ブログは本当にオワコン?「5億円稼ぐまでの血と汗と涙」が本になるまで
―― 書籍『ブログで5億円を稼いだ方法』は発売2カ月ではや4刷3.2万部と絶好調です。担当編集・中村さんは実用書、実務書を大の得意とされていますが、この本を作ろうと思ったきっかけは?
中村明博(以下、中村) ツイッターを見ていたら、偶然きぐちさんのツイートが流れてきて、すごく面白そうな人だと思いました。さっそく、きぐちさんのブログ「副業クエスト100 お金を稼ぐための100の方法」を見てみると、2020年の月別アフィリエイト収益の成果レポートが掲載されていました(下図)。なんと、毎月200万~500万円も稼げている。
当時、僕は「ブログはオワコン」「時代はYouTube」だと思っていたので、「こんなに稼ぐ人がいるのか……」と衝撃を受けました。そして、ブログのプロフィールページで「ブログだけで累計5億円稼ぎました」と書いてあるのを見て、すぐ連絡をしました。
―― それが書籍タイトルにつながったんですね。きぐちさんに打診されたときの反応は?
中村 当初からこのタイトル『ブログで5億円を稼いだ方法』で打診したところ、「ぜひお話を聞かせてください」というお返事でした。ツイッターを見て、人柄はなんとなくわかったつもりでしたが、会ってみないとどんな方かわからないので、お目にかかるときは期待と不安が入り交じります。
きぐちさんとオンラインでお目にかかった第一印象は「ガツガツしたところがまったくなく、理性的で、いい意味で仙人のような人」という感じで「ぜひ一緒に仕事をしてみたい」と思いました。「匿名で本を出せるなら、興味があります」とのことで、そこからはトントン拍子に中身を詰めることになりました。
初心者向けの「ザ・教科書」に
―― まさに「『ブログ運営のすべて』を全10章で解説」と書いてあるとおり、ブログを運営するために必要なことがこれ1冊ですべて網羅できる内容ですね。この全10章の目次構成は、すんなり決まったのでしょうか。
中村 この目次構成は、きぐちさんがブログで出していた「ブログ収益化ロードマップ」がベースになっています。無料版と完全版(有料)とがあって、超王道ノウハウがすでに体系化されていました。
ただ、どちらかといえば、「すでにブログをやっている人」向けにまとめられた内容でした。「そもそも、なぜブログで稼げるのか?」「アフィリエイトのしくみは?」といった基本中の基本のような項目にはあまり触れられていませんでした。
この「ブログ収益化ロードマップ」をそのまま出した場合、ブログの中・上級者であるきぐちさんのファンの方たちには手堅く売れるだろうけれど、そこまで伸びないと思いました。「お金の不安がある人」「副業に興味がある人」にも手に取っていただきたいですし、これからブログを始める人にとって「ザ・教科書」になるものにしたかったんです。
―― まさに、そういう「ザ・教科書」になっていますね。
中村 初心者向けの基礎的内容は丁寧に盛り込みました。それと、ググれば簡単に出てくるような情報は排除して、各章とも過不足ない内容で、初心者がこれ1冊で学べるよう注意しました。
一番悩んだポイントは?
