didi SONOGAのエシカル対談・その6 語り手 田中まさみさん
お久しぶりの「didi SONOGAのエシカル対談」です。
今回のゲストは、didi神松寺本店近くのコミュニティスペースchouchou(シュシュ)や小中学校で本の読み聞かせや語りをしていらっしゃる田中まさみさんです。
よく通る声ながらも優しい田中さんの語り口は、聞く人をホッとさせてくれます。その一方で、がんと闘いながら毎日を大切に過ごしています。
お洋服について、また病気になってからの装いについての考え方の変化などをうかがいました。
語りを通して物語の世界を伝えたい!
didiチーフデザイナーSONOGA(以下、SONOGA) おはなし会に参加して、語りを聴くことの面白さを体験できたように思います。田中さんの話し方は、とても丁寧で、登場人物ごとに声色を変えて感情を込めて語っていらっしゃいますよね。聴いていると頭の中でおはなしの世界が広がっていくようでした。
田中さん 登場人物にはありのままに、過剰なキャラクター付けはしないようにしているんですよ。若者なら若者らしく、おじいさんだったらおじいさんらしく聞こえるようにしています。聞いてくださる方に、おはなしの魅力を伝えられたら嬉しいですね。
SONOGA かなり長いお話もありますが、どうやって練習しているんですか?
田中さん 車の中でぶつぶつ……と繰り返し声に出して覚えています。今日の演目の『マーシャとくま』は最初に覚えた大好きなお話です。これまでに何度もやってきた演目ですから、特に事前練習しなくてもするすると出てくるようになりましたよ。
年齢とともに変化するファッション
SONOGA 若いころはどんなファッションをしていましたか?
田中さん 高校生ぐらいの時はけっこう黒づくめだったんですよ。スタッズがついてる服も着ていたかな。博多のロックが盛んな時代でしたから、よく照和や多夢などのライブハウスに行っていました。アクシデンツとかアンジーとか懐かしいですね。THE MODSとか、陣内さんのザ・ロッカーズとか……。
SONOGA あぁ、DRUMが国体道路にあった時代でしょう(笑) 田中さん、ロック少女だったんですね!私が大学生ぐらいのころはバブル時代だったからお洋服にお金を使いましたね。みんな松屋レディースにDCブランドのものを買いに行きましたよ。
田中さん 松屋レディース懐かしい~!もうなくなっちゃいましたね。バブル後はみんなユニクロを着始めるようになって。
SONOGA ここ20~30年はファストファッションが台頭して、他人と服が同じこともみんな特に気にしていないようです。でも若い子が古着を取り入れたりして昔の良さを見直したりもしてますよね。時代とファッションって面白いですよね。
色味がもたらすエネルギー
SONOGA 今は黒づくめという感じではありませんよね?学生時代以降はどんなものを着ていましたか?
田中さん 実はピンク色が結構好きなんです。最近は小物だけじゃなくて服にも取り入れています。自分も回りの人も明るくなる色ですね。いつの間にか周りの人から「田中さんはピンクだよね」と言われるまでに(笑)私がdidiで最初に買った巻きスカートもピンク系でしたからね。くすみ系の色合いやマゼンタみたいな色もありますけど、やっぱりかわいらしいのが好きです。
病とファッション
SONOGA ところで田中さんは数年前にご病気をされたと聞きましたが……。
田中さん がんが見つかって手術をしたのが2017年。もう7年になります。位置が悪くて取り切れなかった部分が再発しましたが、薬で治療しています。右腕にリンパ浮腫があるので、服のサイズが変わっちゃいました。胴体に合わせるより、アームホールや袖の大きさに合わせざるを得ないんです。どうしてもダボっとした形になってしまいます。
SONOGA 病気になってから、どんなものをよく着用されますか?
田中さん まずは帽子ですね。医療用のものは肌触りはいいのですが、デザインが限られています。あとはこれから寒くなってくるので、温めるアイテムは欲しいかもですね。シルクって冬はあったかいですもんね。レッグウォーマーとかどうでしょう?didiさんで私たちに役立つ製品を開発してくれたら嬉しいです。
衣装としてのミンナノポンチョ
SONOGA 田中さんは大島紬の着物でミンナノポンチョをオーダーされましたね!実際着てみていかがですか?
田中さん ミンナノポンチョは生地もいいですし、ふわっとしたデザインでとっても楽に着られます。最初に試作品を見せてもらったときに、本格的にスタートしたら絶対欲しい!と思ったんですよ。丈や生地を選べるのも楽しいですね。
SONOGA 大島紬のミンナノポンチョは落ち着いた感じですが、色味が地味とは感じませんでしたか?
田中さん 今日一緒におはなし会をした宮園さんの恰好もそうですけど、自分が語り手であるときは、ちょっと黒子(くろこ)の要素があるといいので、地味めの色合いのものを着るんです。自分が表に出すぎないような色味・デザインのものを着ますね。
SONOGA なるほど、大島紬の落ち着いた色味は語りの黒子の役割も果たすという訳ですね。ミンナノポンチョはパフォーマンスの衣装としても使えますね。
田中さん はい。今度、大島紬の本場、奄美大島の学校におはなし会に行くのですが、その時にこのミンナノポンチョを着ておはなしをしようと考えています。現地での反応が楽しみです。
【編集後記】
ピンクが好き!とおっしゃる田中様は乙女の憧れ「宝塚」の大ファンでもあります。キラキラしたものがお好きなのかな?と感じる一方、大島紬のミンナノポンチョのように長く飽きのこない良い生地のものを大切に着てくださっています。
ファッションの流れや時代を経験してきた世代だからこそ、田中様は唯一無二のミンナノポンチョに注目してくださったのかもしれません。
病気とも付き合いながら自然体で前向きに読み聞かせにも取り組んでいる田中様に私が元気をいただいています。私もdidiも、これから田中様にエネルギーを届けたいと思う対談でした。