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③  「できるという確信」のデザイン

この記事は武蔵武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース『クリエイティブリーダシップ特論』の講義内容と私自身の心得や気づきについてまとめてみました。

|登壇者|

プロジェクトマネージャ 森一貴
山形県生まれ、福井県鯖江市在住。「社会に自由と寛容をつくる」がコンセプト。フリーのプロジェクトマネージャー/サービスデザイナーとして、人々の「できる」という確信=Capabilityを引き出す営みを探索する。職人に出会いものづくりを知る、福井のものづくりの祭典「RENEW」事務局長。半年間家賃無料でゆるく住んでみる全国連携移住事業「ゆるい移住全国版」プロデューサー。鯖江市にてシェアハウスを運営。

「社会に自由と寛容をつくる」

こんな社会を作りたい!と森さんは講義の最初からビジョンを具体的に説明してくれました。まずは「幸福」一体なにかから考えなければなりません。人による近いますので、幸福は一意に定義できません。当たり前に見えるが、実際の世界はそうでもない。例えば親は自分が思ったいい教育を子供に押し付けることや、社会に影響が悪いから同性婚を反対するなど。違う人から見た理想の社会はそれぞれバラバラです。森さんのメインコンセプトとした「自由と寛容がある社会」とは多様な選択肢があり、人々が社会を変えていけるような社会です。しかし、人が選択肢をつくることには限界があるので、大切なのは「選択肢をつくる」ことを民主化し、誰でもできるようにすること。そのため、政府機関や企業との連携も重要です。デザイナーとしての役割は、「人々のデザイン能力をエンパワーしていく」ことです。ここのデザイン能力というのはものをつくるではなく、自分自身で考えて、決定し生み出していく能力です。

このビジョンを実現するために、森さんは「できるという確信」をめぐって、街づくりや教育などと関わったプロジェクトをやってきました。今まで要するに変化のための小さな階段をつくる、つくることの民主化、そしてさらに進化した総教育者社会、この三つの段階があります。

「RENEW」 ー福井・ものづくりの祭典

つくることの民主化の具体例として、森さんは「RENEW」という産業観光イベントを挙げました。福井は多様な産業が集まってる、まさにものづくりの街ですが、職人さんは直接にお客さんと接触し交流する機会があまりないので、お客さんの顔見てないやフィードバックわからないなどの悩みがよくあります。そのため、工房一斉に開放する観光イベントが誕生しました。見学やワークショップを通じて、お客さんが職人さんの想いや文化の背景を知り、技術を体験しながら買い物を楽しめます。

このイベントを通して、職人さんが「自分がいけてんぞ」という確信を感じました。それだけではなく、福井には新たに新規ファクトリーショップ20店舗近く増加し、見学できる工房も増えてきました。同時に、RENEWをきっかけに福井に就職、移住した人もいました。ただの観光イベントではなく、体感型マーケットをコンセプトで持続可能な産地をつくりました。

「弱くてもいい社会」 

最後森さんはこれから「よわいデザイン」やりたいと言いました。強い人ためのデザインではなく、あそべるデザインをやりたいという言葉は心に響きました。これを通じて弱くてもいい社会を作り、きっとやさしいかつ自由な社会にも繋がるだそうと強く共感します。


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