入社10年目、左遷された
2020年11月某日、突然マネージャーに呼びだされた。
マネージャー:「次年度から君にはローンサービス部(仮称)で頑張ってほしい」
言葉を失ってしまった。そして、死刑宣告かと思った。心の中で「自分がローンサービス部?そこの部は誰もが知る落ちこぼれ部署だろう?何故、自分が?」と狼狽。その後、絶望と怒りを混濁させた感情が込み上げてきた。
私:「何故、私なんですか・・・?私は今まで有価証券で実績を積み上げてきました。何故、何故、なz・・・」半ば涙ぐみながら必死に回答を求めた。納得できる理由が欲しかった。
ここで簡単に私の経歴を書きたいと思う。
理数系の大学院を卒業。某大手金融機関に入社。エース部署である有価証券運用部(仮称)に配属。株式、債券、為替、プライベートエクイティ、ヘッジファンドなどの有価証券運用を5年経験。その後、海外で投資・運用の研修を終え、帰国後は有価証券運用部門の全体収益管理、人財育成などを担当。若手が羨望の眼差しで見るキャリアを順調に積み上げていった。
・・・・かに思えた。ここで、記事冒頭に戻る。
マネージャー:「君にはローンサービス部を変えてほしいんだ。期待しているからこその人事だ」
若手の中には「なあんだ。期待されているからこそなのか。」とマネージャーの言葉を鵜呑みにしてしまう人もいるかもしれない。しかし、大企業、特に金融機関でこれはあり得ない。
いや、「当社」というべきだろうか。当社では事実として、順調に出世している人・評価されている人は、人事から評価されやすいエース部署に長く在籍し続ける。あるいはエース部署を転々とする。これがセオリーである。
当社で役員になっている人は「はいはい、この異動ルートね」という感じで、出世する人はこの異動ルートというのが明らかに決まっているのだ。敗者復活はほぼない。
つまり、「ローンサービス部に異動」してしまった時点で、私のキャリアはほぼ終わってしまった。
次の日から、私の世界は暗い世界となった。世界自体は変わっていないだが。