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モノローグロム

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日々の記録。
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#心象描写

Letter

Letter

何よりも美しい言葉には、それを伝えたい相手がいて、伝えようとする想いや感情がある。

宛先のない手紙をしたため続けているのは、本当はあなただけに伝えたいことがあったからだ。

心を閉ざしたり殺したりすることに慣れてしまうと、
世界は急にサイレントモードになる。

嫌という程同じような絶望を味わえば、
一体何を希望にして、ここから脱出したらいいのか分からなくなるでしょう。

考えることもしなくなって

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夜涼み。

夜涼み。

川沿いをいく、橋を渡っている。
遠くに見える団地やタワーマンションの明かりが、
いつか車窓から数えた光に似てる。

だだ広い橋の上、車が通る他は人気も疎ら。
空が大きく広がっている。
何処よりこの場所が1番空に届きそうなくらい。
心地よい脱力と夢遊感。
裾を揺らす風が優しい。

夏の大三角形。
血液のような熱を内包した赤い月。

変わらず傍に在るものを感じながら

姿が変わってもそこに在る光や夜に

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七夕の夜に。

七夕の夜に。

外に出たらとても涼しかった。

七夕の夜は毎年、どこか感傷的になる。

祈り。

その行為が引き連れてくる感傷。

七夕の夜、
空で星を探しながら遊泳する心。

隣同士のスピカなら、
きっとよかったのにね。

いつまでも縮まらない、個として在る現在点。
ここからまた今年も目には見えないものを思って、焦がれて、祈っている。
#モノローグ #心象描写

初めまして。

初めまして。

初めまして。
屋号を月面サナトリウムと申します。
ひとりきりで、言葉や文学を中心とした創作を細々と続けてきました。
これからは誰かと共有出来るように、
形に残る創作をしたいと思い、
一歩目としてnoteを始めてみました。

どんな方や感情に出会えるのか、とても楽しみです。
どうぞよろしくお願いします◎
#散文日記 #モノローグ #心象描写 #文章創作 #はじめまして

虚-うつろ-

虚-うつろ-

夏の終わりを告げる大雨。

透明度の高い夏の心象と、
呼吸をし続けた日々に。

幾重にも降り積もったさようならと、
戻らない時を綴った行間に。

絶え間なく降り注いだのは、雨。
繋いだ手の温度。
雨の匂い。
全てに許されたような気がした。

ずっと埋まらなかった懐古主義の解答欄。
引き算ばかりの毎日に、正しい答えは見つからなかったけど。だけど。

ゆっくりと時間をかけて、いつの間にか埋まっていた。

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いつか。

いつか。

何かにいつも、許されたいと願っている。

生きている背徳感。
後ろめたさ。

どこか少しずつ、
歯車が軋んでいく様な疾患を抱えたまま生きる現在地点で、
生命を維持すること以外に自分がするべき事はなんだろう。

不相応な大義名分とかじゃなくて、
私にだけができる何かがあるはずだ。

欠けたままの心でも、
いつかそれを補えるくらいの優しさや愛情の類がきっと内側に備わっている。

両手を離してしまう様な

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小旅行。

小旅行。

京急電鉄がやっている、
「葉山女子旅きっぷ」を購入して友人と新逗子へ出かけました。
海の向こうに佇む鳥居が見てみたかったのです。

新逗子に降り立ってすぐ、
駅の近くでお昼ご飯。

季節の野菜カレー。
とてもボリューミー!
でも今まで食べたことのないクリーミーな味のカレーでとっても美味しかった。

お昼を食べたら海沿いへ。

バスのフリーチケットがついているのですが、天気も良いしレンタルサイク

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サタデイ・スーサイド

サタデイ・スーサイド

ーー死んでいる、そう思った。

朝、目覚ましの耳障りな機械音を止める時。
飲みたくない薬を流し込んで、
食べたくない朝食を飲み込む時。
JRに乗り換える駅のプラットホーム、
すれ違う人の舌打ちを聞いた時。
誰かのビジネスバッグの角で腹部を強打した時。

理由も向上もないまま、労働をしている時。

惰性で消費する毎日の中で、
私はもうどこにも生きていない。

心の病は不思議で、光はどんどん遠ざかるの

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夕景描写。

夕景描写。

6月に入ってすぐに行った葉山がとても気に入って、
この前は見れなかった日の入りを観に夕方の海辺へひとりで出かけた。

バスで行けば数十分の道のりを1時間かけて歩く。

心が揺れて仕方なかった。
遠く、遠くへ行きたいと思った。
脆くても強い心は、行ったり来たりを繰り返している。

海岸通りは人が少なくて、
眠ったままのジオラマの町中を海を目指してあるいた。

〝グッドバイ〟って響きが好き。

グッバ

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orange.

orange.

彼の名前は知らない。

お辞儀をする角度と柔らかい速度、
ペンを持った指先がなんとなく綺麗だと思った。

話したことは一度だけあったけれど、
どんな声だったのか、表情だったのかは忘れてしまった。

季節が一周するくらいの時間が過ぎて、視界にはいつだって彼はいたのかもしれないけれど。
彼について考える理由もなく毎日を過ごしていた私は、或る日突然気がついてしまった。

誰かに似ていると。

意識や記憶

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over lay

over lay

心をいつも覆っている波紋のような感覚。

ふわりふわりと漂って、
静かな海の底みたいな夢を見る。

分かり合えたなら、どんなにいいだろう。
そんな事を思いながら私一人の世界に沈む。

何かを手放しただけチリチリとした細かい痛みは深くなっていくけれど、

それも今ここに、私という感覚器官が存在している証明になる。

たまに心を繋ぐような音楽や景色や物語にであっては、
いつかの久遠を夢見るように。

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