大道芸ワールドカップin静岡での当日ボランティアの感想。その③
-演技を把握した上でのスケジュール組みと設計-
運営側としてはアーティストがどのような演技を行うか、しっかり把握した上でスケジュールを作る事も非常に重要な事だと思います。
僕自身、ショーでは粉をまき散らかすので、テクニカルライダー(ショーの技術要項)にはステージ上を汚してしまう旨と、できる場所・できない場所をしっかり記載しています。
これは自分だけでなく他の出演者の安全面やスケジュールに沿った円滑な運営のためには必要不可欠なものだからです。
審査時の動画などでしか演技内容を把握できてないアーティストの場合は特に要確認で、水や紙吹雪を使うなどは珍しくないですが、次の公演の前に掃除の必要があったり、大きな道具出しにスタッフの手伝いがいるなど、運営側がそのあたりを考慮した人員配置とスケジュール作りのために演者のテクニカルライダーの提出は必須になります。
アーティストがこのような技術上の注意点を運営側に伝えてない場合は、アーティスト側の落ち度ですが、実際に演技時間が30分以上あり、ステージ上が汚れるので掃除の時間がかなり要求されるアーティストの後にインターバル無しで別のアーティストの公演が入っていて押すという状況がありました。
また、雨天予報だったとはいえ、雨除けのための天幕を設置したポイントでファイヤーパフォーマンスが2組入っている公演ポイントがあり、床も木材でしたし、燃えない素材で出来ているとかなら申し訳ないですが、横から見ていた身としては怖かったです。
この辺りの調整をするのにもテクニカルライダーと演技内容をチェックし、各ポイントの広さやコンディションを考慮した上で、どのアーティストに公演してもらうのが適切なのかということを考える必要があります。
ステージ周りの空間と時間的にもゆとりある環境を作ることが、来場者・出演者・ボランティアのストレスを軽減し、満足度の向上に繋がると考えています。
なんらかの理由があるのだと思いますが、2022年の大会以降に、青葉通り・七間町のポイントが一か所になったのと、駅から札ノ辻あたりにかけての呉服町通りの近辺に定点のポイントがなくなったのも寂しく感じます。
市街地のポイントは少なくなった事で一か所に集中してしまいキャパシティがオーバーしていたと思うし、今のポイントの配置上こうなってしまうのは仕方がないとは思います。
目の見える範囲に別のパフォーマンスやエリアのアーティストのアクトが行われていれば、来場者が移動する理由が生まれますが、現在の市街地のポイントは札の辻、ATRTIE、青葉シンボルロードの3か所のみとなっています。
(一応、市役所前と常磐公園もあるけど少し距離がある)
昼とは打って変わり、18時以降の夜間スケジュールが入っていないため、夜はかなり人が少ない印象を受けたので、この近辺のポイント数と夜間の公演が増えたら街全体に人がいくのかなと思いますね。
近隣商店街や青葉のキリンブースの売り上げにも貢献できると思うのですが。
-オフ(ニューカマー)部門について-
ポイント数を増やし混雑の緩和するのには、オフ部門を再開するというのも効果があると思います。
以前のようにオフのポイントはアーティストの裁量によって場をコントロールしてもらえれば、配置するスタッフ自体は最少人数でポイント数は増やせると思います。
また音響や機材も基本は持ち込みをお願いできれば、大変助かりますし、個人的にはオフ部門があって活気あるフェスティバルになると思っています。
オンの待遇より悪くなってしまうとはいえ、静岡の知名度や投げ銭を考えれば、参加したいアーティストは少なくないと思いますし、バラエティ豊かな多くのアーティストに参加してもらえる機会も設けられ、そのような形で参加して頂けるアーティスト達に助けて頂くという手もあるのではないでしょうか。
2019年では38ポイント中、10ポイントがオフの場所でした。
特に現・駿河屋ポイント付近は以前は4つもオフのポイントがあり、活気のあった場所ですが、現状だと離れの一ポイントだけになっているので、フェスからの人出はここまで流れて来にくいです。
ここは新静岡駅&セノバが近くにあり、この辺りにも人の流れを作れるポイント配置ができれば市街地・駿府公園・静岡駅との人の流れを生む事ができると思います。北街道まで抜ければ市民文化会館までも距離はないですし、とても綺麗なエリアなので、またこの辺りで公演が増えればなと思います。
