飛び出せ!佐久間探検隊
第十五回 紀ノ川に架かる古びた橋は、加太軽便鉄道の遺産だった!
ドモ。佐久間ディックです。
現在、南海の和歌山市駅に来ています。
ここから海水浴や淡島神社で有名な加太へは、
加太線が結んでいます。
加太線は南海本線の隣の駅、紀ノ川駅で本線と別れ、
加太へと走って行きます。
実は加太線、昔は加太軽便鉄道という会社の路線でした。
しかも紀ノ川駅は通らず、
直接和歌山市駅へと電車は走ってたのです。
その遺産と言える橋があると聞いて、探検隊はやって来ました。
駅ビルを出たら左へ曲がります。
和歌山市駅駅ビル東側の回廊。
キーノ和歌山に建て替えられて、すっかり綺麗になりました。
スターバックスや図書館もあり、充実した設備ですね。
ビルを出たら左へ入る。
いつもの商店街。
お昼時なのだが、のんびりとした空気が流れる。
本当にターミナル駅の出口から僅か数分の場所だろうか?
そう疑問に思ってしまう程のんびりしている。
少し大きめの交差点に出る。
探検隊は左折した。
左折した先には大きな踏切が。
手前にJR紀勢本線、奥に南海本線の踏切がある紀ノ川8号踏切だ。
左右の安全確認を行って踏切を渡る。
踏切を渡った先を左折する。
ターミナル駅のすぐ北とは思えない住宅街へ、探検隊は進んで行った。
目の前には住宅街が広がる。
信じられないがここは和歌山県の県庁所在地、
和歌山市の中心部の駅である和歌山市駅のすぐそば。
時折老人が通るだけ。
若者はおろかクルマもあまり通らない。
やはり和歌山という街の凋落を表しているのだろうか。
ひょっこり現れた小さな路地。
探検隊はその路地へと足を進めた。
路地の先は秘密の通路のような小道。
塀の向こうは南海電鉄の和歌山検車区。
検車区の塀があるせいか、多少の圧迫感を感じる。
それさえ除けば、普通の路地。
しかし右と左の風景の格差が凄い。
人は殆ど通らない。
突き当りを左折する。
検車区の塀を除けば、のんびりとした住宅街である。
左折した先も、同じような風景。
しかしこのブロック塀、地震が来たら倒壊するかも。
次の角がT字なので、左折する。
しかし通行人の姿は見当たらない。
少し大きめの道に出る。
何かあるのか、塀が途切れている。
途切れていたのは、和歌山検車区の門があるからだった。
ここまで和歌山検車区と言ってるし、看板もあるのだけれど、
正式には住之江検車区和歌山出張場。
他に何か所かある南海電鉄の施設のうちで、
最古の施設になるそうだ。
内部は非公開だが近年は撮影会の会場となったりしたので、
入った経験のある人も多いだろう。
門と別れてすぐ、右への分岐がある。
探検隊はそちらへ進んだ。
分岐点の先は、堤防への坂道。
見た目より勾配は急で、探検隊は驚いた。
結構急な坂を登って、堤防まであと少し。
その先には、紀ノ川を渡る橋が見えている。
探検隊は橋のたもとに到着した。
橋の名前は河西橋。
歩行者と二輪車専用の橋梁で、今回の探検隊の目的地である。
元々この橋は1914年9月23日に加太線の前身である加太軽便鉄道が、
和歌山口駅-北島駅間の開業に合わせて建設したもの。
それ以来加太への鉄路として活躍してきた。
1950年7月25日に加太線は全列車が現在の紀ノ川駅経由となり、
支線となった直後の同年9月3日に悲劇は起きた。
ジェーン台風で橋脚が破損して不通になったのだ。
結局、1955年2月15日に和歌山市駅-北島駅間が廃止になって、
鉄路としての役目は終え、道路橋となった。
それ以来、地元の人々の貴重な通行路となっている。
少し西へ行って、橋の全景を見る。
和歌山市駅側には、如何にも鉄道橋の煉瓦積みの橋脚が何本か並ぶ。
ジェーン台風の爪痕は、今もまだ残っている。
写真中央の橋脚は、明らかに破損した跡が。
貴重な当時の証人でもある。
普通の橋脚。
上部のコンクリートは、道路橋に転用した時にかさ上げされたもの。
破損した橋脚。
傾いた部分を上手く補修している。
長年に渡って活躍してきた河西橋だが、
流石に100年以上前の建設とあって老朽化はかなり進んでいる。
そこで橋の東側に新しい橋を建設している。
本年7月に新しい橋の完成後、現在の橋は撤去されるそうだ。
ジェーン台風の貴重な証人である、
破損した橋脚をなんとか保存して欲しいものなのだが。
建設中の新しい橋。
幅も広くなるようである。
さて、対岸へ渡ってみよう。
手前がカーブしてるのは、
線路が検車区の門へとカーブしていた為である。
つまり検車区の門から先は、廃線跡を通ってきた事になる。
直線になった区間。
幅からすると、線路は単線であったようだ。
紀ノ川駅経由になったのは、輸送量強化に対応する為だった。
たしかにここだけ単線では、対応出来なかったであろう。
交差部にある照明柱。
幾多の夜を照らしてきたこの照明柱も、もうすぐ役目を終える。
橋から河口方面を望む。
手前の橋は旧久保町駅付近を通る県道の橋、
奥の橋は和歌山港付近のみなと大橋である。
2本目の照明柱。
照明の上には可愛いお客さんが。
お客さんはカモメだった。
ここが海からそう遠くない事を表している。
橋の北端部。
通行量は結構多い。
地元に密着した生活道路なのである。
橋から東を望む。
手前のトラスは県道の北島橋、
奥にチラッと見える赤い橋は南海本線の紀ノ川橋梁である。
橋の北端に到着した。
廃線跡はこの先土手を渡り、
トラックが駐車してる付近へと続いていたようである。
こうして河西橋を渡ってみたが、
地域に溶け込んでいるのが印象的だった。
老朽化で致し方ないとはいえ、姿を消すのは至極残念だ。
旧餘部鉄橋と同様に一部でも保存してくれればと思うが、
叶わぬ夢であろう。
探検隊はまたここを訪れてみたいと思いながら、河西橋を後にした。
「紀ノ川に架かる古びた橋は、加太軽便鉄道の遺産だった!」
おわり。
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