一番悩んだのは、「第1章」の内容を入れる位置です。「ブログを始めてから3年間は収益ゼロだったが、5億円稼ぐまでに大逆転できた」という著者のストーリーを、現状のように最初に入れるべきか、あるいは本文が終わったあとの「おわりに」として入れるべきか……。
最初に入れると「大逆転した!」という前向きな印象を与えられそうですが、一方で、稼げるようになるまでに3年もかかっているので、「ブログってすごく大変そう……」と、これからブログを始める人には敬遠されるかも、と思いました。
当時、ブログ本の売れ筋は「今すぐ月10万稼げる!」といったハードルの低さをウリにしたものが多かったので、それと比べると、かなり気の長い話に見えてしまう気がしたんです。
ただ、『ブログで5億円を稼いだ方法』というタイトルにするのであれば、そのストーリーを最初に入れるのが自然で、そうすべきだと思うようになりました。
結果として、「はじめに」として入れたことで、ブログの中上級者にとっては「きぐちさんの知られざる一面を知ることができた」と喜ばれましたし、ブログ初級者にとっては面白がって読んでもらう入口となったようで、良かったようです。
タイトルについては、企画会議で「『ブログで5億円稼ぐ方法』のほうがいいのではないか。再現性のある雰囲気が出るし、売れそう」という意見も出ました。
一理あると思ったのですが、「著者の18年間の軌跡を追う」というコンセプトを崩したくなったので、『ブログで5億円を稼いだ方法』とし、属人的な感じをあえて残しました。
著者も挑戦者であり続ける
―― 「はじめに」に掲載されている「18年間の収益を完全公開!」という棒グラフも生々しくて面白いです。
中村 あのグラフはすごくいいと思ったのですが、悩んだことが1つあります。直近2021年の収益が前年の約3分の1に下がっているので、読者にマイナスに映らないかなと……。でも、全編を通して、「勉強し続けることの重要性」や「Googleアップデートとどう向き合うか」という話が出てくるので、著者もまだ「挑戦者」であることを示す意味で、入れて良かったと思っています。
―― 2021年の収益の凹みは、2020~2021年に行われたGoogleアルゴリズムのアップデートの影響ですよね。検索上位に上げられる条件が変わることで、それ以前と同じようにアフィリエイトで稼げなくなる(Googleアルゴリズムのアップデートについて詳しくは第5章に解説)。このグラフは、右肩上がりよりもリアルで生々しい数字という印象を受けました。そして、改めてこのグラフを見ると、ブログって今も儲かるんだな~と思いますね(笑)。
中村 そうなんですよ。著者のきぐちさんは、「今から始めても遅くない」と言っています。僕も「ブログはオワコンじゃないのか」という点は非常に気になっていたので、最初にお目にかかった際に、意地悪くいろいろ聞きました。
きぐちさんによれば「Googleで情報を検索する人がいる限り、ブログで稼ぐことはできる。それに、自分自身を商品化するYouTubeやnoteよりも、コンテンツを軸にできるブログのほうが万人にオススメできる」と。その説明は非常にしっくりきました。
―― たしかに納得です。
読んだ人を行動させる文章術!
――きぐちさんは18年間実践されてきているだけあって、どの項目の解説も、具体的で説得力がありました。
たとえば、第3章の「『狙ってはいけないジャンル』と『おススメジャンル』」で、競合の企業サイトが多くて広告主がつきづらいジャンルとして医療や健康食品、政治経済、ペット、ファッションなどが挙げられていて、なるほど~と思わされますね。
ほかにも、第4章中の「思わずクリックしたくなる『記事タイトルの作り方』6選」として、クリックしたくなる記事タイトルには数字を入れる、27文字以内がよい、など、それぞれ解説もあって腹落ちしました。
中村 そうですよね。第4章「読んだ人を行動させる『最強のブログ文章術』」は全体的に、非常に具体的なアドバイスに満ちていて、反響が大きかったです。きぐちさんが書く文章は本当によみやすいです。18年間の実践を通して体得してきたノウハウが、この4章には詰まっています。
「流し読み」を前提として考え、わかりやすい表現、見出し、箇条書き、装飾、画像をしっかり使い、読むストレスを最大限なくす
これは4章に出てくる一文ですが、原稿も「読者の読むストレスをなくす」が徹底されていて、編集者としても大変勉強になりました。
―― そうなんですか! すごく読みやすかったです。さすがプロですね。
ほかに反響が大きかったのは、どのあたりですか?
