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あなたが総合商社に行きたい理由について

10月からロンドンで主夫をやっていますリチャです。
社会人になった頃の自分は、商社マンとして将来は海外赴任になって家族を海外に行くものと思っていましたが、35歳の現在は奥さんの海外赴任に帯同されています。人生はどうなるか本当に分からないものですね。

この文章の想定ターゲットは「総合商社の内定を目指す就活生」で、もっと言うと「就活してた頃の自分自身」です。
就活に取り組む方々が読んで、少しでも役に立ててもらえたらと思って書いてます。

私の就活について

私は2010卒として就活に取り組み、総合商社、とりわけ住商を第一志望として活動しました。参考まで各社の結果は下記通りでした。
・三菱商事→ 最終面接前に辞退
・伊藤忠 → 1面合格後辞退(ただし合格連絡まで1週間あり)
・三井物産→ 1面OUT
・丸紅  → 筆記試験OUT

結果的には無事に第一志望の住商に入っていますが就活で無双状態だったわけでは決してありません。
【国立大文系x体育会(ラグビー部。強くない)x留学経験なし】
というスペックで戦っていましたので、戦闘力はそこまで高くないのでコミュ力で勝負、といった状況でありました。

就活をさらっと「戦い」になぞらえてしまいましたが、志望する企業から内定を取るという就職活動は戦いや競争に例えられることが多いですね。
実際、内定をゴールに置いた場合のそれは限りなく戦いに近い活動かと思います。

一方で、人生は必ずしも戦いではありません。レースでもありません。

ブッダに言わせれば「人生は苦」でありますが、だからこそ他人と比較したり他者を蹴落としたりするのではなく自分自身と向き合って自分の人生を生きることが大切だというのが仏教の教えです。

就活はあくまで学生という身分を卒業し、労働賃金を得る生き方を社会人の一歩目として選択する場合における出発点を決める活動であり、現代日本においてはたまたま4月から始まる会計年度に向けて各社がほぼ一斉に採用活動を繰り広げているに過ぎません。

就活とは斯様に限定的な状況における特殊な活動であり、就活をしない生き方というのもいくらでもあるんだということを伝えたくてこのように記載しています。
それくらい客観的、メタ的な認知でこの活動に取り組まれることをお勧めしたいと思っていますし、本文の主張もこの考えに即したものになります。

それでは本題です。

あなたが総合商社に行きたい理由はおおよそ以下にあてはまりませんか?

1)海外と関わる仕事がしたい
2)大きな仕事がしたい
3)商社マン(商社パーソン)に憧れている

また、上記とは逆に、商社に行きたい理由は「これでは無い」というものが以下の通りです。

a)絶対にこの商材・商売に関わりたいという拘りがある
b)活かしたい特定の強みがある
c)待遇や地位ではなく、やりたいことを追求したいという思いがある

別に意地悪を言いたいわけではありません。冒頭に記載した通り、この文章は学生時代の自分を想定ターゲットとして記載していますので、上記の言葉は全てブーメランとして若かった自分に返ってきています。

今回は上記の志望理由3つを軸にして、どのように深堀していけば面接官に響く「自分だけの志望理由」を見つけることができるかのヒントをお伝えします。
(「こう言えばOK!」といったお手軽な解説は意味がないのでしていません。)

オーソドックスな志望動機は面接官からすると「またお前もか」ということで冒頭の一言を聞いた瞬間に思考が停止してしまいます。それくらい誰かに響かない言葉には自分の情熱が乗っているとは言えません。
面接官に好印象を与える為の理由ではなく、情熱を持って語られた言葉として志望動機を話せるようになる最初の一歩、ヒントとして少しでも参考になったなら本望です。

1)海外と関わる仕事がしたい

■逆に海外と関わらない仕事ってありますか?

・日本はしばらく前から人口が減っています。厚労省によると2060年には総人口が9000万人を. 割り込み、高齢化率は40%近い水準になると推定されています。そうでなくともこれだけグローバル化が進んだ世界において、国内で仕事を完結できる商売はそもそも少ないです。
メーカーでも金融でも、海外の顧客や同僚を相手に取り組む職場はいくらでもあるのが実情です。
そんな中で「海外に関わる仕事がしたい」を商社に行きたい理由の筆頭として掲げますか?掲げるとしたら少し工夫が必要そうです。

■海外駐在って全員が行けるわけではないですよ?

