⑪ 話すデザインと聞くデザイン

この記事は武蔵武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース『クリエイティブリーダシップ特論』の講義内容と私自身の心得や気づきについてまとめてみました。

ゲスト講師|グラフィックデザイナー 三木健            1955年神戸生まれ。1982年三木健デザイン事務所設立。
ブランディング、アドバタイジング、パッケージ、エディトリアル、空間など
様々なフィールドにおいて情報を建築的にとらえる発想で五感を刺激する物語性のあるデザインを展開。主な受賞にJAGDA新人賞、日本タイポグラフィ年鑑グランプリ、世界ポスタートリエンナーレ富山銀賞、N.Y.ADC奨励賞など受賞多数。パーマネントコレクションにサントリ−ミュ−ジアム、富山県立近代美術館、Museum fur Kunst und Gewerbe / Hamburg、The Chicago Athenaeum / Chicagoなど国内外多数。             JAGDA、東京TDC、AGI会員。大阪芸術大学教授。

DESIGN AS WE TALK

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三木さんは自分のデザイン事務所を経営するのみならず、大阪芸術大学で教授を務めつつ附属専門学校の校長として学校の運営にも携わています。そんな幅広く活躍している三木さんに構想を練る方法について伺いました。三木さん自身普段実践している「気づきに気づく」ためのデザインの発想法は、話すデザインと聞くデザインこの2ステップがあります。

話すデザイン 五感を駆使し、話し相手の考えをしっかりと理解すること。話すようにデザインし、対話を可視化する過程。            聞くデザイン 対話を通じて相手の脳を借り(三木さんはこの過程を借脳と呼んでいます)、新しい価値を発見する過程。

この発想法を実践するため三木さんは余談をとても重視しています。その理由は日常的な余談の中に必ず何かヒントが潜んでいで、そのヒントを掴んで仮説を立てみると新しい物語やデザインのコンセプトが生まれるからです。話すデザインと聞くデザインのほかに、三木さんはデザインを学ぶ教育プログラム「りんご発想法」を開発しました。

先述のような対話から生まれた価値も含めて、三木さんはそれを「偶然の幸運と出会う能力」と呼んでいで、セレンディピティの重要性を強調しました。三木さん自身のデザイン事務所のルールの一つー本棚を整理してはいけないもそれを反映しています。「良き隣人の法則」と名付け、思いもよらない情報が繋がり、発想がジャンプするを示しています。

これからのブランディングデザイン

ブランディングデザインという言葉がよく使われていますが、実際にはどんなことを指しているのかを解釈するのは難しいではないか。三木さんにとってブランディングデザインは「お客さんとの絆つくり」で、マインド・アイデンティティ(心/言語化)、ビジュア・アイデンティティ(顔作り/ビジュアル)、ビヘイビア・アイデンティティ(体/商品・仕組み)ーこの三つのプロセスで構成されていると。これからのブランディングデザインはパーパス、何のためにこのブランドがあるのかいわゆる存在意義を重視しなければならないと指摘しました。デジタルの社会において、今まで追求されてきた機能的価値のみならず、情緒的価値が寄り添うことで心の満足度を重視すべきとおしゃていて、強く共感しました。あったらいいなと届ける人はうふふと笑うように喜びをリレーするデザインを作りたいと思います。

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