Pieta - 風のフィルム
Didier Merahのアルバム『Eden』、M-6に収録された「Pieta」。この曲は殆ど準備期間を経ることなくレコーディングすることになった。
意外にも、それまでに用意しておいたメロディーの断片が全く使えなくなる事態となる中、企画者でもあるDidier Merah Japanの社長の突発的かつ感覚的なアイディアが私を翻弄させる中、その企画がとても美しい内容だったので私は瞬時にメロディーの糸を引き、その糸に絡み付く光の結晶を手のひらに集め、それを一気に弾き切った。
ストーリーが頭の中で勝手に走り出し、それは映像記録のないフィルムが勝手に喋り始めたような状態で、私のイマジネーションを強く、強く、未知の修道院へと引き寄せて行った。
カストラートたちが人知れず祈りの為だけに住まう密室のような、そのトラピストのその日は安息日なのか人は居ない。私は長年探し続けた何かをそこに引き取りに行く、そんなマインドの中に在った。
私は男‥と言う設定、手のひらには野の花で満たした籠とワイン、そして数枚の銅貨をぼろぼろのコートのポケットに忍ばせて‥。
やっと見つけたトラピストは乾いた土地の真ん中に在り、周囲はうっそうと枯れた草で覆われて居る。
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