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今日の気分はこの曲


Vol.14「スーダラ節」

ハナ肇とクレージーキャッツ

日本に於けるコミックソングの帝王的存在、

ハナ肇とクレージーキャッツのデビュー曲にして代表曲。

1961年8月20日に発表されました。

後に数々のコミックソングを作りヒットさせる、

作詞は青島幸男、作曲は萩原哲昌の黄金コンビ。

それまでの

「レコードはレコード会社が主導して作るモノ」

という習慣を破り、

所属してた渡辺プロダクションが主導した初めての例でもあります。

俗に言う「持ち込み曲」ですね。

キャラクターとは正反対の生真面目な性格のボーカル、

植木等が不真面目な歌詞に悩み、浄土真宗の僧侶の父親に相談したところ、

「『わかっちゃいるけどやめられない』は人間の矛盾をついた真理で、

親鸞の教えに通じる」

と励まされたのは有名な話です。

この話にはウラがありまして。

植木等の父親、植木徹誠は戦前に出征兵士の前で

「卑怯と言われても生きて帰ってくること」

などと説いたり、全国水平社の活動にも参加したいわゆる反戦僧侶でした。

治安維持法違反で4年間、投獄もされてます。

そういう気骨溢れる父親を、植木は尊敬し、信頼してたのでしょう。

だからこそ曲の相談をし、その父親がお墨付きを与えたので、

歌う気持ちになったのだと思います。

この曲の大ヒットにより、クレージーキャッツの人気はますます上昇し、

翌1962年3月25日に公開された大映映画、

「スーダラ節 わかっちゃいるけどやめられねぇ」が公開されてます。

が、歌って踊れるクレージーキャッツの魅力を引き出してなかったためか、

あまりヒットしませんでした。

そこで渡辺プロダクションは制作会社を東宝に変更。

1962年7月29日に「ニッポン無責任時代」を公開します。

この映画の大ヒットにより、

続々と東宝制作でクレージー映画が作られることになったのでした。


カバーですが、まずは「小松の親分さん」こと小松政夫のカバー。

彼は植木等の付き人兼運転手から芸能生活を始めた、愛弟子です。

軽快に歌う影に師匠への尊敬と愛が詰まってますね。

次はフランス人ボサ・ノヴァ歌手、クレモンティーヌによるカバー。

フランス語で歌い、アコースティックギターとコンガがバックだと、

クレージーサウンドも小粋なボサ・ノヴァになるんですね。

これは上手いアレンジだと思いました。

最後は男性アカペラグループ、ジョリーラジャーズによるカバー。

サビにベートーベンの第九交響曲の「喜びの歌」を入れるアレンジが、

良いですね。

イキですねぇ。

コレには一本取られました。

個人的な希望ですが、この曲を歌って欲しい人がいます。

それは比呂紘一(植木浩史)。

植木等の息子です。

歌唱力も申し分ないんですけどねぇ。

声もお父さんに似ているし。

聞いてみたいなぁ。


という訳でハナ肇とクレージーキャッツの名曲、

「スーダラ節」についてでした。


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