今日の気分はこの曲
Vol.21「You Spin Me Round (Like a Record)」
Dead Or Alive
2ndアルバム「Youthquake」からの先行シングルとして、
1984年に発表された曲です。
ラジオ局からは無視されましたが、
クラブシーンからの支持によってチャートの1位になりました。
特筆すべきはプロデュースをマイク・ストック、マット・エイトキン、
ピート・ウォーターマンの3人が共同で務めていること。
彼ら3人にとっても初のヒットシングルとなり、
この曲を機に他のアーチストからの依頼が続々舞い込み、
ヒット曲を連発することとなります。
3人の姓から「ストック・エイトキン・ウォ-ターマン」と呼ばれ、
ユーロ・ビートの代名詞となったのです。
音楽性自体はそれまでにあったハイエナジーと呼ばれる、
シンゼサイザーを用いたダンスミュージックの発展形です。
ハイエナジーの代表的な曲としては、
アンジー・ゴールドの「Eat You up」が有名ですね。
この曲は日本では荻野目洋子がカバーし、
「ダンシング・ヒーロー」というタイトルでヒットしましたから。
2017年には大阪府立登美丘高校のバブリーダンスによって、再ヒット。
蛇足ですが冒頭のシーン、学校の構内なんですよね。
OBとしては、懐かしい風景です。
それに釣られて荻野目洋子も再ブレイク。
両者が競演しました。
デッド・オア・アライブに話を戻しますと、
ヒットの陰にはボーカルでフロントマンだった、
ピート・バーンズの魅力があったからのように思います。
端正な顔立ち、怪しい雰囲気、そして何より伸びのある独特の声。
「I Want Your love~」と叫ぶサビは、
なかなか他人には真似出来ない素晴らしいシャウトです。
今思えば、彼の心の叫びだったのかもしれません。
当時の彼は「パーフェクトだった」と言っても、過言ではないかと。
しかし大いに不満、特に容姿に関してを、持っている男が一人いました。
他ならぬピート・バーンズ自身だったのです。
彼は幼い頃から、自分の容姿に劣等感を持っていました。
実際はかなりの美少年だったのに。
その劣等感はなくなるどころか、大人になり有名になると、
益々酷くなりました。
それから逃れるようにピートは整形手術に走ります。
有名な眼帯姿も、手術直後の目を人に見せないためのモノでした。
ヒット曲を量産しては、その儲けで整形手術を繰り返す生活。
それが長続きする筈がありません。
医者に勧められるまま行ったジェル注射が原因で美貌を失い、
死の淵をさまよいました。
結局、その治療費の為に曲の著作権などの全ての財産を失い、
残されたのは醜悪な姿のみのように思われました。
しかし彼には音楽が残っていたのです。
再生手術を執刀した医師からそう励まされた彼は、
「歌を歌うこと」と「衣装は自分で選ぶ」を条件にテレビに出演します。
姿は変われど、声はあの当時のままです。
見事復活を果たした彼でしたが、その後も病気や破産などトラブルが続き、
2016年10月23日、急性心不全により57歳でこの世を去りました。
カバーですが、まずはハードロックバンド、ドープによるカバー。
ギターサウンドが意外に合ってますね。
オリジナルとは違った怪しさがあって、良い感じです。
次はメキシコ出身の女優兼シンガー、タリアによるカバー。
セクシーな高音でこの曲を歌う、ってのもアリですね。
何となく可愛らしくなってます。
最後はスウェーデンのハードロックバンド、
ジェミニ・ファイブによるカバー。
2003年のデビューシングルです。
同じハードロックバンドでも、ドープよりポップに仕上がってます。
オリジナルの持つ怪しさは影を潜めてますけど。
という訳でデッド・オア・アライブのヒット曲、
「You Spin Me Round (Like a Record)」についてでした。
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