マガジンのカバー画像

モノローグロム

137
日々の記録。
運営しているクリエイター

2021年4月の記事一覧

朝がはじまる。

朝がはじまる。

夢から覚める瞬間に、誰かに〝忘れないで〟と言われた気がした。

境目が曖昧な朝。
ぼんやりする頭で最初に目に入るのは、
自分で測って買ったカーテンの隙間から漏れる朝の光。

ベランダ側のカーテンは遮光なのに、測り間違えてしまって1cmくらい足りてない。
でも日当たりの悪い部屋で唯一朝だとわかる瞬間が、横になったまま目が合う隙間からもれた光だ。
床についてない方が掃除もしやすいし、次また引っ越してカ

もっとみる
27。

27。

「こんな晴れた日には、死にたくなるよね」

顔の隠れた彼がそう呟いたので、
私は嘘みたいに晴れた空をもう一度見上げて 〝そうかも〟と返した。

深く考えないことが無い彼と私の間で交換する言葉は、多分いつだって嘘がなかった。
嘘がないからこそ相手を追い詰めて、いつも息苦しかった気がする。

晴れた日には死にたくなる。
その言葉は長い長い時間が経った今ですら、
たまに思い出してしまうほど印象的だった。

もっとみる