ここまで散らかった意見を長々と書きましたが、スタッフが増えればポイントも増えて、もっと色々なアーティストを呼べて混雑も分散して、現場のお客さんとスタッフのストレスも減るし、沢山のパフォーマンスも楽しめて、みんな幸せでやさしい世界になるよね。ということです。極論ですが。
それによって来場者数を200万・300万目指し更なる盛り上がりを~とかいう考えではありません。
あくまで管理できる状態で街が賑わい、地元にお住まいの方々にもご理解を頂いたうえで皆さんが楽しめる範囲のものである事が大切だと思います。
今後、ボランティアの募集を周知させていって欲しい事もありますが、SNS関係でいえば公式の発信が少なすぎる点も気になります。
今年でいえば、雨天確実なのは1週間前から懸念されていたので、雨天スケジュールを直前ではなく備えていれば、もう少し現地の混乱もなかったのかなと思いました。
それに公式アカウントでアーティスト紹介したり、ガイドブックをネットで無料公開するのであれば、やたら重いガイドブックページや公式HPへのリンクだけではなく、見やすい画像で直接投稿するのがよいかと思います。
有益な情報が随時発信されるのであれば、フォロワーも増え、今後の告知の効果のアップや、拡散等によるイベント自体の知名度の向上も見込めますし。
-最後に-
実行委員を含む大勢のボランティアで、この規模の大会を運営をしている事は大変な事だとは思いますが、現状では混雑以外の問題も含めても、実行委員・当日ボランティアの許容できる以上の負担を抱える方がいらっしゃるのも事実で、ここまでだと奉仕の精神がどうこうという範疇ではないように思えます。
運営する上で必要不可欠なボランティアの方々であるからこそ、また参加していただけるように、スタッフにも楽しんでいただきたいと切に願っています。
大道芸フェスは性質上、まだ成熟していないシステムで構築されています。
大きな音楽フェスなどは、その道のプロが集まり制作している為、心理的誘導や効果的な仕組みを取り入れた緻密な管理体制によって運営されていますが、多くの来場者が訪れる静岡の場合、その未成熟なシステムの影響をダイレクトに受けていると感じました。
非常に難しいバランスで調整をしなくてはなりませんが、その為には運営で色々な所を並行して手を加えていかなければならない事があると思います。
個人的にはパフォーマンスというのは各々が見たい姿勢・距離感で楽しんでもらえるのがベストであるし、そういう皆が心地よいと感じる空気感の中で行われる演技はより良い一体感に包まれると断言できます。
確かに大道芸という名前を付けたフェスではありますが、大道芸を見る事だけでなく、あくまで静岡の街全体を楽しんで頂けるようにもっとリラックスして楽しめる4日間であって欲しいと思いますし、そんな贅沢な時間を味わって頂けるように街を彩れるようなフェスになって欲しいと思います。
もちろんここで自分が書いた事には穴もあると思いますし、様々な理由で実現することは難しい事もあるでしょう。
このフェスティバルは自分がパフォーマーになる事を志したきっかけでありますし、何より今でも大道芸ワールドカップ自体は大好きです。
何も思うところなければ自分が出演者で応募しますが、現状のフェスティバルには不満があり出たいとは思えませんし、どういう方向からであれ、このままではじりじりと終わりに向かってしまうと感じています。
自分を実行委員にしてほしいという理由は、こういった意見が出た時、それを実現させる為に議論できる立場にいる事で、今後の大道芸ワールドカップがより良い形で開催し続ける事を模索できるからです。
今年は現場に一番近いところでスタッフをしたというのもあり、実行委員会と事務局が色々考えてくれたんだな。と目に見えて変化があった部分も感じる事がありました。
現状、実行委員に入るのは断られてしまっているので、あくまで自分が現場で感じた事と意見を目に見える形で残す事が、何かしら意味があればいいなと思います。
今年も実行委員の面接をお願いするつもりですが、現職の実行委員の方からの推薦であれば、面接無しで実行委員会に入れると聞いたので、もし推薦してもいいよという実行委員の方がいらっしゃいましたらご連絡いただけますと幸いです。
