ言葉をどれだけ持っているでしょうか。
胸に響くその音が、同じ音をしていたら
分かり合えるような
許しあえるような
そんな気持ちを互いに持てるのかもしれません。

沢山の言葉をあつめて、
あなたに飾り付けてみても
その行為にはなんの意味もないのかもしれない。
伝わる心があるならば、

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othello

othello

口には出して言えないことがたくさんある。

想像と妄想の境目は曖昧で、
たまに頭がおかしくなってしまったのかと思う程
知らないうちに現実の振りをしたフィクションを生きている時がある。
何が起こるかわからない世界。
思いの強さでオセロを裏返すことができる時もあるのは確かだ。

でもたまに、そんなフィクションを裏返すために前向きである事が疲れてしまう時がある。
運命を切り開いていく力は、
思いや情熱

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4月26日のこと。

4月26日のこと。

4月26日、金曜日。くもり、雨。
霊園。

雨を含んだ湿った通り、灰色の空と墓石。
たまに人とすれ違う。
車が通る。
四月の終わり、巻き戻ったような冷たい外気。

たくさんの人が眠る、道なりの景色。

底の方まで静けさが停滞し、
色々なことに怯えて生きている感覚が
安らかさに変わっていくみたい。
ゆるされているようで、温かい冷たさに包まれる。

終わりがあることの美しさ。
明確な終焉が待つことの

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New.

New.

新しい場所へ連れ出してくれる価値観やことばをずっと探している。

水槽の水が濁っていくみたいに、
毎日なにかが変化する。

昨日と同じ道、同じ駅、同じ場所。
どんどん濃度が濃くなって、視界が狭くなってくる。

最近はいつにも増してたくさん本を読む。
人と話すこと、コミュニケーションに付随する諸々がなんだかとても億劫だ。

最近環境が変わって、ずっと縛られていた体や心が
少しずつ楽になってきた。

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