浮遊する彼女
今も時折聴こえて来る彼女の声が、果たしていつの時代の音声なのかについて、僕はそれを無条件に知りたい欲求を抑えることが出来ずにいる。
それはモールス信号でもなければ壊れたラジオのかすれた音声とも少し異なる、この世界の言葉では言い表すことの難しい機械音のようなもの。だけど音声は確かに感情を帯びており、何時かしらか…の記憶や実体験に基づく記録を今も断続的に放っているように僕には思えてならないのだ。
当時のその世界には楽器もなければ、おそらく音楽と言う概念すら存在しなかっただろう。だが彼らは既にその情報を脳の一部にインプットしており、その音声の根源に対する欲求も深かったような気がする。
彼女はその「音楽」と言う概念を僕に、最初に教えてくれた(インストールしてくれた…)人だったかもしれない。
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