誠心誠意、働かせていただきます。
実行委員でなくても、お力添え頂ける方からのご連絡お待ちしております。
[そのほか(現場で思った範囲で)]
・去年同様、最終日の締めくくりが寂しすぎる。
以前は駿府公園内に大型ディスプレイを乗せたトラックがあり、そこで連日の会場内の様子やスポンサーのCM、そして文化会館のステージで行われるファイナルステージの様子が中継されていたが、これがある事でお客さん・スタッフさんが現地に残り、フェスの締めくくりを見届けていた。
野外まで、ファイナルの様子を届ける事ができ、ディスプレイ付近は中とはまた違った良い空気になっていた。そういう余韻を感じて思い出を作っていただく事でお客さんもボランティアもまたフェスティバルを訪れてくれるのではないかと思います。
現状、大ホールで有料ステージにいかなければフェスの終わりを感じる要素がないので、フィナーレくらい全員が楽しめるようなオープンな環境にあっていいのではないかと思う。
このディスプレイ近辺にはキリンブースや屋台が並んでいたので、通常時でも画面見ながら一息つけて、いい休憩場所になっていた。
・ファイナル含む企画や、アーティストの選出については知識と理解のあるプロデューサーというか、フェスの色を決め舵を取れる人が必要だと感じた。
個人の感性もあるので詳細は明記しませんが、魅力やワクワクするものが少なく、企画も稽古や打合せの時間もそれほど取ってないように自分には見えました。
アーティストのコラボなどはクオリティや出演者にかかる負担でも懸念するべき点がある事と、内輪に向けた内容に偏りがちなのでこの辺りをうまく調整して着色できる人がいれば、フェスに企画を入れる意味が出てくるのかなと思います。
とはいえ前プロデューサーの件もあるので、慎重にならざるを得ないか。
・情報伝達が錯綜している事があった。これは出演者とのやりとりでもあったと聞いています。組織内のコミュニケーションや意思決定権の所在などに不安を感じる。
・実はあったなら申し訳ないし、細かい事ですが、アーティストの控えテントに水の用意があるといいなと思った。
「水が欲しいんだけど…。」海外アーティストから頼まれたのですが、アーティストの控えテントにあるだろうと取りに行こうと思ったら、水自体は文化会館の控えにのみあるという事だった。
あと水は飲む以外の用途にも使えるので、こういった気遣いがあると嬉しい所だと思う。
アーティストは重い機材引きずってポイント移動したりするので、1リットルとか2リットルとかの水をいくつも携帯するの大変でして、各アーティスト休憩所に用意されてると、とても助かると思う。
・文化会館でのショーケースで指定席と自由席の値段差があり、指定席は自由席の3倍するので、自由席がある後方エリアにお客さんが集まり、前方の指定席エリアに人が少ない回があった。
同様にファイナルのステージも空席が目立ち、演者側からしてもお客さんからしても空席が目立つような席配分と指定席は必要ない気がする。
また、ショーケースはガイドブックに投げ銭を取ることが記載されていなかった。以前は記載があったし、記載なしでチケット代取って投げ銭も取るというのはアーティスト側も気まずいので明記をして欲しいところ。
あと指定席の方は3000円も払っているので+投げ銭というのは余計出しにくい。
自由席であれば1000円で座って良い環境で見れるというのは、非常に優良な内容であると思うので、適正な値段や指定席数の調整ができればいいと思う。
・一部メディアの取材の仕方が目に余る。進行の妨げになる取材を突然行ったり、一般のお客さんを差し置いて我先にと前方で脚立で場所取りしていたので、お客さんを前に入れてからその後ろに脚立を立て撮影して欲しいとお願いしたが、わかったと空返事だけして結局移動せずそのまま撮影を行っていた。これは両方とも同じ社。
以上です。貴重なお時間を頂き、お読みくださりありがとうございました。
リンク
2022年の諸問題についてはこちら。
別の方が、運営体制やフェスの抱える問題点を指摘されている記事も参考になるのでリンクしておきます。
どちらも2年ほど前の記事になるので、今現在は実行委員と事務局の一部の方の尽力もあり改善や変化したところもあると思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?