モーツァルト 弦楽四重奏曲第22番 変ロ長調 K.589(プロシャ王第2番)

00:00 I. Allegro
06:39 II. Larghetto
13:34 III. Menuetto: Moderato
20:03 IV. Allegro assai

再生時間 24'' 00'

### モーツァルトの弦楽四重奏曲第22番 変ロ長調 K.589『プロシャ王第2番』

#### 1. 作曲の背景
この四重奏曲は、モーツァルトが1790年に作曲したもので、**「プロシャ王四重奏曲」**と呼ばれる三つの四重奏曲のうちの第二番です(他にはK.575とK.590)。これらは、**プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム2世**に献呈するために作曲されたとされ、王がチェリストであったことから、チェロに重要な役割が与えられています。

この作品が生まれた時期、モーツァルトはウィーンで経済的に困窮しており、家族を支えるために多くの作品を注文に応じて書いていました。しかし、この四重奏曲が実際に王から正式な注文を受けたかどうかははっきりしていません。プロシャ王に献呈する意図はあったものの、出版も遅れ、作曲家としての状況は決して安泰ではありませんでした。

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#### 2. 楽曲構成
K.589は、典型的な**4楽章形式**で構成され、明快な旋律と豊かなアンサンブルが特徴です。特にチェロがメロディを奏でる場面が多く、他の楽器と対等な役割を果たしています。

1. **第1楽章:アレグロ(Allegro)**
- **変ロ長調**、4/4拍子。
- この楽章は、明快で軽快な主題が提示され、変奏的に展開されます。冒頭から第1ヴァイオリンが流麗なメロディを奏で、チェロも対話的に参加します。ソナタ形式に基づき、提示部、展開部、再現部の構造が明確ですが、柔軟な楽器間の掛け合いが魅力です。

2. **第2楽章:ラルゲット(Larghetto)**
- **変ホ長調**、3/4拍子。
- 穏やかで叙情的な雰囲気を持つ楽章で、メロディアスな旋律がヴァイオリンに委ねられます。伴奏も繊細であり、チェロはしばしばカンタービレ風にメロディを補完します。モーツァルト特有の内省的な美しさが漂います。

3. **第3楽章:メヌエットとトリオ(Menuetto e Trio)**
- **変ロ長調**、3/4拍子。
- メヌエット部分では堂々とした旋律が、全体に優雅な雰囲気を醸し出します。一方、トリオ部分は異なる調性と性格を持ち、より落ち着いた雰囲気が感じられます。古典的な舞曲形式ですが、各楽器がバランスよく登場するため、均整の取れた音楽が楽しめます。

4. **第4楽章:アレグロ・アッサイ(Allegro assai)**
- **変ロ長調**、2/4拍子。
- 最終楽章は生き生きとした推進力に満ち、モーツァルトのユーモアが垣間見えます。軽やかな主題が次々と登場し、さまざまな楽器がそれを繰り返しながら展開します。終盤に向けてテンポが加速し、華やかに曲が締めくくられます。

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#### 3. 楽曲の特徴と音楽的分析
- **チェロの重要性**:
フリードリヒ・ヴィルヘルム2世がチェロ演奏を好んでいたため、この四重奏曲でもチェロが単なる低音パートではなく、主旋律を演奏する場面が多いです。これにより、四重奏がより対等なアンサンブルに近づき、クラシックの弦楽四重奏の概念に新たな視点を与えています。

- **和声の明快さと転調の巧みさ**:
モーツァルトの他の四重奏曲同様、K.589も和声の透明感が魅力です。特に緩徐楽章では、平穏な調和の中に予期しない転調が織り込まれており、微妙な感情の変化が表現されています。

- **対話的な書法**:
この四重奏曲では、各楽器が対等な立場でメロディや伴奏を分かち合い、複雑なアンサンブルを作り上げます。モーツァルトの精巧な対位法の技術も見て取れますが、それが聴き手に自然な形で伝わるのが彼の真骨頂です。

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#### 4. まとめ
弦楽四重奏曲第22番 K.589は、モーツァルト晩年の成熟した作風が感じられる作品です。チェロを含む楽器間の調和が特に顕著であり、古典派音楽の均整美と繊細さが際立っています。「プロシャ王四重奏曲」としての歴史的な背景も、この作品の価値を一層高めています。

