Chouchouの描く「夜」と「動」の世界
日本のユニットの中で唯一私が好きなChouchouが、8月11日にニューアルバム『Night and Wanderer』をリリースした。
個人的には前作『Colony/Eve』と『remix04 rem』のアコースティックな世界観が好きだったので、エレクトロニックに完全に寄り添った今回のアルバムには若干の抵抗はあるものの、若い二人が音の旅の真っ最中ー‥ と思うとその旅の途中参加も悪くないと思える今作品。
音楽・編曲(映像)担当 arabesque Choche の美しく凍りつくような音楽性は勿論のこと、juliet Heberle の繊細で崩れ落ちそうな詞の世界が再び耀きを増して地上に降臨した。
丁度昨夜、彼等二人のYouTubeライブが放送されていたことを私は知っていたが、むしろ彼らのアルバム紹介を余り知らずにダイレクトに作品に接したいと私は思い、YouTubeライブを聴かずにアルバムの音源に接触を試みた。
これがビンゴだった。
私のような人の汗臭さとか生の匂いを余り好まない人間は、人の作品を作り手の温度を介さずに聴くことを好む。
楽曲制作のプロセス云々を知らない方が作品をむしと身近に感じ取れる、そんな人間もこの世には稀に存在する。
日本の多くの音楽は二度も聴けば飽きてしまい、私のように暗譜力が突出した人にとってはそれらが「買って聴く」までに至らないことの方が多いが、Chouchouのアルバムは何度も何度も聴き手を万華鏡の中で翻弄する力を持ち、私はそんな彼らの万華鏡の中で帰る途を失うまで彷徨い続けていたいといつも思う。
新作『Night and Wanderer』を聴くならば夜更けから夜明けの時間帯がベストだと思い、その時間を選んで聴いてみる‥。
そう言えば最近高速道路を行くこともなくなった私が久々にドライブでもしたような感覚で、寝室の片隅で小さなトリップを試みる。この作品を頭部に背負うと、もうどこにでも行けそうな気がして来るから不思議だ。
── 必聴。
12 Aug. 2017 6:40 JST