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月面サナトリウム
2021年12月27日 01:00
思い出すのは遠い日の青。***忙しない12月。心を亡くすとかいて「忙」なんだと国語の先生が言っていた。毎年思い出す。相も変わらず12月の私の心は行方不明。感動も安らぎも、私の心には無縁のように通り過ぎていく。人と違うと気づいたのは大人になってからかもしれない。特別な才があるとか、ずば抜けた美的感覚があるとかそういうことじゃなくて、私はいつもどこかが変で普通の外側を生きているみた
2021年4月23日 01:55
夢から覚める瞬間に、誰かに〝忘れないで〟と言われた気がした。境目が曖昧な朝。ぼんやりする頭で最初に目に入るのは、自分で測って買ったカーテンの隙間から漏れる朝の光。ベランダ側のカーテンは遮光なのに、測り間違えてしまって1cmくらい足りてない。でも日当たりの悪い部屋で唯一朝だとわかる瞬間が、横になったまま目が合う隙間からもれた光だ。床についてない方が掃除もしやすいし、次また引っ越してカ
2021年3月24日 00:13
春は呪いだ、自分で書いた物語の最後に、確かにそう言葉が連ねてあった。生温い記憶を呼び起こす、春は呪いだ、と。映像に引っ張られるようにして、欠片を拾い集めながら言葉を紡ぐ。浮かんだ情景がその輪郭を失う前に、描写することに心が駆り立てられなぜだかいつも焦っている。もしかしたらこの心はいつも空っぽなのかもしれない。突然現れる景色で溢れてしまわないように欠片と言葉を束ねている間は、こ
2020年7月18日 01:50
きれいな言葉で世界を紡ぐ。青いフィルター、夏の呼吸。削ぎ落とした鋭角は磨いて、磨いて、ひとつずつ夏の宝石に還す。美しいものが好きだった。あなたに笑っていて欲しかった。私はわたしが生きていける世界を描きたかった。誰かがかいたエンドロールに取り残されてしまわないように。自分の中から取り出した美しさで心象世界を組み立てる。私は宝石ではないから、補わないと削るばかりで美しさを
2020年4月28日 07:35
美しいものが足りない。映画を観たり音楽を聴いたり雑誌をめくったり本を読んだりして眠ったりして1日の大半、自分の意思で考えることをしていない。触れたものに心を動かされることはあっても、やるべき事をやらずやらなくていい事も手付かずでただ時間という概念の中に心拍を打つだけの、生きる人形のような毎日だ。話すことが億劫になる。誰とも話さないまま、自分の声を忘れてしまいそう。会
2020年2月3日 23:22
あっちもこっちも工事中。地上が明るいから、私の街には夜が来ない。今夜も快晴、青く、そして白く。枕に耳を当てると地下鉄の走り去る音がする。通りを歩く誰かの歌う声が聞こえる。音がすると眠れないなんて、はじめからそんな繊細にできてはいないし9階の白昼にみた景色はまるで奥行きがない水色の、ノートパソコンの上に突っ伏しているイヤフォンから可愛いあの子の泣いてるような歌声才能に気
2020年1月15日 01:13
年が明けて、今日で2週間。自分の心根の正体をぼんやりとわかっていながら、なるべくいい人間でいようと模索している。優しさにはきっと種類がある。求めてられる角度も温度も違う。正義とおなじように、そこには正解がない。優しさについてずっと考え続けているけれど、結局は自分と向き合うことから始まるような気がする。自他を混同しない強さ。物事の側面まで見わたせる冷静さ。何かしてあげよ