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そりゃ就活で無双だわ…ダイヤモンド社“新人編集者”が明かした「最強の志望動機」とは?
出版社・ダイヤモンド社の新入社員4人は、4月からnoteで『ひよっこ編集見聞録』を連載してくれていました。そして、この10月についに編集部に配属され、書籍編集者として本格的な一歩を踏み出しています! そのことを記念して、4人のインタビュー記事をお届けします。第1回の森遥香さん、第2回の佐藤里咲さんに続く第3回は、第三編集部に配属された菱沼美咲さんの登場です。
――編集部への配属おめでとうございます! まずは簡単な自己紹介をお願いできますか。
横浜国立大学・大学院出身の菱沼美咲です。大学の学部では教育学部に入って、小学校の教員免許と中学校・高校の国語と理科の教員免許を取りました。
大学院では気象学を専門分野として学びました。特に台風の研究をしていて、日本にやってくる台風の勢力を制御した場合、日本にどんな影響があるのかなどについて研究していました。
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――いきなり「ツッコミどころ満載」という印象です…! 教育学部から気象学へと専攻分野が大きく変わったところも気になりますし、文系と理系、両方の教員免許を取っているというのも不思議な気がします。
「得意なのは文系、好きなのは理系」だった影響が大きいと思います。最初は学校の先生になりたかったんです。ただ、国語と理科どちらの先生になるべきか迷っていたので、横国に進学しました。当時の横国は、入学してからどの教科を専攻にするか好きに選べるスタイルだったので。
大学に入ってから結局「好き」を優先して理科を主専攻に選びました。それで学部3年生のときに気象学を専門とする先生の研究室に入ったんです。想像以上に気象学が面白く、学部の2年間では満足できなかったので、大学院に進みました。その頃は、博士課程まで目指して、研究者になろうと思っていました。
――そこから編集者の道を選ぶというのは、かなり距離感があるように思いますが、どういう経緯だったんでしょうか?
一つは、「私はこの研究分野で一生やっていけるんだろうか」と悩んだことです。周りの研究に打ち込んでいる方々を見て、「自分はこれから先ずっと、高い熱量で研究を続けられるのだろうか」と不安に思い、研究者になる勇気が持てませんでした。
一方で、もともと小説が大好きで子どもの頃からたくさん読んでいました。2週間に1回、地元の図書館に行って本を15冊借りるんです。10冊は自分で選べて、残りの5冊は親が選んだ本を読むというのをずっと続けていました。自分では『ダレン・シャン』や『獣の奏者』などのファンタジーを好んで読み、親からは『三国志』や『東海道中膝栗毛』などを勧められていた記憶があります。
小説だったらジャンルを問わず、何でも読んでいたような気がします。本を読み終わるまで続きが気になって寝ることができず、豆電球で無理やり夜な夜な読んでいました。
『ハリー・ポッター』シリーズは、1冊読み終わるまで椅子から降りず、親に怒られながら読んでいて、今では立派なハリポタオタクになりました。ハリー・ポッターの世界観に浸りたいがためだけに、ユニバ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の年間パスを買っていた時期もあります。
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そんな私が「編集者」という仕事に興味を持ったのは、「学生による、学生のための出版コンペティション」である「出版甲子園」に企画を出したことがきっかけです。文系科目である「古典」と、私が研究してきた理系の「気象」を掛け合わせたら面白いのではないかと思っていたので、そんな企画を出しました。文系・理系を分けてしまうことで、学びの可能性を狭めてしまっていないか、という課題意識をもとに企画を作成しました。
3次審査まで通過して最終候補の6企画に残ることができると、現役の編集者さんが見に来てくださって、企画内容を評価してくださるんです。それで、その場にダイヤモンド社の編集者の金井弓子さんがいらっしゃったんですよ。
金井さんが質疑応答の時間に質問してくれて、「ここが良かった」と褒めてくださったし、「こうしたらもっと良くなるかも」という提案もいただきました。だから、私にとって「初めての編集者さん」が金井さんだったんです。
――入社前に金井さんとそんな接点があったんですね。ちなみに、差し支えなければで大丈夫なのですが、出版甲子園の結果は……?