中村 第1章「僕がブログで5億円稼ぐまで」の苦労話のほか、第6章「アクセスを劇的に伸ばす『有益コンテンツの作り方』」や、第7章「ブログで稼ぐための『収益爆増計画』」もよかった、といったお声をTwitterなどでいただいています。あとは「やる気が出ました」というお声もよく聞きます。
「競合が弱い」「ずらし」のキーワード術
―― 目次の小項目も、非常に具体的で数字がたくさん散りばめてあって、やる気が出るというご意見に納得です。一つ一つクリアしていきたくなるし、索引的な使い方もできて便利です。目次の項目の見せ方は、中村さんのお得意の部分だと思いますが。
中村 そこは、いろいろ工夫するうえで、きぐちさんにもご了承いただいて変えた部分があります。たとえば第6章「アクセスを劇的に伸ばす『有益コンテンツの作り方』」も、当初は3つの項目だったものを9つに分割させてもらいました。最初の段階では、
こんな形だったんです。でも、本文中にあった「競合が弱いキーワード」「ずらしキーワード」といった魅力的な言葉が、当初の分け方では見出しに出てこず、非常にもったいないと思いました。そこで、「項目を分割し、内容の面白さを目次に反映したい」と、きぐちさんにご相談しました。
きぐちさんも当初は「文章の流れが悪くならないか?」と心配されていましたが、「初心者の方向けに体系化された感じが出るし、中・上級者の方も読後の満足度が上がるはず」とお伝えし、納得していただけました。その後、きぐちさんと相談しながら、項目の分割と精査を始めていき、最終的には下記の形になりました。
カバーで伝えたかったこと
―― この本の特徴としてもう1つ伺うと、カバーも「ガッツリ稼ぎまっせ」というグイグイくる感じがなく(笑)、初心者の方も手に取りやすそうです。
中村 「とにかく稼げます!」とか「裏技を教えます!」みたいな感じは出したくないと思っていました。大事にしたかったのは「著者の18年間の血と汗と涙」というニュアンスで、そこに「5億円」をどう絡めるかで迷っていました。装丁デザイナーの三森健太さんに相談したところ、「5億円玉とかどうでしょう? 著者がその5億円玉を嬉しそうに掲げているイラストが入ると、イメージにも合うんじゃないでしょうか?」という提案をいただき、すごくいいと思いました。そこで、まず三森さんにカバーラフをお作りいただきました(下図)。
「むちゃくちゃいい! 書店でもすごく目立ちそう!」と思い、本文イラストをお描きいただいていた山中正大さんにご相談しました。最初に上がってきたラフ(下記画像)は、「本物の硬貨」感があって、ものすごくいいなと思いました。縁のギザギザとか、令和四年とか、このあたりの作り込みには本当に感動しました。
でも今回の場合、イラストがタイトルの一部になっており、「500000000円」が「5億円」とすぐ読めるかどうかが心配でした。その旨を山中さんにお伝えし、いろいろご相談した結果、現在の形になりました。
カバー作りは総力戦です。「本のコンセプトをどう表現するか、著者のコンテンツをどう伝えるか」を、編集者、デザイナーさん、イラストレーターさんで知恵を出し合い、形にしていきます。
「5億円玉」というコンセプトを考えてくださった三森さん、その「5億円玉」を異常なクオリティーで仕上げてくださった山中さん。お二人がいなければ、このカバーは完成しませんでした。深く感謝しています。
このジャンルの本は、「すぐ稼げるノウハウ」を全面に押し出したデザインが多いんですよね。著者の人間性に寄せたデザインが少ないぶん、うまく差別化もできました。デザインのポイントになっている5億円玉に、艶消しの金色を使ったのも、ギラギラしすぎなくてよかったなと思っています。
【今回の話題書】
ブログで5億円稼いだ方法
きぐち 著
3年間収益0円から、5億円稼いだ逆転ノウハウ
はじめまして、きぐちと申します。この度、『ブログで5億円稼いだ方法』を出版します。
僕は高校を卒業してから18年間、ずっとブロガーとして生きてきました。コンビニのアルバイトをしながらブログを始め、最初の3年間は1円も稼げませんでしたが、7年目には年収1000万円を突破します。その後も決して順風満帆だったわけではなく、収益激減を何度も経験しながらも、ブログだけでトータル5億円以上稼いできました。
「超重要なポイント」だけお伝えします!
僕は学歴もサラリーマン経験もなく、プログラミングやデザインスキルもありません。しかし、ブログ運営に関してだけは誰にも負けない知識と経験があると自負しています。
本書では、18年間ブログだけをやってきた僕が、ブログで収益化するための「超重要ポイント」をすべて解説します。
サラリーマンでも大丈夫!「自分だけの資産」を作る!
