間違えた人
うちは仏教徒というやつだ。
一応死んだら戒名がつけられる形の仏教徒であり、親族も知人も葬儀に呼ばれたら仏式でと言われることがほとんどだが、父方、母方とも曾祖母が天理教の教会の娘であることで天理教を始めとする「仏教以外の葬送」についても、言い方は悪いがやり方を把握すべきの一族である。
しかし、母が久しぶりに親族(天理教)の葬送に出向いた際、玉串をどうしたらいいか忘れてしまい、結果、逆向きにして奉献しまったらしい。
「アンタは植物の実の方を持つんか」
と、父に呆れられて真っ赤になっていた。
例えば花束でもイメージ出来たら、普通は茎の方を持つと考えつくだろうが、久しぶりの玉串にパニックになったようだ。
合掌だけしていたらしいが、合掌だけで済ませるのは仏式のやり方であり、天理教は拍手だ。
しかも天理教の拍手は音を出してもよい(ほとんどの神教の拍手は忍び手で、音は出さないのがマナー)とされるが、作法が独特で"二礼、四拍手、一礼、四拍手、一礼"である。
普段から仏式の葬式にしか参列する機会のない我が家だが、天理教は参列する機会が少なからずあるということで、天理教式だけでも常に頭に入れておくのがマナーだと母に告げた。