恥ずかしいのであまり言っていないのですが、運良くグランプリをいただくことができました。
――それはおめでとうございます! その金井さんとの出会いが編集者を目指すきっかけになったんですね。
それに加えて大きかったのは、金井さんが編集を担当した『わけあって絶滅しました。』の著者、丸山貴史さんのトークショーです。そこで丸山さんが「自分は生き物に何かをしゃべらせようとは思っていなかったけれど、金井さんがそうしようって提案してくれて、その案で原稿を書いてみたらこんなに売れた」「どうやったら売れる本になるかという点で、金井さんが出した案の影響は大きかった」といったお話をしているのを聞きました。
それまでは、編集者の仕事は文章のチェックだけくらいに思っていたので「本の編集者ってそこまでできるのか!」と興味が湧いて、編集者という仕事の解像度が一気に上がりました。
それで金井さんのことをまず調べたんです。そうしたらダイヤモンド社のホームページに行き着いて、「ダイヤモンド社って会社があるんだ」と初めて認識しました。調べてみると、売れている本ばかり出していて、自分の本棚を見たときに、ダイヤモンド社の本が何冊かあったんです。
私はビジネス書もノンフィクションも読めなくて、小説しか読めない人間なんです。大学院時代は研究論文を泣きながら読んでいたくらいでした(笑)。そんな私の本棚にあった、小説ではない唯一の本がダイヤモンド社の本でした。
その少し後で知ったんですが、ダイヤモンド社の本の奥付には編集担当者の名前が入っていて、私の本棚にあったダイヤモンド社の本は全て田畑博文さんが編集したサイエンス本でした。田畑さんが編集した本って、小説しか読めない私でも最後まで読めたし、手元にずっと置いておきたい本だったんです。
そういう経緯があって、金井さんと田畑さんに憧れて編集者になりたいなって思いました。
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――なるほど…この話をしたら、それは就職活動でダイヤモンド社に受かるでしょうね! 志望動機にめちゃくちゃ説得力がありました!
実は、就活では金井さんや田畑さんの話はしていないんです。憧れすぎて恥ずかしくて……。出版甲子園の話はしたんですが……。
他には、大学院のときにJAMSTEC(海洋研究開発機構)というところで研究のアルバイトをしていたので、そのときの話をした気がします。たくさんの研究者さんと一緒にお仕事をさせていただいていたんですが、「研究者の人ってこんなにすごいことをやってるのに、なんで世の中に伝わっていないんだろう?」と思ったんです。
そういう経験から「専門家と一般の人をつなぐ本を作りたい」とも思っていたので、こっちの話を就活ではしゃべったと思います。
――そうなんですか。面接官ウケが絶対よかったと思うのに、もったいない! でも、金井さんや田畑さんの話をしなくても入社できたわけだから、余計なお世話でしたね。では、そんな菱沼さんが「こんな本を作ってみたい」と思う、目標にしたい書籍があれば教えてください。
自社本で、これも田畑さんが編集した本なんですが、『世界史は化学でできている』です。「世界史」と「化学」って、分野が文系と理系に分断されている印象があると思うんですが、その垣根を越えて一冊の本になっているのがすごいなと。
自分が最初にやりたいと思っていたのが、出版甲子園に出した企画のように「文理の分野にとらわれない本を作りたい」ということだったので、『世界史は化学でできている』を読んでそれをあらためて思い出しました。
さらに、専門家の専門分野に関する内容を面白い本にして、それを多くの人に届けることができている点でも、私が目指す一冊だと考えています。
「理系が好きだから絶対サイエンス本を作る」みたいにこだわるんじゃなくて、いろんな分野でそんな本を作りたいなって思います。……でも、欲を言えば、やっぱり憧れなので、田畑さんみたいに売れるサイエンス書を一冊は作ってみたいです……!
――最後、めちゃくちゃ顔に力が入っていましたね(笑)。菱沼さんの「憧れの一冊」が生まれる日を楽しみにしています。今日はありがとうございました!
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