綴ることの難しさ -『Chakka.』打ち切りの件について思うこと
共同執筆型マガジン - 心に火を灯すマガジン『Chakka.』が、年内で更新終了となることが数日前に決定した。共同執筆者としてとても残念に思う反面、実は内心少しほっとしている。
このマガジンを、私が大切に思うファンの方が一ヶ月間だけ講読して下さったのだけど、その方から「他の方のコラムが読みにくい」‥つまり平たく言うところの「読むに堪えない」と言う意味のメッセージを頂き、実は私もそれを感じていた。
マガジン主催者の方は私と半同郷で、尚且つ私と同じコーヒー好き(先方はコーヒーのプロである)で、そんなこともあって意気投合しながら「Chakka.」への参加を決めたのは私だったが、いざ蓋を開けてみるとその中に、過去に私とnote内で揉めて関係が決裂した人が一人混じっていることを後から知った。
最初私は投稿者同士での活発な意見交換等が行われることを期待していたが、実際にはそれどころか、私が投稿した記事への共同執筆者からの「スキ」は遂に一つも押されることはなかった。
だが、私の文章力、表現力が足らなかったからだ‥とは私は正直思わない。そう言う風に書いた方がこういう時は収まりが好いものではあるが、私にはそこまで遜る理由を自分の中に感じないので、芝居を打ってでも遜る‥と言う発想には至らない。
そこまで自己卑下する動機も理由も思い付かない。
おそらく数年前の私ならば、他の投稿者の文章の随所に見られるように「私って凄いでしょ‥」的な言葉をきっと、ふんだんに散りばめたに違いない。それが読者にとっては嫌味に映っている‥と知っているのかどうかは分からないけれど、『あなたの思う「偉い」的な自慢ネタ』と私の人生とは何の関係もないわけだし。
だがかなしいかな、自分の内側の達成感よりも他者からの評価の方が自分の中の優先順位の上を占める時、人はそういう発想に陥りがちであるから。
一度自らの手を離れた文字は、四方八方色々な場所へ勝手に飛んで行く。既に自分の責任の範疇を超え期待の範疇も超えて、兎に角勝手に文字と言う厄介な生き物は浮遊したがる。
その文字は、誰か、どこかの胸の中へと降りて行くことが最初から宿命づけられているのだから、むしろ誰かの心に落ちて行って欲しいと私は願いながら文字を叩いて行く。
その時、文字が嫁いだ先にいる人の思いや人生観等を制するようなことがあってはならないと言う思いが、最近私の中に静かに定着しつつある。
以前は違った。それ見たことか、さぁ私の書いた文言は素晴らしいでしょ!‥などと心の中で雄叫びを上げながら、自らの文字に自己陶酔し続けた若かりし頃の私と今の私はもう別人かもしれない、それほど最近の私の「文字」に対するモチベーションは激変した。
マガジンタイトルの「Chakka.」、そしてその主旨に私は感銘を受け、若干私の文字のタイプが主催者の思いとはかけ離れているかもしれない‥と言う不安を抱えつつ、私はこの企画に参加した。
だが、いざ中に入ってみると購読者の数が期待したものとは異なり、ならば私がマガジンを宣伝するよりも主催者自らがこのマガジンを各SNS等でシェアして行くことの方が望ましいと言う考えに至り、遂に私が「Chakka.」をTwitter等で拡散することはなかった。
途中事務所やファンの方たちから私の共同執筆に対する不安や心配、そして苦情等も寄せられる中で、一度始めたことは少なくとも半年間は続けてみるべき‥と言う私のポリシーの方が周囲の声を制圧し、色々問題を抱えているなぁとは思いながらも、私からマガジン運営者へ直接それを伝えることは差し控えた。
勿論売り上げの面でも若干納得の行かない部分もあったが、私は単記事で購入して下さるファンの方々の応援を得ていたので、その不満は何とか解消されたと思う。
着火と言うマガジンタイトルの通りには、現実は進まなかった。結局火が着く前にマガジンの更新の打ち切りが決定し、主催者の気持ちは既に別の企画へと移っている。
執筆は私にとって、音楽の次の収入源だった時期が長かったから、私の書いたものを読むとそれが無記名でも誰が綴ったものか‥を先に読者の側が気が付いてしまう。
それが仇となることもあるが、裏を返せば個性でもある‥と、私は比較的この現象をポジティブに受け止めて認識している。
本当は「Chakka.」の他の共同執筆者の記事にもコメントを寄せたかったが、おそらくその時の私はキレッキレの辛口コメントを書いてしまうに違いないと予想し、結局既読スルーと言う態度に徹する以外の方法を思い付かなかった。
何より先ず先方が私と言う個性やキャラクターを知らないだろうし、私の作品のファンでもない限り、私の辛口コメントは場荒らしにしかならないだろうから。
最近「注意をし合わない」とか、そういう善意を「荒らし」「迷惑行為」だと思う人たちが増えている。多くの人たちが事なかれを望み、その場限りの「いいね」を連発し、それが世の中を体たらくに追い込んでいる‥等と言えばきっと炎上するのでこの辺りで止めておくけれど‥(笑)。
好い企画がこうして幕を下ろして行くことが私にはただただ残念でならないが、各々に改善の意思のないまま続けて行くことが好い選択だとも思わない。何より主催者の方へ、ただただ感謝を述べたい。
火の着かなかったマガジンの責任の一端は、私にもあるわけで、それも含めて今日まで運営頂いたことについて、お疲れ様、そしてありがとう‥と。
2016年11月28日 3:35 (JST)
by Didier Merah
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