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① 森と共生するためのデザイン

この記事は武蔵武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース『クリエイティブリーダシップ特論』の講義内容と私自身の心得や気づきについてまとめてみました。

第1回は「森」をメーンにしたクリエイターたちから貴重なお話を聞かせいただきました。

|登壇者|

・林業アーティスト 足立 成亮さん

1982年札幌生まれ。主に写真作品制作などの活動をしていたが、森で働くイメージを強く抱き始め、森林調査や森林作業を行うなどの山仕事を始める。ポエティックな表現で「山」純粋な美を伝え続けている。  
・林業建築家    陣内 雄さん

1966年札幌生まれ。東京芸大建築科卒。一時期に設計事務所勤務したが、違和感を感じ退職。それから、環境問題への関心をきっかけに林業を志し。NPOやブランドを立ち上げたり、地域活動に参加したり、森を中心に活動をやり続けている。

「林業から遊びまで、

森に関わる日常を創っていきましょう」

森と社会の繋がりを創り出すために、お二人が「outwoods」という団体を結成しフリーの「キコリ」として幅広く活躍されている。さらに、今年3月「WOOD CHANGE AWARD(木へのまなざしをイノべーションするアイデア)」ではGOLDを受賞した。

普段あまり森に行く機会がないので、今回足立さんの写真作品を見てまるでほかの世界に行ったような感覚で精神がリフレッシュされるほど美しいです。outwoodsのFacebookページには森の写真のみではなく、足立さんたちの作業風景もたくさんが貼ってあったので、ぜひ見てみてください。

「木を木材しか見ない」

山仕事を始まるきっかけというと、お二人とも環境問題と関わった契機でした。特に、陣内さんが四十年ほど前のバブル時代に新聞の一角で地球温暖化の記事を見て違和感が湧いたというエピソードがとても印象深いです。確かに、SDGsやサステナビリティについての議論と意識が年々高まっていますが、なぜ持続可能性がそんなに重要なのが、その根本的な動機を考えたことないかもしれません。森は原料を提供するための装置ではなく、きちんと生命体として大事にしなければいけないと今回お二人の話を通じて強く思いました。

特に、お二人の出身地ー北海道の森林面積は土地面積の70%、日本の森林面積に占める割合は22.1%となっています(2019年時点)。陣内さんはこう言ってました「旦那みたいに、木材持ってこい!って」原料供給地として長い年月で働きすぎて、自分の産業はつくれないという問題が極めて深刻です。北海道独自の産業チェーンを作るために、プロジェクトを運営する際に人件費などを無駄にかからないように、金流を七割くらい最大限に地方に回しています。

「プロから発信し、間に合わなければならない」

2020年には「ソロキャンプ」が流行語になるなど、キャンプブームについての議論にも非常に興味深いです。キャンプブームによって森に興味を持ち始めた人や山を買いたい人が大幅に増えています。「キャンプ場は森を認識するための入り口はいいかもしれない、それをはじめ山または森そもそもどういう場所なのか、知ってもらいたい」

その一方で、焚き火など専門知識の不足による災害も多発しています。このブームを間に合うようにプロたちも専門知識もっと広なければいけないと、足立さんは言いました。私の出身地の台湾でも特に若者を中心に新たな登山ブームを迎えました。それによる事故発生率は60%増加しました。来てもらうためのデザインだけではなく、制度面などからそのあとのデザインも大事だなぁと思いました。

以上。


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