・「海外で働いてみたい」というのも商社を目指す動機になるケースが多いのですが、そもそも社員を海外に送り込むのは事業戦略の一手段でしかなく、あながた海外に行きたいからいけるというものではありません。
また、優秀だから海外に赴任できるというものでもありませんし、行けたとしてその行き先についても会社側の判断にゆだねられています。
仮にあなたが30歳の時、一流企業で活躍する配偶者がいて幼い子供を共働きで養っているとして、例えばインドへの海外駐在の辞令が出たらあなたはどうしますか?
現実的に1回目の海外駐在に出る入社5~10年目の時にはライフステージが変わることによってあなたの価値観も大いに変わっているかもしれません。(私はめっちゃめちゃめちゃ変わっていました)

・また、コロナ禍をきっかけに海外駐在の機会自体が減っています。以前から総合商社では「経営のローカライズ」と言って、海外現地法人のマネジメントクラスを日本人駐在員ではなく海外現地のローカル社員にして行こうという動きがありました。
コロナ禍以降、「若手のトレーニングの機会としての駐在」「管理部門在籍者の駐在」「複数名を送り込む駐在」が各段に減りました。
(私はリクルートエージェントで海外駐在員の採用を専門に5年間従事していましたので、コロナ禍の前後で様子が変わっていくことを肌で感じていた次第です。)

2)大きな仕事がしたい

この項目は単純に以下の質問に対するカウンターを考えて頂きたいと思います。

■仕事の大小って何を基準にしていますか?

・取り扱い金額なのか。金額だとしたらなんで大きい方がいいのか。金額ってそもそも売上なのか利益なのか。

■大きければ何でもいいですか?商材へのこだわりは無いですか?

・配属先は船舶かもしれません。鉄鋼かもしれません。資源かもしれません。宇宙かもしれません。メディアか物流かコーポレート部門で人事や経理部門への配属かもしれません。それでもあなたが頑張れる、頑張りたいと考える理由はなんですか?

■商材への拘りが無いとしたらそれはなぜですか?

・シンプルに理由が知りたい所です。

■仕事が大きければあなたの役割は何でもいいんですか?

・入社したばかりのあなたは当該事業に関する知識も経験もスキルもゼロ。あなたの役割は議事録をとって先輩の商談・会議にくっついて回りキャッチアップすることだけ。その道数十年の人たちと肩を並べて働いていくのはそういうこと。その中であなたが頑張れると考える理由は何ですか?

3)商社マン(商社パーソン)に憧れている

■「知り合いの商社パーソンに憧れている人が居る」
 → 面接官「それはその人が憧れの対象であるだけであり、当社に入る理由になりますか?」

■「OB訪問で何人もお会いしたが、御社の人が一番○○だから」
 → 面接官「うち5000人前後社員がいるけれど数人会っただけで会社のことわかります?」
 → 面接官「会った社員はあなたと一緒に働けるとは限らないしそうならない可能性の方が高いですが、それでも当社に入りたいのはなぜですか?」

結論

冒頭の3つの理由は「商社に興味を持った理由」には相応しいでしょう。

ただし、いずれも「入社を希望する理由」としては深堀が不足しています。自分自身に上記の質問をぶつけて深堀してみましょう。でなければその他大勢のライバルたちと同じような話を面接官に投げつけるだけになってしまい兼ねません。

最後になりますが、上記の質問には私自身、就活を始めた頃にはまともに答えられませんでした。住商の一次面接の前日に、住商で働く先輩の家に泊めてもらって面接合宿に取り組み、自分の思いや考えをようやく言葉にして伝えることができるようになった次第です。
それまでに受けた面接の結果はまちまちでしたが、その後に受けた面接は全て受かりました。

何が言いたいかと言うと、現時点で上記の質問達に切り返せないと思っても絶望する必要はありません。それが普通です。

相談の連絡をもらえたら出来る範囲で対応します。

内定はゴールじゃない。
良い就活に取り組んで、良い生き方を見つけていきましょう。

以 上


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