安井息軒〈地動説〉03

原文-03:其異之、則自西洋始矣。案地動之說、生阨日多、而成於厄勒西亞。謂天止而地動。月之與五星、皆地類也。故亦皆不常其所。而大陽中處爲之心、所以激轉諸動、而使日新不已也。

訓読-03:其の之に異なるは、則ち西洋より始まれり。案ずるに地動の說は、阨日多(エジプト)に生まれて、厄勒西亞(ギリシア)に成る。「天」止まりて「地」動くと謂ふ。月と五星と、皆な地の類なり。
 故に亦た皆な其の所を常にせず。而して大陽は中處して之れが心と爲るは、諸動を激轉して、日々新たにして已(や)まざらしむる所以なり。

意訳-03:それが〔「天動説」と本質的に〕異なるのは、西洋より始まった。思うに、地動説はエジプト(阨日多)で生まれ、ギリシア(厄勒西亞)で完成した。〔「地動説」では、〕天空(天)は静止して大地(地)が動いていると言う。月と〔水星・金星・火星・木星・土星の〕五惑星は、みな地球の同類である。

 だから、〔地球と同様に〕やはりみなその所在を常に一定にはしない。太陽が〔地球や五惑星の〕中央にあってその〔円周運動の〕円心となっているのが、〔地球や五惑星が〕諸々の動きを激しく転回させて、日々新たに始めて止むことのないようにさせている動因である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?