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Inside Deep

春の便りは そこまで来ていた

撫でるような陽射しが
木々の隙間から地上に伸びる朝
どこからともなく産声が響き渡り
静かな輪唱となり 大地を震わせる

雪解けの河
映る空に弧を描く 細い雲
 何もかもがいつものまま
 昨日とは少しだけ違う森の日々を
 あの日 終わらせたのは何?


蘇る 太古の匂い
草木が見た夢
あとからあとから生まれ来る妖精たちを
無休の静寂で抱き上げ 世界に放ったこの森、
そして私の

透き通る指先は
一瞬にして風になった

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そのまま生き続けた この数千数万の
時の鼓動はすなわち
私の心音そのもの

尽きない思い 溢れ出る夢
すべてがあの時のまま心に残り
私も あの人も いつも通りに時を超えて行く

もう 何度目の春、と
かぞえることさえない今なのに
深い香りが私たちを森へと引き寄せて

永遠の鼓動の続きを
共に鳴らそうと云うから…

※自分の音楽作品からのインスピレーションで綴った作品です。

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Didier Merah(ディディエ・メラ)
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