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モノローグロム

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日々の記録。
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#言葉

師走の徒然。

師走の徒然。

思い出すのは遠い日の青。

***

忙しない12月。
心を亡くすとかいて「忙」なんだと国語の先生が言っていた。毎年思い出す。
相も変わらず12月の私の心は行方不明。
感動も安らぎも、私の心には無縁のように通り過ぎていく。

人と違うと気づいたのは大人になってからかもしれない。
特別な才があるとか、ずば抜けた美的感覚があるとかそういうことじゃなくて、私はいつもどこかが変で普通の外側を生きているみた

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ヴィオレ

ヴィオレ

きれいな言葉で世界を紡ぐ。
青いフィルター、夏の呼吸。

削ぎ落とした鋭角は
磨いて、磨いて、ひとつずつ夏の宝石に還す。

美しいものが好きだった。
あなたに笑っていて欲しかった。
私はわたしが生きていける世界を描きたかった。
誰かがかいたエンドロールに取り残されてしまわないように。

自分の中から取り出した美しさで
心象世界を組み立てる。

私は宝石ではないから、
補わないと削るばかりで美しさを

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empathy

empathy

あなたの描いた景色がたしかに私の目に映っている。

***

私は小高い丘の上にたっている。
ガラスの温室。
眠る心の欠片。

時折大きな花束を抱えた少女が、目の端を通り過ぎていく。
赤い一輪の花。
贈られた彼は、光のように透けてしまいそう。
ガラスの温室にひとりの老人が訪れる。
風は静か。
丘を囲む小さな町をみおろして、私は自分が作ったこの世界に座り込んでいる。

たまに温室のガラスの戸棚を

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輪郭をなぞるように。

輪郭をなぞるように。

『私、今どんな表情をしている?』

誰かといるとき、背後にいるもう一人の自分が問いかけてくる。
俯瞰している彼女と心は共有していても、表情はそうとは言えない。

卑屈な態度の人と相対していると、
私の中の同じ部分が頭をもたげてくる。

すぐ謝るくせに、いつもどこか上からの物言いな相手と向かい合っていると、
(ああ 自信がなくて不安で仕方ないのかもなぁ。
自分もそういう側面もっているもんなぁ)

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dolly dolly dolly

ゆるやかな絶望。
ときどき頭の中が茹って変になる。

軽やかな音楽。
お終いが分かっているから、刹那的に踊ろうよ。

矢鱈に眠たい毎日。
繋ぎながら、結びながら歩くささやかな毎日が
また剥離している。

直すのはもう相当に面倒くさい。

終末に向かって 羽のような手触りで
壊れていってるみたいで少しだけ気持ちがいい。

明るい絶望。

決定的な違いの、
つなぎ目ばかりが気になって仕方ないけれど

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Ghost of Beautiful View

Ghost of Beautiful View

私の大好きな曲のひとつ
ART-SCHOOLの"Ghost of Beautiful View"

この曲の中で生きていた時間
今はここにないけれど、この音楽の中で確かに生きているあの頃の傷ついたghostみたいな私を

この音楽はどこまでも精神を透明にしてくれた
日常や現実が半分ずれた場所にいる、
誰とも混ざれなかったジオラマみたいな街の中で

いつもこの音楽が鳴っていた

傍らには病んでしまっ

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whisper

whisper

〝お静かに〟

耳元で囁くような柔い声が聞こえた気がした

顔をあげると、灰色の水彩から降り注ぐ雨
プラットホームにいる人らは みんな無口だ

雨の音がする

細かい雨の紋様が 灰色のパノラマに溶けていく

その柔い囁きが聞こえると、
頭で考えていたあれこれは消え失せて

目の前にいる〝誰か〟の姿を
その輪郭を知らずしらずのうちになぞっている

煮詰まっている時ほど
絡まっている時ほど

〝わた

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ライティングの勉強をはじめた。

ライティングの勉強をはじめた。

ピン、とくるきっかけが有って、コピーライティングの勉強をはじめた。

小説家になりたい気持ちは変わらずあるけれど、
もっと自分の為だけではない言葉を勉強してみたくなった。

「文章を書く」
…という行為をもっと多角的に知りたいと思って、
右も左もわからぬままコピーライティングのセミナーに参加してみた。

以前の自分だったら絶対に行かなかっただろうけど、
今なら不安より好奇心の方が勝っている。

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響き

響き

言葉をなぞる癖
語感が持つ素直な響きと、
その向こうにある奥行きが持つ響き。

あなたと私は同じ言語を話しても、同じ言葉をどれだけ持っているでしょうか。
胸に響くその音が、同じ音をしていたら
分かり合えるような
許しあえるような
そんな気持ちを互いに持てるのかもしれません。

沢山の言葉をあつめて、
あなたに飾り付けてみても
その行為にはなんの意味もないのかもしれない。
伝わる心があるならば、

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ロビンソン

ロビンソン

気づいたらもう、季節は一周していて

お勧めしてくれた150話あったドラマもとっくに観終わってしまって

季節の真ん中にいる内は、相変わらず気づけずに

また春を迎えようとしている。

思う/想う気持ちは奇跡だと感じる。
奇跡は重い。
その分だけ、もしかしたらそれ以上に
煩わしいと感じる気にもなる。

思い/想いは色々なことを信じるということ。

自分のことすら上手く信じてあげられないのに、
それ

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濃紺。

濃紺。

12月の澄み切った夜をみあげている。
白昼と同じくらい、濃紺の空の雲は白い。

マスクで半分隠れた顔。
彫刻のような冷たい耳。
秒単位で刻まれる毎日に、見上げることを忘れて
下を向いたまま歩いていては人生の意味なんて何ひとつ無いように感じる。

押し流されるような年の瀬の忙しなさが
私の今日を囲っていても、
私自身は何ひとつ変わってはいないことを確認する。
反復作業。
反芻。

自分で無くなりそう

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light

light

眠れそうになくって海の近くまで。
風が強い夜。

歌声や観劇に心の欠片が散らばって、目を開けたまま誰かの夢を生きているみたい。
Life is beautiful、のはず。
相変わらず何かになろうとして、
まるで自傷的な思考。

現実の痛みから目を背けても仕方ない、でも、
溜まった膿を吐き出すようなそんな文章は書きたくない。
美しさに変化する程の醜悪さはないし、
ただただ幼稚な取るに足らないものだ

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いのちの魔法

いのちの魔法

「 形成されたばかりの心臓へ、
循環する血流が脈打っていた。

暖かな沈黙。
掬い上げた手の中の混沌に、小さく息づく真綿にくるまった可愛い私の生命の手触り。

悲しみを
苦しみを
痛みを、一体どれくらい繰り返したら
すべての夜を越える強さと引き換えられるだろうか。

この空っぽの入れ物を満たすだけの、
ささやかな時間を共にする手の中の重り。

色は自分で決めていい。
私はこの「

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讃美歌。

讃美歌。

#8月31日の夜に
このタグを目にして、なにか書きたいと思った。
今日までの自分の為に、
そして、たった1人の誰かのために。
届くかも必要かもわからない、宛先のない文章。

私の話。
中学2年生の始まりから、私は急に今の私になった。
それまでは特別なにかを疑うこともなく、
良いも悪いも無しに流れに任せて生きていたと思う。
主観的になると思春期スイッチが入っただけだ、
なんて到底割り切れないのだけど

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