02-01
原文02-01:仲平名衡,安井氏,號息軒。住江戸,以經邃行脩,久擅名干世。其學以實事求是爲主,以虛心察善爲務,絕無黨同伐異之見。
訓読02-01:仲平、名は衡、安井氏、息軒と號す。
江戸に住みて、經邃行修を以て、久しく名を世に擅(ほしいまま)にす。其の學は實事求是を以て主と爲し、虛心善を察するを以て務(つと)めと爲し、絕(たえ)て同に黨し異を伐つの見無し。
02-02
原文02-02:余甚慕之,雖嚢爲同僚,晨夕共事,而未嘗不以先生長者視之也。
訓読02-02:余甚だ之を慕ひ、嚢は同僚爲(た)りて、晨夕事を共にすと雖も,而も未だ嘗て先生長者を以て之を視ずんばあらざるなり。
02-03
原文02-03:其友鹽谷毅侯文章冠關左,爲仲平叙其書,仲平之人與學,可概見也。
訓読02-03:其の友鹽谷毅侯は文章關左に冠たり。仲平の爲に其の書を叙す。仲平の人と學と、概見すべきなり。
02-04
原文02-04:鳴呼,仲平年已七十矣。尚能從事編纂。螢窓雪案,未嘗暫廢。知己難遇,賞音甚寡。而欲傳其著書於海外。其志亦可悲矣爾。
訓読02-04:鳴呼(ああ)、仲平年已に七十たり。尚ほ能く編纂に從事す。螢窓雪案,未だ嘗て暫(しばら)くも廢せず。
知己遇ひ難く、賞音甚だ寡なし。而して其の著書を海外に傳へんと欲す。其の志も亦た悲しむべきのみ。