マガジンのカバー画像

モノローグロム

137
日々の記録。
運営しているクリエイター

#真夜中

朝がはじまる。

朝がはじまる。

夢から覚める瞬間に、誰かに〝忘れないで〟と言われた気がした。

境目が曖昧な朝。
ぼんやりする頭で最初に目に入るのは、
自分で測って買ったカーテンの隙間から漏れる朝の光。

ベランダ側のカーテンは遮光なのに、測り間違えてしまって1cmくらい足りてない。
でも日当たりの悪い部屋で唯一朝だとわかる瞬間が、横になったまま目が合う隙間からもれた光だ。
床についてない方が掃除もしやすいし、次また引っ越してカ

もっとみる
春の呪い。

春の呪い。

春は呪いだ、

自分で書いた物語の最後に、確かにそう言葉が連ねてあった。

生温い記憶を呼び起こす、春は呪いだ、と。

映像に引っ張られるようにして、欠片を拾い集めながら言葉を紡ぐ。
浮かんだ情景がその輪郭を失う前に、描写することに心が駆り立てられなぜだかいつも焦っている。

もしかしたらこの心はいつも空っぽなのかもしれない。
突然現れる景色で溢れてしまわないように
欠片と言葉を束ねている間は、こ

もっとみる
真夜中の缶コーヒー。

真夜中の缶コーヒー。

私的夏の風物詩、
真夜中に部屋着のまま自販機に買いに行く缶コーヒー(またはジュース)
これ美味しい。

缶ジュースや缶コーヒーは元々あまり飲まないけれど、夏だけ異様に飲みたくなる。

というかきっと、
真夜中の眠りの空気の中へ きっと誰にも会わないからってラフなまま過ごす一瞬の感覚が好きなのかも。
そして涼しい風と、冷たいジュース。

それだけで満たされる気がしている。
月の下で私はまだ起きている

もっとみる
時の砂

時の砂

幻の雨の音がする。
いつも通りの真夜中と自分。

もうすぐ雨季になるから、また夏が一つ近づいたね。

夏に生まれて、忘れられないものはいつだって夏の中にある。
同じ時間には戻れないけど、
美化することもなく ただそこに確かに流れていた時間として、
記憶の瓶から砂は溢れて波は寄せかえす。

高い空を見上げて息を吐き出した。
何もない中に全てがあったあの時も、

大雨に雨宿りしたあの夕方も、

通り過

もっとみる
あのね。

あのね。

やっぱり真夜中です。

最近、ドラマを観る機会が増えた。
取り立てて真剣に観ているわけではないけれど、
自然と人の感情に目が向きがちだ。

《anone》をみるとなんだか癒される。
不完全であることや、抱えている事情、心音のリズムがそれぞれ違ってある事が当然のように描かれていて、なんだか優しい。

曇り空みたいな映画や物語が好き。

本や音楽はある種の嗜好品。
自分の好みで手に取るから意外と気がつ

もっとみる
world

world

眠るのがもったいなくて、
またこんな時間に暗い部屋でぼんやり
考えごとをしている。

外側の世界のことを思うととても不思議な気持ちになる。
今この瞬間に夕日が沈んでいったり、
退屈なランチタイムを過ごしている人がいるんだろう。

美術館や博物館で、息を詰めて止まった時間と向き合っている人も、
花屋さんで特別な花を選ぶ人も。

恋人を抱きしめている人
血液の色を眺めている人
眠れなくて星を眺めている

もっとみる