ブログで稼ぐ方法は本書でじっくり説明しますが、その根底は「文章を書き、発信すること」です。ブログ運営には、軌道に乗るまで収入が安定しないというデメリットもありますが、本書のノウハウを実践すれば、その下積み期間を大幅に短縮することが可能です。
ブログを本業にする必要はありませんし、「サラリーマンをしながら月に数万円稼ぎたい」人でも最短ルートで稼げるよう、紙面を工夫しました。
誰もが始めやすく、長期的に資産になりやすく、他のSNSとも柔軟に組み合わせられる「ブログ」こそ、今すぐ始めるべき副業だと考えています。
収入の柱を複数持とう!
今はブロガーだけでなく、YouTuberやインフルエンサーなど「個人が活躍できる場」がどんどん増えています。「個人の発信力」を育てることで「収入の柱」を複数持て、本業だけの収入のときよりも、生活面でも精神面でも安定するようになります。
発信力は、一生使うことができる「あなただけの資産」になります。そして、ブログは発信力を鍛える最高のツールです。「個で稼げる時代」だからこそ、発信力を磨いておくことで、より自由な生き方・刺激のある生き方ができるようになるでしょう。
「ブログをがんばったけど、稼げなくて諦めた」「記事を何本も書いたけど全然読まれなかった」という人も、ぜひ本書を片手にもう一度チャレンジしてみませんか?
本書は私にとって初の著書になりますが、この本を読んだ人が、楽しみながらブログでしっかり稼げるよう、心を込めて書きました。私の持てるすべてのノウハウを出し惜しみすることなく公開することを、ここにお約束します。
本書の主な内容
はじめに 収益ゼロから5億円稼ぐまでの全ノウハウ
第1章 僕がブログで5億円稼ぐまで
・最初の3年間は「時給0円」が続く
・年収1000万円―ブログを軌道に乗せるまで
・ブログリニューアル! 年収1億円を超える!
第2章 「ブログを始める前」に知っておくべき6つのこと
・「ブログ×SNS」で稼ぐ! オススメの組み合わせ
・noteは稼げる? 2つのデメリットに注意!
・月1万円を稼ぐまでは絶対に会社を辞めない
第3章 「最短で収益を出す」ブログ8大戦略
・「雑記ブログ」ではなく、「特化ブログ」にすべき理由4選
・「あなたが勝てるブログジャンル」を見つける3ステップ
・「狙ってはいけないジャンル」と「オススメジャンル」
第4章 読んだ人を行動させる「最強のブログ文章術」
・読者をグッとつかむ「最初の1行」の作り方
・ブログがスラスラ書ける最強テンプレート
・思わずクリックしたくなる「記事タイトルの作り方」6選
第5章 これだけでOK!「SEO対策の超基本」
・「Googleでググる時代」、稼ぐために必要なこと
・小手先の裏技はNG! Googleが嫌悪すること
・検索上位が取りやすくなる「効果的なSEO対策」10選
第6章 アクセスを劇的に伸ばす「有益コンテンツの作り方」
・アクセスを増やす「スモールキーワード」攻略法
・拡散されやすい「有益コンテンツ」を作る4つのアプローチ
・コンテンツは2000~3000字が1つの目安
第7章 ブログで稼ぐための「収益爆増計画」
・収益爆増に効く「成約率」「広告単価」の基本
・「成約率の高い記事」を作る3ステップ
・収益が7倍になった「特別単価交渉」のやり方
第8章 ブログ読者を分析する「アクセス解析入門」
・アクセス解析ツール、Googleアナリティクスの基本
・ブログ読者をさらに深掘り! Googleサーチコンソール
・古い記事をレベルアップさせる「最強のリライト方法」
第9章 Twitter活用で「影響力」を高める方法
・ついフォローしたくなる「魅力的なプロフィール」の作り方
・「拡散されやすい有益ツイートの作り方」5選
・エンゲージメントを高める戦略的「リプライ交流」
第10章 ブログを楽に運営する「継続のコツ」
・書きたいことがどんどん出てくる「ブログネタの探し方」7選
・継続のコツ、「画像を大量に用意しておく」
・クラウドソーシングで「ブログの効率化」を図る
※この記事は、ダイヤモンド書籍オンライン(2022年9月29日)にて公開された記事の転載です。