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モノローグロム

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日々の記録。
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#日記

師走の徒然。

師走の徒然。

思い出すのは遠い日の青。

***

忙しない12月。
心を亡くすとかいて「忙」なんだと国語の先生が言っていた。毎年思い出す。
相も変わらず12月の私の心は行方不明。
感動も安らぎも、私の心には無縁のように通り過ぎていく。

人と違うと気づいたのは大人になってからかもしれない。
特別な才があるとか、ずば抜けた美的感覚があるとかそういうことじゃなくて、私はいつもどこかが変で普通の外側を生きているみた

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知らない感情を教えて。

知らない感情を教えて。

〝思い込みの怖さ〟は手を変え品を変え、世の中の教訓的な物の中に幾らでも溢れている。

ちょっと角度は違うけど〝人前で咳をするときは手で押さえましょう〟とか〝電車内で大声で通話するのは周りの人に迷惑です〟とか、考えるまでもないようなことが守られないことはいくらだってあって。

雨の日の朝、降車駅の階段を昇っている時、傘を後ろに振って昇っていく人が必ずいる。日常の中で〝危ない思いをした〟と色々な人が言

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恋愛音楽

恋愛音楽

季節感の乏しい夏。

朝、マスクをして駅までの短い時間空を見上げる。
ワイヤレスイヤフォンを耳に押し込んで、8月の私は今日も音楽と一緒だ。
外側だけが非常に夏っぽい。ように見える。
子供の頃の原風景のような、真っ白い入道雲と高発色の青い空。



相も変わらず、大人になった今でも音楽に恋をしている。音の為に生まれてくる、言葉の感触も同様に。心の内側を見つめ続けるような、それを季節や幻想に投影する

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closer.

closer.

遠い記憶の中から今でも見つけられる、ずっと光を内包してるそのscene。

募っていく。
日々、ただひたすらに募っていく。

積み上げられた時間の上で、
今日もバランスをとって遊んでいる。

人生はゲームだ、そう言い切ったあの人は、
今どこにいるんだろう。

瞬間を切り取っている。
針を飲むような痛みも、汚泥を啜るような心地も、続いている間は地獄だが、
過ぎ去ってしまえば全く違う側面が見えてくる。

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朝がはじまる。

朝がはじまる。

夢から覚める瞬間に、誰かに〝忘れないで〟と言われた気がした。

境目が曖昧な朝。
ぼんやりする頭で最初に目に入るのは、
自分で測って買ったカーテンの隙間から漏れる朝の光。

ベランダ側のカーテンは遮光なのに、測り間違えてしまって1cmくらい足りてない。
でも日当たりの悪い部屋で唯一朝だとわかる瞬間が、横になったまま目が合う隙間からもれた光だ。
床についてない方が掃除もしやすいし、次また引っ越してカ

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27。

27。

「こんな晴れた日には、死にたくなるよね」

顔の隠れた彼がそう呟いたので、
私は嘘みたいに晴れた空をもう一度見上げて 〝そうかも〟と返した。

深く考えないことが無い彼と私の間で交換する言葉は、多分いつだって嘘がなかった。
嘘がないからこそ相手を追い詰めて、いつも息苦しかった気がする。

晴れた日には死にたくなる。
その言葉は長い長い時間が経った今ですら、
たまに思い出してしまうほど印象的だった。

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春の呪い。

春の呪い。

春は呪いだ、

自分で書いた物語の最後に、確かにそう言葉が連ねてあった。

生温い記憶を呼び起こす、春は呪いだ、と。

映像に引っ張られるようにして、欠片を拾い集めながら言葉を紡ぐ。
浮かんだ情景がその輪郭を失う前に、描写することに心が駆り立てられなぜだかいつも焦っている。

もしかしたらこの心はいつも空っぽなのかもしれない。
突然現れる景色で溢れてしまわないように
欠片と言葉を束ねている間は、こ

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time to say goodbye.

time to say goodbye.

今まで生きてきた大半の時間、ひとつだけずっと苦手なことがある。
もしかしたら永遠のテーマになってしまうのかもしれないし、ある日突然パッと解消される日が来るのかもしれない。

自分ひとりで起承転結が結べるのであればどれだけいいだろう。
色々な問題に直面するとよく思う。
素晴らしい出来事もそうじゃない事柄も、私以外がいることでもたらされるのであって
相手の心があるからこそ自分のやり方だけでは解決するこ

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ヴィオレ

ヴィオレ

きれいな言葉で世界を紡ぐ。
青いフィルター、夏の呼吸。

削ぎ落とした鋭角は
磨いて、磨いて、ひとつずつ夏の宝石に還す。

美しいものが好きだった。
あなたに笑っていて欲しかった。
私はわたしが生きていける世界を描きたかった。
誰かがかいたエンドロールに取り残されてしまわないように。

自分の中から取り出した美しさで
心象世界を組み立てる。

私は宝石ではないから、
補わないと削るばかりで美しさを

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輪郭をなぞるように。

輪郭をなぞるように。

『私、今どんな表情をしている?』

誰かといるとき、背後にいるもう一人の自分が問いかけてくる。
俯瞰している彼女と心は共有していても、表情はそうとは言えない。

卑屈な態度の人と相対していると、
私の中の同じ部分が頭をもたげてくる。

すぐ謝るくせに、いつもどこか上からの物言いな相手と向かい合っていると、
(ああ 自信がなくて不安で仕方ないのかもなぁ。
自分もそういう側面もっているもんなぁ)

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一回お休み。

一回お休み。

ここ最近、泣きたくなる。
なんだかとてつもなく無防備に泣きたくなってしまう。

心と体が両方疲れているみたいで、
こんな時は自暴自棄にならず 丁寧に丁寧に日々をやり過ごすのが最善で、
間違っても心の淵に立ったり その深淵を覗き込んだりしてはいけない。

いけないんだけど、

どうして、とか なんで、とか

気がつくと繰り返し考えている。

ある程度の問題に、心の鏡面は波立たなくなった。
今ならメン

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Making All Things Equal / The Sleepwalkers

Making All Things Equal / The Sleepwalkers

去年の6月、
資生堂ギャラリーで初めて体験した冨安由真さんの個展、くりかえしみるゆめ。

今年1月23日、代官山アートフロントギャラリーにて開催されていた個展を再び観にいきました。
観に行ってから半年が経ってしまったけど、
今日また新しい個展を観にいったのでこちらから先にあげたくて、
書きためていた言葉をやっとまとめました。

今回年明けに個展をやると聞いてからとても楽しみにしていたので、
昨年

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羽根の色は。

羽根の色は。

梅雨の或る日のこと。
雨の動物園へ出かけた。

ずっと動物園が苦手だった。
幼少期の他には、学校の行事以外に一度も行ったことがない。
(サファリパークは一度あるかも)

檻や柵に囲まれた動物を見ていると、
ペットショップのショーケースに並んだ子猫や子犬を見ている時と同じ気分になる。

同じことなのに水族園はなんとなく好きだった。
水の中では生活できない性質からか、どこか神秘的で惹かれるものがある。

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coffee.

coffee.

くるくると変わるその表情を、私は頬杖をついてぼんやりと眺めている。

君の表情は忙しい。
私はそれを、変わらない無表情のまま目で追いかけている。

君は人間が大好きでしょう。
そうじゃなかったら、その空気は纏えない。
私には分かる。
人が苦手な私には。

関心があるから苦しむのであって、
はなから興味すら失せているなら悩んだりしない。

本当はもっと他人を愛したいし、
嫌われるよりは愛されたい。

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