ハイドン:弦楽四重奏曲 ヘ短調, Op.20, No.4, Hob.3:34

00:00 I. Allegro di molto
05:38 II. Un poco adagio e affettuoso
11:47 III. Menuet alla Zingarese
13:47 IV. Presto e scherzando

再生時間 17'' 30'

ハイドンの弦楽四重奏曲第27番 ヘ短調, Op.20, No.4, Hob.III:34 は、ハイドンが1772年に作曲した「太陽四重奏曲」セットの一つとして知られています。この作品は、ハイドンの四重奏曲スタイルの発展を象徴するものであり、彼の音楽の成熟を示す作品群に含まれています。特に、Op.20の四重奏曲は、ハイドンが古典的な四楽章形式を採用しつつ、対位法的な要素や感情の豊かさを深めている点で重要です。

### 構成
1. **第1楽章: Allegro di molto**
- ヘ短調で始まり、エネルギッシュでドラマティックな導入です。力強いリズムと短調の厳しさが印象的で、古典的な形式美とともに、豊かな感情表現がされています。

2. **第2楽章: Menuetto: Allegretto**
- メヌエット形式の第2楽章は、通常の軽やかさとは対照的に、この楽章ではより重厚で、特にトリオ部分では静かな美しさが際立ちます。

3. **第3楽章: Affettuoso e sostenuto**
- この緩徐楽章は、対位法的な処理が顕著であり、非常に感情的で美しい旋律が響き渡ります。特にハイドンが取り入れた対位法の技術は、この楽章を聴く際の見所です。

4. **第4楽章: Fuga a due soggetti, Allegro**
- 最終楽章は、2つの主題によるフーガであり、形式的にも非常に凝った構造です。フーガの技法を取り入れたこの楽章は、ハイドンの作曲技法の高さを示す典型的な例となっています。

### 背景と特徴
Op.20は「太陽四重奏曲」とも呼ばれ、弦楽四重奏というジャンルを発展させたハイドンの重要な作品群です。これらの四重奏曲は、形式的な工夫や、各楽器に均等な役割を与える点で、18世紀後半の音楽に大きな影響を与えました。

プロ・アルテ弦楽四重奏団(Pro Arte String Quartet)は、1912年にベルギーで結成された著名なアンサンブルです。1935年に録音されたハイドンの弦楽四重奏曲第27番ニ長調、Op. 20, No. 4の時点で、彼らは国際的に評価されており、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなどの古典派から初期ロマン派のレパートリーを得意としていました。

### 1935年当時のメンバー:
1. **アルフォンス・オヌー(第1ヴァイオリン)**:
アルフォンス・オヌーはプロ・アルテ弦楽四重奏団の創設者であり、リーダーでした。彼の洗練された正確なヴァイオリン演奏は、四重奏団の解釈に基調を与えました。ベルギー出身のオヌーは、表現豊かな技術で高く評価され、アンサンブルの国際的な成功の要となりました。

2. **ローラン・アリュー(第2ヴァイオリン)**:
ローラン・アリューは1920年代に団に加わり、元の第2ヴァイオリン奏者の後任となりました。彼の演奏は叙情的な美しさで知られており、オヌーとの強い協力関係が特長でした。アリューは四重奏団の独特の音色に貢献し、特にハイドンの四重奏曲の演奏においてその評価を確立しました。

3. **ジェルマン・プレヴォ(ヴィオラ)**:
プレヴォも四重奏団の創設メンバーであり、長年にわたり団に在籍しました。ヴィオラの役割を深く理解しており、アンサンブルに豊かな音色の深みを与えました。プレヴォの演奏は、温かみと感受性に満ちていると称賛されました。

4. **ロベール・マース(チェロ)**:
チェリストのロベール・マースは、プロ・アルテ弦楽四重奏団に1930年代初頭に加入し、彼らの成功した録音と演奏に大きく貢献しました。力強くも繊細な演奏で、四重奏団のパフォーマンスをしっかりと支えました。

### 1935年の録音:
この録音は、第二次世界大戦前のプロ・アルテ弦楽四重奏団が絶頂期にあったことを物語るものであり、彼らがヨーロッパと北アメリカで国際的な評価を得ていた時期に行われたものです。ハイドンの四重奏曲Op. 20, No. 4における彼らの解釈は、技術的な精度と感情的な表現のバランスが取れており、古典派のスタイルを忠実に守りながらも、各メンバーの個々の芸術性が光る演奏となっています。

ハイドンの弦楽四重奏曲第27番、Op. 20, No. 4ニ長調は、影響力の大きい「太陽四重奏曲(Sun Quartets)」の一部であり、プロ・アルテの演奏は、ハイドンの成熟したスタイルを象徴する構造の明確さとダイナミックなコントラストを際立たせています。

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