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月面サナトリウム
2018年10月30日 20:36
夏の君が死んだ。だから私はずっと、遊泳禁止の冬の海で君がくるのを待っている。研磨された空気がきらきら冷たい身体に熱をかくす。夏の終わりと冬への過渡は どこか似ているね。何も変わっていないのに、取り返しがつかない何かを落としてきてしまったみたいだ。ガラスに囲まれた温室で、夏と冬の境目をなでていよう。星座を繋ごう。指先から紡ぐ、正反対のセゾンの中で。出会うことのない君
2018年10月19日 03:14
素敵な人や物が溢れかえっているような世の中で欲しい物がなんだったか、目が醒めたらもう覚えてすらいない。それならいっそもう何も要らないか、と手を放す。世の中と自分の間にずっと薄い膜がある。同じ渋谷の大通りを歩いていても、すれ違う人と自分の間には全く別の時間が降り積もり、裏と表のパラレルワールドを生きているような心地が拭えない。境界線の外にいるのが相手なのか自分なのかは分からない。
2018年10月7日 01:42
眠れそうになくって海の近くまで。風が強い夜。歌声や観劇に心の欠片が散らばって、目を開けたまま誰かの夢を生きているみたい。Life is beautiful、のはず。相変わらず何かになろうとして、まるで自傷的な思考。現実の痛みから目を背けても仕方ない、でも、溜まった膿を吐き出すようなそんな文章は書きたくない。美しさに変化する程の醜悪さはないし、ただただ幼稚な取るに足らないものだ