言語と非言語について 3
こんにちは。
気が付いたら、しっぽりとシリーズになっていた「言語と非言語について」というタイトルのnote記事、今回はその第三弾になります。
1では言語・言葉の力、2では非言語コミュニケーションについて、つるつると書いてきました。
今回は言葉のやり取り、の部分に注目して、少しお話をしたいと思います。
過去の記事は以下から読めるので、よければあわせて眺めてもらえると嬉しいです。
言葉の性質
まず、「言語と非言語について 1」でお話した、言葉の持つ性質を少し簡単に振り返ってみましょう。
ここで主に注目するのは
2. 意識化と思考
3. 想起性
の2つの性質です。
意識化と思考・コントロール
これは僕のnoteでよくしている話ではありますが、呼吸を例にとって考えてみましょう。
「あなたは今、呼吸をしていますね?」と言われると、何を当たり前な、と思われますが、言われた瞬間から呼吸が意識に(ある意味強制的に?)上がってしまいますね。
そして、一度、このように意識に上げることができれば、深い呼吸をしたり、浅い呼吸をしたり、あるいは呼吸のスピードを変えたり、といった具合に呼吸をコントロールできるようになります。
逆に言うと、僕がこのような話をするまでは、呼吸は意識に上がっておらず、無意識に呼吸をしていましたよね?
これが、言葉による意識化と思考・コントロールです。
僕たちは、言葉によって提示されることで、その対象を意識化することができ、一度意識化で来てしまえば、思考などでそれをコントロールできるようになる、ということです。
想起性
もう一つは想起性です。
人は言葉や概念に記憶や情動などをひっかけて認識していることが多いです。
そして、人は言葉を投げかけられると、それに関係する記憶や情動、イメージを一緒に勝手に引っ張り出してしまいます。
例えば、「アイスクリーム」を思い浮かべてください。
そうすると、ハーゲンダッツのようなカップに入ったアイスを思い浮かべる人もいれば、コーンにのったアイスを思い浮かべる人もいると思います。
場合によっては、自分の好きな、好きだったアイスや、思い出のアイスのイメージが勝手に浮かんでくるかもしれません。
これが想起性です。
さらに、僕たちはイメージの影響を非常に強く受けます。
例えば、今思い浮かべてもらったアイスを食べることを想像してみてください。
口の中に冷たいアイスが入って、甘い美味しい大好きなアイスの味が口いっぱいに広がります、みたいに言われると、ほんのりアイスの味が下りてきたり、人によってはしっかりとアイスの味を感じられたりするかもしれません。
これも想起性に関係する言葉の力であり、自然と暗示性も持っています。
そして、僕たちのイメージの力は、体感や記憶にこれほどまでに影響を与えてしまうのです。
言葉の保持者は誰か?
それでは、このnoteの本題でもある、言葉のやりとり、特にその中での言葉の保持者についてお話したいと思います。
興味があることは、言葉の保持者は誰か?という話です。
上で振り返ってみたように、そして少し体感してもらえた?ように、言葉というのはとても強力な力を持つものでした。
そのような言葉は、誰が保持しているものなのでしょうか?
もしかしたら、言葉はその言葉を発した発話者のもの、と思われるかもしれません。
小説家のように言葉を紡ぐのが得意な方などは、その能力をフルに発揮して、情動豊かに感情や情景、経験を言葉にして表現できるでしょう。
それは、発話者の描く非常にリッチな言語の世界です。
ですが、一度文字に起こしたり、発話して発信すると、言葉は全て発話者の手から離れていきます。
そして、それらの言葉は、全て受け取り手のものになります。
つまり、どういう風に受け取られ、何を読み取られ、何を感じられるか、というのは全て受け取り手次第であり、受け手が見たいものを見、受け取りたいものを受け取り、感じたいものを感じます。
そこに発話者がこれ以上介入する余地は全くありません。
その意味で、最終的な言葉の保持者は、その言葉の受け取り手となります。
言語の限界?
これを言葉の性質と合わせて見てみると、、言葉による誘導の限界を示唆しているとも言えます。
というのも、言葉は確実に相手の意識に上がり、言葉は相手のものになってしまいます。
そして、一度そのように意識に上がってしまうと、相手がそれを思考・コントロールできるようになります。
術者の言語誘導の最終的主導権は実は被験者が持っているということであり、誘導がうまく機能しない可能性があることをを意味します。
この意味で、これが言葉を用いた誘導のひとつの限界かなと、僕は捉えています。
もちろん、これは悪いことではありません。
被験者がちゃんと見たい、感じたい、体感したいと思えば、それをしっかりと実現できることができます。
そして、同時にこれは催眠に抵抗する意識の使い方へとつながっていきます。
この点については、以下の記事で取り扱っていますので、詳しくはそちらを見てもらえると嬉しいです。
最後に
このnoteでは、言葉の性質を簡単に振り返った後に、言葉のやり取りに注目して、言葉の保持者、そして「言語の限界?」について簡単に述べてみました。
言葉の最終的な保持者は、言葉を投げかけられる相手になってしまうという話をしてきました。
実はこの事実をしっかりと認識すると、実はここからさらに先に進んで、どのように働きをしていくのがいいか?ということを考えることができます。
その話は、またどこかで機会があればしたいなと思っています。
ここまでお付き合いありがとうございました。