この曲は、親密なアンサンブルを求める弦楽四重奏の魅力を存分に引き出したものであり、室内楽レパートリーの中でも特に演奏頻度の高い作品です。フリードリヒ・ヴィルヘルム2世への献呈という特別な背景からも、モーツァルトが各楽器の特性を活かしつつ、個性豊かな表現を追求した意欲作といえるでしょう。

### バリリ弦楽四重奏団(Barylli Quartet)1955年録音
**モーツァルト:弦楽四重奏曲第22番 変ロ長調 K.589(「プロシャ王」第2番)**

バリリ弦楽四重奏団の演奏は、1950年代からウィーンの伝統的な室内楽演奏のスタイルを体現する代表的なものとして高い評価を受けています。彼らの1955年の録音によるモーツァルトの弦楽四重奏曲K.589は、モーツァルト後期の弦楽四重奏作品の繊細な表現を伝え、特にアンサンブルの精緻さが特徴です。以下に、この演奏の詳細なメンバー構成とその背景を紹介します。

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## **バリリ弦楽四重奏団のメンバー**
1. **ウィリー・バリリ**(Willi Boskovsky) - **第1ヴァイオリン**
- **1909年生、1991年没**。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを長年務め、軽やかで流麗な音色が特徴。ニューイヤーコンサートでも指揮者として著名です。
- バリリ四重奏団のリーダーとして、モーツァルトやベートーヴェンの古典的なレパートリーに深い解釈を与え、ウィーン楽派の伝統を守り抜きました。

2. **オットー・シュトラッサー**(Otto Strasser) - **第2ヴァイオリン**
- ウィーン・フィルの団員であり、バリリのリーダーシップを支えました。第2ヴァイオリンとしてのサポート力とアンサンブルのバランス感覚が高く評価されていました。

3. **ルドルフ・レオポルト**(Rudolf Leopold) - **ヴィオラ**
- ウィーンの伝統に根ざしたヴィオラ奏者であり、暖かく豊かな音色が特徴です。彼の演奏は、モーツァルトの弦楽四重奏に不可欠な内声部を支え、全体の調和を作り上げました。

4. **リヒャルト・クロチャック**(Richard Krotschak) - **チェロ**
- 深い低音と情感豊かな表現で、アンサンブル全体に厚みを与える役割を果たしました。彼のチェロ演奏は、特に後期モーツァルト作品で重要な低音の旋律線を丁寧に描き出します。

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## **録音の背景と音楽的特徴**

モーツァルトの弦楽四重奏曲第22番 K.589は、1789年にプロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム2世の依頼で作曲された「プロシャ王」四重奏曲の第2番です。この時期のモーツァルトは経済的な苦境にありながらも、王のチェロ演奏に配慮した作品を書き、チェロが活躍する部分が多い点が特徴的です。

バリリ四重奏団の1955年の演奏では、ウィーン楽派独特の柔らかなアーティキュレーションと、各楽器が対話するような自然なフレージングが堪能できます。録音はモノラルですが、アンサンブルの精緻な合奏が際立っており、特に第2楽章(Larghetto)の美しい旋律と第4楽章(Allegro)の軽快なリズム感が印象的です。

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### **録音に関する評価と意義**

バリリ弦楽四重奏団の録音は、モーツァルトの四重奏曲における「ウィーン様式」の基準と見なされ、現在でも多くのファンに愛されています。彼らの演奏は、華美な解釈を避け、楽譜に忠実でありながらも音楽の自然な息づかいを感じさせます。

このK.589の録音は、チェロが重要な役割を果たす楽章においてリヒャルト・クロチャックが見事な演奏を披露している点でも特筆されます。また、ウィリー・バリリの軽妙なヴァイオリンは、モーツァルトの音楽の持つ喜びと繊細さを見事に表現しています。

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このように、1955年のバリリ弦楽四重奏団の演奏は、モーツァルト後期作品の美しさを味わうための優れた資料であり、20世紀半ばのウィーン楽派の伝統を知る上で欠かせない録音です。

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