グリーグ 抒情小曲集 第1集（作品12）
01:32 2. Vals (Waltz)
03:26 3. Vægtersang (Watchman’s Song)
06:13 4. Alfedans (Fairy Dance)
07:20 5. Folkevise (Folk Song)
09:18 7. Albumblad (Album Leaf)
再生時間 10'' 45'
グリーグの『抒情小曲集』第1集（Op. 12）は、彼のピアノ作品の中でも初期に書かれた小品集で、1867年に出版されました。全8曲から成り、それぞれが短くも感情豊かなピアノ独奏の小品となっています。この第1集は、グリーグの内面的で抒情的な表現力と、ノルウェーの風景や民俗音楽に対する深い愛情が表現された作品です。以下は、各曲についての詳細な解説です。
### 1. Arietta. Poco Andante e sostenuto (E♭ major)
『アリエッタ』は、イタリア語で「小さな歌」を意味し、抒情小曲集の幕開けを飾るシンプルで美しい小品です。Poco Andante（ややゆっくりと）のテンポで、穏やかで流麗な旋律が特徴です。全体的に柔らかく歌うような雰囲気を持ち、短いながらも心に残る曲です。グリーグはこの曲を特に気に入っており、後の抒情小曲集の最後の曲で再びこのテーマを使用し、自らのピアノ作品の全体を象徴するような位置づけをしています。
### 2. Vals. Allegro moderato (A minor)
『ワルツ』は、優雅な3拍子の舞踏形式で書かれた作品ですが、A minorという調性が持つ陰鬱な雰囲気も感じられます。Allegro moderato（やや速く）の指示に従い、軽快さと抑制された感情が同時に表現されています。中間部では、少し異なる雰囲気の旋律が登場し、全体に変化を与えています。
### 3. Vægtersang. Molto Andante e semplice — Intermezzo (Geister de Nacht) (E major)
『夜警の歌』は、夜警が静かな夜を巡回しながら歌うような情景を思い起こさせる作品です。Molto Andante（非常にゆっくりと）とSemplice（シンプルに）の指示に従い、静かで落ち着いた雰囲気が表現されています。また、中間部の「Geister de Nacht」（夜の精霊）は、幻想的で神秘的な雰囲気を持ち、夜の闇に潜む精霊たちが静かに現れるような感覚を音楽で描いています。
### 4. Alfedans. Molto Allegro e sempre staccato (E minor)
『妖精の踊り』は、非常に速いテンポとスタッカート（断続的な音）の指示がある、軽快で活気のある曲です。Molto Allegro（非常に速く）のリズムにより、妖精たちが踊り回る様子が目に浮かびます。曲全体が躍動感にあふれ、繊細かつ技巧的な演奏が求められる一曲です。
### 5. Folkevise. Con moto (F♯ minor)
『民謡』は、ノルウェーの伝統的な民俗音楽の要素を取り入れた曲です。Con moto（動きをもって）の指示通り、少し物悲しげな旋律が絶えず動きを感じさせ、民族的なメロディが親しみやすくも郷愁を誘います。グリーグの音楽には、こうしたノルウェーの文化や風景がしばしば反映されており、彼の作曲スタイルの特徴の一つです。
### 6. Norsk. Presto marcato (D major)
『ノルウェーの歌』は、タイトルからもわかる通り、ノルウェーの民族音楽や舞曲の要素が色濃く反映されています。Presto marcato（非常に速く、はっきりと）の指示通り、リズムが力強く、活気に満ちた作品です。明るく誇り高い旋律が印象的で、グリーグの愛国的な感情をも感じさせます。
### 7. Albumblad. Allegretto e dolce (E minor)
『アルバムの綴り』は、甘美で親しみやすい旋律が特徴の作品です。Allegretto e dolce（やや速く、優しく）の指示に従い、穏やかで感情豊かな旋律がピアノで歌われます。アルバムに記された個人的な思い出を音楽で表現しているような、繊細でロマンティックな曲です。
### 8. Fædrelandssang. Maestoso (E♭ major)
『祖国の歌』は、Maestoso（荘厳に）の指示通り、荘重で堂々とした響きを持つ作品です。この曲は、祖国ノルウェーへの敬愛と誇りを表現しており、力強いメロディと和声の豊かさが印象的です。愛国的な感情が込められたこの作品は、ピアノの音色を通じて聴衆に深い感動を与えます。
### 全体的な特徴とまとめ
『抒情小曲集』第1集は、グリーグの作曲技法と音楽的感受性がよく表れた作品集です。ノルウェーの自然や民俗的な要素が各曲に見られ、グリーグの民族的な作風が色濃く反映されています。また、短い小品でありながら、各曲は豊かな感情表現と緻密な構造を持っており、ピアノ独奏として非常に完成度が高いです。演奏者には表現力と技巧が求められ、聴衆にはノルウェーの風景や文化を感じさせる音楽的な旅を提供します。
この第1集は、その後のグリーグのピアノ作品にも大きな影響を与え、彼の抒情的な表現の基盤を築いた重要な作品として評価されています。
コンスタンティン・ステファンは、エドヴァルド・グリーグの『抒情小曲集 Op.12』を2019年に演奏し、Creative Commons Attribution-NonCommercial 4.0ライセンスのもとで公開しました。彼のキャリアや背景に関する詳細な情報は広く知られていないかもしれませんが、このライセンスで作品を共有するという決断は、非商業目的での利用を許可しながら、適切なクレジットを与えることによって、オープンアクセスの音楽に対する彼の貢献を示しています。
グリーグの『抒情小曲集 Op.12』は、ノルウェーの作曲家である彼の特有の叙情的なスタイルを反映した、短く表情豊かなピアノ作品のコレクションです。ステファンのこの組曲の解釈は、グリーグの音楽に特徴的な繊細なメロディーラインとダイナミックなニュアンスを強調し、民俗的な影響とロマン派の表現力のバランスを捉えているでしょう。彼の演奏では、穏やかな「アリエッタ」から、より活発な「妖精の踊り」まで、各曲の微妙な気分の変化に対する感受性が際立つかもしれません。
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