ユーザー体験を重視した「アプリレス・マルチアングルビューイング」システム開発
スマホによる「アプリレス・マルチアングルビューイング」システム開発をテーマに、2022年2月13日、横浜の会場にて開催の「オダイバ!!超次元音楽祭-ヨコハマからハッピーバレンタインフェス2022(ニセンニジュウニ)-supported by Coke ON」のライブ映像を、お台場フジテレビで、マルチアングルにてお楽しみいただく実証となります。
今回の実証で、技術開発プロデューサーを務めた冨士川祐輔さんにインタビューをしました。
スマホによる「アプリレス・マルチアングルビューイング」システム開発実証で何を明らかにしたいか
アプリ不要にすることで機種依存やダウンロード障壁など様々な不便を解消し、より多くの⼈が新しいエンターテインメント体験を享受できるようにすることが⽬的です。また、実証を通じて実運用における工数や懸念点を明確化させることも目的です。
より多くの人が使用し慣れている2次元コードを読み込んでいただくと、マルチアングル画面が表示されるので、好きなアングルを選択しながらライブを楽しみいただけます。
図 動画視聴用2次元コードのイメージ
従来のマルチアングルシステムと本実証のマルチアングルシステムの違い
従来のマルチアングルシステムを活用したサービスは、アプリの機種依存、ダウンロードの手間や時間が必要になっている上に、実施ごとに発生するサーバーや回線など、運用コストが大きくかかるものが多く、サービスを受けるも側も提供する側も、負担が大きいものでした。
そこで、本実証では、フジテレビが開発した「テレビとスマホを同期させた新しいコンテンツ体験システム」を活用し、マルチアングルシステムをWebベースにすることで、機種依存やダウンロード障壁など、様々な不便を解消し、より多くの人が新しいエンターテインメントを体験することが可能となります。
さらに、ライブ配信にYouTubeライブを利用することで運用コストの最小化を図り、実証以降の実利用をイメージできるシステム構築を目指しています。
※上記技術を活用した本実証の配信全体を、PDICとフジテレビが共同で開発しました。
図 スマホ・タブレットを用いた実証の様子(マルチアングル)
図 You Tubeライブ配信と各種切り替え画面の様子
実利用に向け利用人数を増やしていく必要がありますが、体験人数に応じてコストが増加していては意味がないと思っています。
ちなみに今回の実証では約50人を対象にしましたが、システム的には特に人数制限は無く100万人でも体験可能です。
エンターテインメントを通して、先端技術の可能性を広げるためには
いい意味でのコモディティ化、広く使えるようにすることが重要だと考えています。メタバースやWEB3.0など大きな可能性を感じますが、エンタメにおいては、技術そのものに価値は無く、最先端技術だけを提供して独りよがりになっても意味はないと思っています。いかにユーザーにとって価値のある体験が提供できるかが肝心です。そのためにも、ユーザーにとってはもちろん、サービス提供者にとっても、実運用におけるリアリティは外せません。ユーザーは体験に対していくらなら払うのか、サービス提供者はいくら回収できればペイするかなど、今回の実証でも実運用のリアリティという部分は特に重視しました。
今後、実証したい先端技術等について
ユーザーの顕在化されていないニーズいわゆるインサイトへのアプローチに最先端技術は大きなポテンシャルがあると期待しています。ユーザー自身が気づいてない欲望を最先端技術を使って提供できれば、新しいエンタメが生まれる可能性は大きいと思います。
特に注目しているのは、コミュニケーション領域です。他者と一緒に楽しむ体験、共感する体験、時間や空間はもちろんジェンダーや年齢を超えたコミュニケーション体験に大きな可能性を感じています。それを実現できるのが、メタバースであればメタバースをXRならXRをそれに相応しい最新技術でのトライアルを行っていきたいと考えています。
最先端技術というシーズを使って、ユーザーのインサイトを掘り起こす、そのためには、今回のような実証の場は非常に重要だと思います。今後も色々な取組にチャレンジしていければと思います。
冨士川 祐輔 (Yusuke Fujikawa)
株式会社フジテレビジョン
編成制作局 コンテンツ事業センター デジタルデザイン部
局次長職企画担当
本実証で、技術開発プロデューサーを務めた。
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